夜空はなぜ暗い?: オルバースのパラドックスと宇宙論の変遷

  • 地人書館
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  • Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784805207505

作品紹介・あらすじ

かつて天文学者は考えた-なぜ、夜空は暗いのか?宇宙にはおそらく果てがなく、星は数え切れないほどたくさんある。それなのに、空のいたるところに星の光があることにならないのか?-天文学者は、夜空がなぜ暗いかという謎を長いこと考え、数多くの興味深い解答を提示してきた。問題解決のために400年以上の歳月が経った。空間や時間、光の性質、宇宙の構造、また、他の興味深い主題について広大な範囲が探索された。宇宙の闇の謎の解答を求める中で、探求の方向の誤りや奇妙な発見も多かった。

感想・レビュー・書評

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  • なぜ、夜空はくらいのでしょうか? なまじっか物理を知っていると、宇宙が光速よりも速く膨張しているため、・それによって出来た宇宙の地平を光が超えられないため・赤方偏移により可視光の外に出るためなんて答えてしまいそうになる。が、これは×。実際の答えが知りたければ、この本を読んでください。ただし、この本には、この答えが冒頭には書ていない。まずは、古代ギリシャのころのアリストテレス、プトレマイオスらの哲学とも、宗教ともとれないような宇宙感に始まり、コペルニクス、ハリー、ガリレオ、デカルト、ニュートンらの中世宇宙物理もしくは、哲学的宇宙感、そしてアインシュタインを中心とした宇宙物理論の解説を行う。その宇宙感の歴史の中から、「なぜ、夜空はくらいのか」という疑問が16世紀あたりから出てきて、前記した物理、哲学者たちはその証明を試みた。そう簡単には理屈が立たない。ニュートンらが考えた無限の静的宇宙では、この世が光に満たされてどろどろに解けてしまう。実際にはそうでないのだから、これは物理史上重要なパラドックスであった。が、実際には宗教的な偏見を除いた正確な宇宙観測と中学校程度の数学を知っていれば、割と簡単にわかる。この程度の問題をニュートンや、ガリレオ、デカルトなどの大天才たちがわからなかったのだから、その後人類が蓄積した知識の大きさを実感せざるを得ない。

  • 宇宙に関する素朴な疑問は、難問だった。
    昔からある素朴な疑問は、宇宙の構造を巡る大変な難問でした。
    ケプラーやハレー、ハーシェルなどの有名な天文学者が自身の計算や観測結果を基に多くの仮説を提唱しましたが、いずれもこの疑問を解決するものではなかったようです。
    この本では、オルバースのパラドックスと多くの学者達が唱えた宇宙論の変遷について判り易く解説しています。
    参考:Wikipedia
    オルバースのパラドックス(Olbers' Paradox)は「宇宙の恒星の分布が一様で、光度も平均的に場所によらないと仮定すると、空は全体が太陽面のように明るく光輝くはず」というパラドックス(背理)である。このパラドクスの帰結は、星からの光は星までの距離の2乗に反比例して暗くなるが、距離が遠い星の数は距離の2乗で増えるので、これらはちょうど打ち消しあい、どの方向を見てもいずれかの星の表面がみえるはずだという推論に基づく。このパラドクスの名は、これを記述した19世紀の天文学者ハインリヒ・ヴィルヘルム・オルバースから採られているが、この問題自体はそれより古くから議論されてきたものである。このパラドックスが成立するためには、空が星で覆い尽くされるほどに宇宙が空間的に非常に広くなければならない。また光速が有限であるため、そのような広大な空間を光が伝わってくるような非常に長い時間の昔から星が輝いていたとすることも必要となる。現在では、このために必要な距離や時間は、宇宙の大きさや年齢よりはるかに大きなものとなることが明らかとなったため、オルバースのパラドックスの前提は成立しないことがわかっている。

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