覚えておきたい順 万葉集の名歌 (中経の文庫 さ 5-1)

著者 :
制作 : 荒木 清 
  • KADOKAWA(中経出版)
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感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784806127079

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    《恋愛五選》
    7あかねさす紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る【額田王】
    56紫草(むらさき)のにほえる妹を 憎くあらば 人妻ゆゑに われ恋ひめやも【大海人皇子】
    →やはりこの遣り取りがどうしても好き。しかしこれは不倫の歌ではない!宴会歌だと知ったときの、嬉しいような、拍子抜けしたような・・・。

    35多摩川に曝す手作 さらさらに 何そこの児の ここだ愛(かな)しき【東歌】
    →「さらさらに」は「さらに」って意味なのだけど、川や手作との関連の「さらさら」も浮んでくる。音の響きのなめらかさと、重なる「さら」に熱い思いを感じます。

    25君待つとわが恋ひおれば わが屋戸の すだれ動かし 秋の風ふく【額田王】
    →今だと、携帯のバイブ、とかなのかな。

    82恋草を 力車に七車 積みて恋ふらく わが心から【広河女王】
    →かなり重量級の愛情。

    《響五選》
    4田子の浦ゆ うち出でて見れば 真白にそ 不尽の高嶺に 雪は降りける【山部赤人】
    →「ゆ」が好き。

    8石(いわ)ばしる垂水(たるみ)の上の さ蕨の 萌え出づる春に なりにけるかも【志貴皇子】
    →「石ばしる」の音が滝(=垂水)とよく似合う。

    26巨勢山のつらつら椿 つらつらに 見つつ思(しの)はな 巨勢の春野を【坂門人足】
    →「つらつら椿」。この歌が音だけだったら一番好き。

    47来むといふも来ぬ時あるを 来じといふを 来むとは待たじ 来じといふものを【大伴坂上郎女】
    76よき人の良しとよく見て よしと言いし 吉野よく見よ よき人よく見つ【天武天皇】
    →畳語性が作品の命。

    《発想五選》
    2春の野に霞たなびき うら悲し この夕かげに 鶯鳴くも【大伴家持】
    →さすがですね。

    10なかなかに人とあらずは 酒壺に なりにてしかも 酒に染みなむ【大伴旅人】
    →確かに中国の詩の影響を感じますね。にしても、酒壺って。

    12憶良らは今は罷らむ 子泣くらむ そのかの母も 吾を待つらむそ【山上憶良】
    →宴会から去るときの手本!おじいちゃんには子供はいません。

    17新しき年の始めの 初春の 今日降る雪の いや重(し)け吉事(よごと)【大伴家持】
    →家持の歌で一番いい。リズムもよく、「吉事」の響きも良い、そして何よりスーパーポジティブ!新年はこういう気持ちで始めましょう。

    22萩の花尾花葛花 瞿麦(なでしこ)の花 女郎花 また藤袴朝貌の花【山上憶良】
    →憶良がその前の歌で「秋の七草」を読んで、それを列挙したのがこの歌。面白い。

    ※番号は本の番号で、国家大観のものではありません。

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著者プロフィール

昭和13年、東京都生まれ。歌人・国文学者。早稲田大学名誉教授。「心の花」主宰。雑誌「文芸」編集長をつとめたのち、早稲田大学政経学部で長く教鞭をとる。歌集に『百年の船』(平17 角川書店)、『ムーンウォーク』(平23 ながらみ書房)、評論集に『柿本人麻呂ノート』(昭57 青土社)など多数。

「2012年 『久保田淳座談集 暁の明星 歌の流れ、歌のひろがり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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