タイトルを見て、内容が全く想像できなかったことがかえって興味を引きたて、思わず手に取った本作。その実は、現代版「あしたのジョー」というノリのボクシング小説。
これが全く期待していなかったこともあってか思いのほか面白い。西野が比較的堅調に成長していくのは出来すぎではありますが、西野と夢香のメール越しのコミュニケーションとボクシングを通じて成長していく姿は清々しく感じられます。
「比較的堅調」とはいえ、西野はジョーのような超人ではないので何度か負けます。そのあたりの敗北を知ることで成長していく様子は共感するところも多く、グッと来ました。
ラストはさすがにいくらなんでも…とは思いましたが、それを差っ引いても楽しく読ませてもらいました。本作がデビュー作で刊行されたばかりですが、次回作にもちょっと期待してみようかと思います。