もっと知りたいベラスケス ―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

  • 東京美術
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (96ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784808711023

感想・レビュー・書評

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  • 「もっ知り」シリーズ第4弾として手にしたのは...

    「ベラスケス」です♪

    なぜ、ベラスケス?
    答え:残酷な王と悲しみの王妃(中野京子)のカバーデザインにも使用された「ラス・メニーナス」を描いたのがベラスケスだからです。

    まぁ、「ラス・メニーナス」しか知らなかったんですが( ̄▽ ̄;)

    17世紀を代表する宮廷画家であり、印象派の父と呼ばれるマネが「画家たちの画家」、「かつて存在したことがなかったような最大の画家」、「彼の中に絵画における自分の理想の実現を見出した」とまで言わしめた天才。

    細密に描かれた人物、そして人物を際立たせる背景。

    「十字架上のキリスト」なんてもはや二次元であることを疑ってしまいたくなります。

    正直に記せば、リアルな肖像画ってあまり好きじゃない(どことなくコワイ(∩´﹏`∩))。

    本書を手にし、そんな印象すら変わってしまいました。

    プラド美術館かぁ...

    行きたいところがまた増えました(笑)


    <ベラスケス>
    ディエゴ・ベラスケス(Diego Rodríguez de Silva y Velázquez)は、スペインの画家であり、バロック美術の巨匠です。彼は肖像画を多く残し、近代絵画の先駆となる主知的な色彩法と深い人間観察によって名声を得ました。彼の代表作には以下があります:

    ラス・メニーナス (Las Meninas): 1656年に制作された大型の油彩画で、スペイン史上最高の名画とされています。現在はスペインのプラド美術館に所蔵されています。

    ブレダの開城 (La rendición de Breda): 1634年から1635年にかけて制作された作品で、新しく建設されたブエン・レティーロ離宮の「諸王国の間」に飾るために描かれました。

    鏡のヴィーナス (Venus at her Mirror): 1644年から1648年にかけて制作された作品で、美しい女性の肖像画です。

    ベラスケスは、スペイン王室の宮廷画家として活躍し、その作品は近代の画家に多大な影響を与えました。



    17世紀、スペイン文化の全盛期に、その画業のほとんどを宮廷画家として活躍したバロックの巨匠ベラスケス。エル・グレコやゴヤとともにスペイン絵画を代表する画家のひとりで、印象派の父・マネは「画家たちの画家」と絶賛しました。ベラスケスが西洋絵画史上で傑出した存在とされる理由とは何か。近世・近代をも凌駕する彼の芸術の秘密とは何か。本書はさまざまなテーマを設け、その芸術の革新性に鋭く迫ります。時代背景、出自、同時代の画家たち、イタリアやフランドル絵画との関係など、最新の研究成果も盛り込まれた充実の評伝画集です。

    出版社からのコメント

    「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」
    国立西洋美術館
    2018年2月24日~5月27日

    兵庫県立美術館
    2018年6月13日~10月14日

    著者について

    大髙 保二郎 (おおたか・やすじろう)
    香川県生まれ。早稲田大学名誉教授。マドリード大学哲・文学部大学院博士課程留学、早稲田大学大学院博士課程満期退学。専門はスペイン美術史、バロック美術。跡見学園女子大学、上智大学、早稲田大学各教授を歴任。著書に『ベラスケス』(中央公論社)、『ピカソ美術館4 戦争と平和』(集英社)、『スペイン 美の貌』(ありな書房)、『ゴヤ「戦争と平和」』(新潮社)、『肖像画―姿とこころ』(アート・ギャラリー2、集英社)、共著に『もっと知りたいエル・グレコ』(東京美術)、共編訳書『ゴヤの手紙―画家の告発とドラマ』(岩波書店)。「ピカソ 天才の誕生展」監修・執筆(上野の森美術館、1995)、「プラド美術館展」共同監修・執筆(東京都美術館、2006)、「ゴヤ―光と影展」監修・執筆(国立西洋美術館、2011)など。


    川瀬 佑介 (かわせ・ゆうすけ)
    1977年東京都生まれ。上智大学、東京藝術大学大学院(博士後期課程満期退学)を経て2002-09年、ニューヨーク大学大学院美術研究所に留学。メトロポリタン美術館T・ルソー研究員、長崎県美術館学芸員ののち2012年より国立西洋美術館に勤務、現在主任研究員。専門は17世紀を中心とするスペイン・イタリア美術史。監修の展覧会に「エル・グレコ展」(2012-13)、「内と外―スペイン・アンフォルメル絵画の二つの『顔』」展(2014)、「カラヴァッジョ展」(2016)、「プラド美術館展―ベラスケスと絵画の栄光」(2018)などがある。

