- Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
- / ISBN・EAN: 9784802611527
感想・レビュー・書評
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2024年3月11日読了。いきなりネット検索からはじめがちな「リサーチ」の技法を体系的に説明する本。書き方が硬く厚い本だが、想定された読み手は大学生だろうか?本格的なリサーチに着手する前に読んでおくべき本だと感じた。「自分は何を知りたいのか」に関する問いを立てること、このリサーチが読み手のどのような期待に応えられるのか・価値をもたらせるのかを真剣に考えることがまず重要。そこの背骨をしっかり持ったうえで、読み手からの「で?」「そのリサーチに何の意味があるの?」「100%そうだって言い切れるわけ?」といった質問には必要十分にこたえられるよう、エビデンスは集めるし図表や文章表現や体裁にも気を使って仕上げる、ということか。「それってただ事実を羅列しただけのレポートじゃん」とは耳の痛い指摘だが、だからといって指摘を避けていては価値のあるリサーチはできないってことだな。いきなり手を動かすのではなく、問いを立てていこう。
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原題:The Craft of Research, Fourth Edition.
著者:Wayne C. Booth(1921-2005)
著者:Gregory G. Colomb(1951-2011)
著者:Joseph M. Williams(1933-2008)
訳者:川又 政治[かわまた・まさはる] 英日翻訳家。理学修士。
ブックデザイン:竹内 雄二[たけうち・ゆうじ]
DTP・図版制作:SeaGrape
出版社:東京;ソシム
定価:2,860円(本体価格 2,600円)
発売日:2018年6月28日
判型:A5版変形
ページ数:496
ISBN:978-4-8026-1152-7
https://www.socym.co.jp/book/1152
【簡易目次】
はじめに [002-008]
謝辞 [009-011]
目次 [012-022]
◆Part I リサーチ、リサーチャー、そして読み手 023
プロローグ リサーチチャーになる 024
1章 紙に書いて考える:リサーチの効用――所定の書式か、自分流か 034
1.1 リサーチとは何か? 036
1.2 なぜ書くのか? 038
1.3 なぜ所定の書式で書くのか? 040
1.4 書くことは考えること 043
2章 読者とつながる:著者と読者の役割を作りだす 045
2.1 読者と会話する 046
2.2 書き手の役割を理解する 049
2.3 読者の役割をイメージする 053
ヒント:読者を理解するためのチェックリスト 061
◆PART II 問いかけをする、答えを見つける
プロローグ:リサーチプロジェクトを計画する――概観 064
ヒント:執筆グループを作る 068
3章 トピックから問いへ 069
3.1 興味からトピックへ 071
3.2 漠としたトピックから的を絞ったトピックへ 076
3.3 絞り込んだトピックから問いへ 079
3.4 最も重要な問い:「それがどうした?」 086
ヒント:トピックを見つける 093
4章 問いから課題へ 095
4.1 リサーチ課題を理解する 097
4.2 課題の共通構造を理解する 101
4.3 良いリサーチ課題を見つける 114
4.4 課題との付き合い方を学ぶ 118
ヒント:経験不足に伴う避けられない問題をうまく管理する 120
5章 課題からソースへ 121
5.1 三種類のソースとその利用 122
5.2 二一世紀の図書館利用法 126
5.3 インターネットでソースを見つける 136
5.4 ソースの関連性と信頼性を評価する 139
5.5 予測されるソースの先を見る 146
5.6 人と接触することでリサーチを前に進める 148
ヒント:人をソースとしてデータを入手するときの倫理観 151
6章 ソースを活用する 152
6.1 書誌情報をもれなく記録する 153
6.2 ソースを能動的に利用する 157
6.3 課題を意識して読む 160
6.4 議論を意識して読む 165
6.5 データと裏付けを意識して読む 167
6.6 ノートを取る 168
6.7 ソースに注釈を付ける 180
ヒント:不安になる時期を乗り越える 183
◆PART III 議論をする 185
プロローグ:議論を組み立てる 186
7章 良い議論をする:概観 191
7.1 読者との会話としての議論 192
7.2 主張を裏付ける 194
7.3 想定される質問と反論を認識し、それに答える 199
7.4 論拠によって主張と理由を結び付ける 201
7.5 単純な議論によって複雑な議論を組み立てる 204
7.6 きめ細かな議論をすることで自分の特質を創り出す 207
ヒント:よくある間違い――自分が知っていることに頼り過ぎる 209
8章 主張をする 210
8.1 主張を決める 211
8.2 主張を評価する 215
8.3 主張に条件を付けて信頼性を高める 223
9章 理由とエビデンスを集める 227
9.1 議論を計画するときに理由を活用する 228
9.2 エビデンスと理由を区別する 229
9.3 エビデンスとエビデンスの提示を区別する 232
9.4 エビデンスを評価する 236
10章 認識と答え 242
10.1 読者の目線で自分の議論を疑ってみる 244
10.2 議論の代替案を想定する 248
