- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784801801745
感想・レビュー・書評
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小林よしのりの『ゴーマニズム宣言』っぽい匂いがプンプンしましたけれど、こういうのも読んでみたら面白いかしらと思い手に取りました。
嫌韓ねぇ。
私はヘイトスピーチだとか在特会だとかに感心したことはありませんでした。やはり表向き、大々的に差別をしているように見えます。しかし、彼ら/彼女らが何に怒っているのかをまずは聴かずして対話はないとも思っているし、そこのところは私も不十分でした。そのことをこの漫画で考えさせられました。
その上で申し上げます。
「韓国の糾弾は的外れ」には同意します。韓国側の態度は正しく見苦しいと言わざるを得ません。
「日本側こそ正しく糾弾の立場に立てる」、ここはちょっと注意を払った方がいいのではないでしょうか。
何故なら、この作品の中心は「嫌韓」である以上、最後の「日韓友好」の話が、全体からどうしても宙に浮いてしまうんですよね。その日韓友好、一体どこに立っているのだろう。やはり、「韓国が謝ったらこっちだって許して(やることも考えて)やるよ」という態度のように思えてならない。
物理的な暴力で人が不幸になることは、第二次世界大戦で、或いは韓国軍が非道を働いたベトナム戦争からも学ぶべきことです。
しかし、言葉や思想による暴力もまた厳然として存在するし、それと戦うのに同じ暴力でもってやり返すというのは、主人公の庵堂でなくとも私だって疑問に思わざるを得ません。
慰安婦は単なる売春婦であることには納得ですが、「そもそも韓国が女性をどう扱っているか?」を深く考えないと日本を含め世界中に売春婦が輸出される実態が理解出来ないと思います。在日の問題については別の本で詳しく考えてあるようですが、やはり、単純に「出て行け」と言って追い出すことでは解決にならない問題だと思います。
「レイシスト」「ヘイトスピーチ」は確かに身勝手なレッテルだったかもしれない。ただし、では「どこで差別性が無いと言っているのか」がこの本でハッキリしたとも言い難い。差別への糾弾に対する無責任な逃げのようなところ、本当に無いと言えるでしょうか。
確かに韓国のやることは「キモい」かもしれない。ならば、今度はその「キモさ」がどこから来ていて、なぜ「キモく」感じるのか。そこに、我々自身の身もまた同時に問われていると、私は強く思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示