  • ベラスケスといえば『ラス・メニーナス』。
    『ラス・メニーナス』といえばミシェル・フーコーが『言葉と物』のなかで、古典主義時代のデカルト的な知のパラダイムが確立したことを例証するために論じている。画家の視線がどうで、侍女の視線がどうで、鏡に映ってるのは国王夫妻で、表象がうんぬんかんぬん。というのをむかし読んでぐったりした。
    そのためベラスケスと聞くと軽く拒否反応が起きる。

    でも今回は、大丈夫、マネ経由。マネが崇拝した画家ベラスケスだ。マネはスペインまで模写旅行に出かけてその画技に驚愕したという。

    本書ではじめていろんな絵を(おもに肖像画を)じっくりと眺めてみて気がついたのは、ベラスケスは宮廷付きの画家であったにもかかわらず、偉そうな(いろんな意味で)人物たちの姿が「盛って」描かれていなさそうだということ。
    (例えば、誰が描いたんだっけ、馬に乗ったナポレオンの肖像画みたいに(あれ、大嫌い))。

    面長の人がいたり、唇が分厚い人がいたり、すごく物憂げだったり、厳しそうだったり、チャラそうだったり、ふてくされた感じだったり、どれ一つとして似通った表情がなく、きっとかなりモデルに忠実に描いたのだろうと推測される。
    思わず、今もこういう人いるいる、と言いたくなる顔ばかり。
    「無原罪の御宿り」で描かれる聖母マリア、それから「修道女ヘロニマ・デ・ラ・フエンテ」とそっくりな人を知っている。

    フェリペ4世だって、詩人ゴンゴラだって、イソップだって、すぐそこにいて手が届きそう。それはなんといっても、「皮膚」の描き分け方にあるのだと思う。時を超えて、肌の感触まで伝わってきそうな勢いで、素人ながら抜群の出来だと感じる。
    (逆に風景の描き方はあまりパッとしないと思う。そんなこと言ったらプロに叱られるかな)

    なにはともあれ、ベラスケスとの不幸な出会いがこうして違う道筋から相殺できてよかった。

  • T図書館
    1599年生まれ

    2022年スコットランド国立美術館展
    日本初公開「卵を料理する老婆」
    東京都美術館にて鑑賞

  • スペインの宮廷画家としてその名を馳せたベラスケス。彼の有名な傑作ラス・メニーナス、一度は目にしたことがあるのではないだろうか。

    この解説本によって、一枚の絵にどれだけの技巧が凝らされているか、単なる技術的なテクニックのみならず、人間関係を巧みに表す構図、絵画の背景にあるストーリー、全ての配置、全ての描き方に意味がある。そこまで(ある種画家にしてみれば当然なのかもしれないが)こだわり抜かれた作品ということに、ただただ圧倒される。サインを残さず、画家自身を絵画の中に描いた点は、個人的に「その手があったか」とはっとさせられた。

    ちなみに、プラド美術館は閉館2時間前になると入場が無料になる。マドリードに行った際、その無料になるタイミングを狙って行こうとしたら恐ろしい長蛇の列で結局目の前で入館ならず。涙 ベラスケス作品を肉眼で拝めなかった後悔が絶えない…… 必ずリベンジしたい場所。

  • マネはベラスケスの事を「画家の中の画家」と呼んだ。天才的な画家は数多いけれどベラスケスほどの天才は一握りだと思う。きちんとした画集買おうかな・・。

  • 17世紀、スペイン文化の全盛期に、その画業のほとんどを宮廷画家として活躍したバロックの巨匠ベラスケス。エル・グレコやゴヤとともにスペイン絵画を代表する画家のひとりで、印象派の父・マネは「画家たちの画家」と絶賛しました。ベラスケスが西洋絵画史上で傑出した存在とされる理由とは何か。近世・近代をも凌駕する彼の芸術の秘密とは何か。本書はさまざまなテーマを設け、その芸術の革新性に鋭く迫ります。時代背景、出自、同時代の画家たち、イタリアやフランドル絵画との関係など、最新の研究成果も盛り込まれた充実の評伝画集です。(アマゾン紹介文)

    綽名がマネからってのは意外。
    有名どころだけど、『ラス・メニーナス』『教皇イノケンティウス10世』がやはり良い。
    今夏に兵庫県立美術館でベラスケス展が行われるのでとても楽しみです。

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著者プロフィール

美術史学者。1945年生まれ。スペイン国立マドリード大学大学院博士課程、早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。跡見学園女子大学教授、上智大学外国語学部教授、早稲田大学文学学術院教授を経て、現在早稲田大学名誉教授。専門はスペイン美術史。著書に『ベラスケス』『エル・グレコ』『ピカソ』、共訳に『不滅のピカソ』『ゴヤの手紙―画家の告白とドラマ』(会田由翻訳賞)などがある。「ピカソ 天才の誕生」「ゴヤ―光と影」など展覧会の監修も多数手がけている。

「2017年 『ピカソ 型破りの天才画家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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