10.3 何を認識すべきかを決める 249
10.4 答えを下位層の議論として位置付ける 253
10.5 認識と答えに関する用語 255
ヒント:予想される三つの反対意見 263
11章 論拠 265
11.1 日常生活の推論で使われる論拠 267
11.2 アカデミックな議論における論拠 269
11.3 論のロジックを理解する 272
11.4 論拠を検証する 273
11.5 論を述べる状況を理解する 280
11.6 論拠により議論を検証する 282
11.7 他の人の論拠に異議を唱える 286
ヒント:理由、エビデンス、論拠 292
◆PART IV 議論を書く 295
プロローグ:計画を見直す 296
12章 レポートの計画とドラフトの作成 299
12.1 レポートの計画を立てる 300
12.2 よくある三つの計画の不備を避ける 311
12.3 計画からドラフトへ 330
ヒント:執筆の遅れや行き詰まりへの対策 317
13章 議論の構造を決める 318
13.1 読者の立場で考える 319
13.2 枠組みを見直す 320
13.3 議論を見直す 323
13.4 レポートの構成を見直す 325
13.5 段落をチェックする 328
13.6 ドラフトをしばらく置き、言い換えてみる 329
ヒント:要旨 335
14章 ソースを取り込む 334
14.1 適切な引用、言い換え、要約 334
14.2 直接引用で自分の文章に取り込む 336
14.3 エビデンスの関連性を読者に示す 338
14.4 出典を明らかにすることの社会的意義 340
14.5 一般的な四つの引用スタイル 342
14.6 不注意による盗用を防ぐ 345
ヒント:レポートの中で出典を示す 353
15章 エビデンスを視覚化して伝える 356
15.1 視覚情報か言語情報かの選択 356
15.2 最も効果的な図表を選択する 356
15.3 表、チャート、グラフをデザインする 361
15.4 表、棒グラフ 折れ線グラフについての個別ガイドライン 367
15.5 倫理観を持ってデータを伝える 375
16章 序論と結論 381
16.1 序論の一般的な構成 382
16.2 ステップ1:背景を設定する 386
16.3 ステップ2:課題を述べる 390
16.4 ステップ3:答えを述べる 397
16.5 適切なペースを決める 399
16.6 序論の構造を決める 401
16.7 書き出しの言葉を見つける 402
16.8 結論を書く 404
ヒント:タイトル 407
17章 文章を修正する:物語をわかりやすく伝える 408
17.1 文章を判定する 409
17.2 わかりやすく書くための最初の二つの原則 411
17.3 第三の原則:既知の情報を文頭に置く 426
17.4 能動態と受動態の選択 429
17.5 最後の原則:複雑な内容は文末に置く 433
17.6 最後の仕上げ 437
ヒント:迅速に修正するために 438
◆PART IV その他の考慮点 441
リサーチに求められる倫理観 442
教師のための補記 448
付録:参考文献リスト [i-xxxv]
訳者あとがき(二〇一八年六月 川又政治) [424-426] -
リサーチのハウツー本。本書はリサーチの目的を振り返り、その後「問いかけ」「議論し」「書く」という基本のステップのすすめ方を解説している。自分の考えを書く人は、人に伝えるための方法を学ぶことができると思う。
・問い・トピックの立て方
・課題の伝え方
・英語で書く場合のポイント
など、痒い所に手が届く細かな手法が載っており興味深い -
学部生でも読むことができる平易な文章。
そういう意味では、研究志望の学生向きなのかもしれない。
研究の基本である、問題を見つけるから出力する。
さらに修正する部分まで網羅されている。
各学問に「方法論」的な文献は見られるが、総体的な文献はなかなかみられない。
筆者は洋書のほうを読んでいたが、そちらもわかりやすい。
原典重視の方はそちらも参照されたい。
非常におすすめ、計画立てて何かを研究する人全般におすすめできる。本当におすすめ。 -
研究界隈で評判が良いので読んでみたが、文系向けの内容に思える。理系研究者、特に工学系の人には響かないと感じた。ところどころ良いことが書いてあったが、ほとんどが飛ばし読みになった。
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だからどうした?からの命題へ。
問いから課題を見つけて主張となる重要性を導く。
ソースがあればしめす。
その一連の流れを丁寧に説明している。
学術の世界で基本となるお作法を学ぶことで、ビジネスの分野でも活かせる内容。
時間をかけた主張が求められることを考えるとバランス次第なことが見える。 -
初心者に対して、リサーチとは何かを体系的に説明してくれます。
仕事でリサーチ的な仕事も担当するようになったのだが、何をどうしたら良いのかわからず困ってしまい、この本にたどり着く。
1回読んだだけなので、リサーチができるようになった訳ではないので、読み返しながら実践を繰り返してリサーチ力が伴うようにがんばります。 -
レポートや企画書の思考プロセス、お作法が学べて良かった
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報告書や論文など「リサーチに従事する人」を幅広に対象としたリサーチと作成術の書。レポート作成技術だけでいうと日本だと『理科系の作文技術』という名著があり、具体的なリサーチ手法は米国内での方法であり、厚みの割には一般論が多めである。しかしリサーチに不慣れな者にとっては御作法や着眼点、構成の参考になるであろう内容。