心からのごめんなさいへ −一人ひとりの個性に合わせた教育を導入した少年院の挑戦−

著者 :
  • 中央法規出版
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784805825938

作品紹介・あらすじ

人の痛みや気持ちなんか、全然わからない。わかりたくもない。そう平然と言い放っていた非行少年たちが自分の犯した罪を自覚し、猛省し、変わっていく…。教育者や親の視察・講演依頼が全国から殺到する宇治少年院。その指導の実態と関係者の思いが今、初めて明らかにされる。

感想・レビュー・書評

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  •  なかなか衝撃的な内容の本です。少年院で、こんな先進的な取り組みが行われているとは。教育関係者必読の本、かも。

  • 大学時代に編入生の方から借りて読了したにもかかわらず、TEEACHの学会で再会し購入してしまった本。
    それだけ初めて読んだ時の衝撃が忘れられなくて。
    少年院というと自分とはかけ離れた世界のように思っていましたが、そこにいた彼らは私だったかもしれない。
    また、将来自分はこのような支援者になれるだろうか、という疑問と不安も同時にわきあがりました。
    未読の方はぜひ。

  • * 日記の最後に表情マークをつける。自閉傾向のある子どもには表情の種類を多くして気持ちを教える
    * 感情(emotion)の原因になるような事実を言語化し、その後で感情(emotion)そのものを言語化させる『あんなことがあったんだから、あなたの気持ちはこうなんでしょう?』
    * 非言語性コミュニケーション能力を向上させる『私語制限』
    * 沈黙の時間が自己コントロール能力も向上させる
    * 箸の持ち方や魚の食べ方など生活モデルでの指導を徹底させる

  • とてもよかったです。
    なぜか私が救われたような気になりました。

    「発達障害が犯罪の原因ではない」

    とくりかえしくりかえし言わざるを得ない、社会の、日本の現状なのが悲しいですね。

  • 「ここは何も特別なことをしているのではありません。私たちは少年院に軽度発達障害の子が多いと考えてるわけではありませんし、それは事実とも違います。

    大事なことは、一人ひとりの子どもを見て指導していくことです。LDとかADHDという視点は、”理由はわからないけれど、にんちさに偏りのある子もいる”という新しい視点の導入につながりました。

    ですが、これは少年たちにレッテルを貼るのではなく、われわれが指導方法を考えるうえで参考にするだけのことです。

    それ以上でもそれ以外でもない。

    ありのままの少年をみて、受け入れて、指導する。
    それが矯正教育の出発点、
    被害者の視点を取り入れた教育の土台になります。

    宇治は、少年院教育に新しい視点の意味づけをしただけだと考えています。」



    宇治少年院の実話。
    殴った人の相手が痛いと思っていると考えたことのない少年、
    学校で居場所を否定された少年、
    相手の気持ちを考えることが更生の第一歩だと初めて自分で思いついた少年…


    宇治少年院は、過剰収容で大混乱していた。
    それでも向井ら職員が研修を積んだり、きちんと制度を見直したりした結果、宇治方式トレーニングが確立。

    食事の改善、国語力の徹底、漢字力、日記指導、推論など基礎学力向上のための算数指導、聴く力をつける指導、沈黙の時間、非言語コミュニケーション能力向上のための私語制限、基礎体力向上トレーニングなど、その工夫は多くある。


    少年院で生活していた子たちの生の声はそうそう聞けない。だからこそ、彼らが何を感じ、どう思って生きてきたのかー本書は、それを知る大きな手がかりとなる。

    こうした世界で生きる人たち、少年たちの存在を忘れてはいけない。
    再読したい本。

  • 宇治少年院では、少年一人ひとりの個性に合わせた矯正教育がされていて、少年たちの目の輝きは入所時とはまるで違うものになったという。
    周りの大人たちの意識改革と奮闘により、少年たちは少しずつ変わっていった。

    LDとかADHDとかアスペルガーとか、それに似た症状を持っているかもしれないが、認知に偏りがある子がいることを念頭に指導している。

    自分にもできる子供たちへの応援は何かを考えさせられた。

  • 宇治方式と言われる宇治少年院の発達障害へ有効なトップレベルの教育プログラム。これはすごい。筆者もすごい。親なら一度読んでみては?

  • 発達障害は40人学級1クラスに1〜2人の割合といわれています。
    気がつかれずに、大人になった方々の生きづらさを誰が解ってくれるでしょうか。
    親や先生が手におえず、関わりを避けられた子どもの気持ちは、どこへ向かうのか。
    そこは、非行や犯罪なのかもしれません。
    10人いれば、10人10色の発達の仕方があります。1人1人の発達に合わせた関わり方を創意工夫するのが、社会、大人の新しい常識になっていく様に思いました。

  • こういう事例がありますよ、という一般向けのルポルタージュ作品。
    参考にならない、というわけではないのですが、この本だけ読んで実践しよう、というのは難しいでしょう。
     
    ・診断名にとらわれず状態像に即した対応が必要。(ラベリングの否定)
    ・受容だけでは、社会に出るのに対応できない。
    ・個に対応する下準備として、安定した集団が必要。
    などの心構えを学んでください。

  • 少年院においての、発達障害と犯罪・矯正教育の関わりをレポした本。
    矯正教育や特別支援教育関係者だけならず、全て教育に関わる人は必読と思います。

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著者プロフィール

教育ジャーナリスト、(株)薫化舎取締役副会長・発達性ディスレクシア研究会副理事長
『怠けてなんかない! サードシーズン 読む書く記憶するのが苦手な子どもたちが英語を学ぶとき』(岩崎書店、2020年)、『働くために必要なこと:就労不安定にならないために』(筑摩書房、2013年)など多数。読み書き困難等発達課題のある児童の指導を行う薫化舎らんふぁんぷらざ統括責任者HP:www.kunkasha.com

「2021年 『学習障害のある子どもが第2言語を学ぶとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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