- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784812435649
感想・レビュー・書評
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近未来設定なのか、ロボットが人間の世界に当然存在している世界。家族の一人一人にロボットの恋人がいたりする世界を書いている。主人公は男子高校生で主人公の恋人ロボットが小雪。
タイトルに「新・自虐の詩」とあるが、「自虐の詩」には、あまり似ていない。「自虐の詩」はどちらかというと当初の設定から大きくはみだし、登場人物たちが勝手に命を持ち、自立的に動きだし、筆者も読者も思ってもみなかった展開に発展し、人間関係の深みを見せつつ結果、ダイナミックな人生ドラマとなる感動があったが、この漫画はどちらかというと筆者が天からの視点で思想先行で描いた印象がある。
志向としてはあまりギャグにこだわりもなく、四コマというよりも普通のストーリー漫画(死語?)に近いような運び方になっている。
現代の社会問題(格差社会やAI等の最新技術が人間とどのように折り合いをつけていくのか)という深いテーマを取り扱っている。
ロボットが人間の心を持って、という展開はSF等でもよくある展開だろう。
ロボットの進化により、人間が無力になっていき、ロボットが人間の心まで、崇高な心まで持ってしまった時。
主人公の母親(ロボット小雪を作成した人)が最後の方に言う「邪悪な心を持ったロボットであれば人間はそれと戦うことができる。でも本当に美しい心を持ったロボットだったら、人間はロボットに従うしかなくなる。その時人間はいらなくなる。人間はいらなくなるよ」
このセリフは筆者の逆説的なメッセージだと思う。
私はこのストーリーから、ロボットが美しい心をもった場合、人間がどんなにすさんで、美しい心を持てない状態だったとしても、そのロボットのおかげで、人間は良い方向に向かえるようになるのではないかと思う。その意味で「人間はいらなくなる」ということはない。
なので、このメッセージは逆説として出されているセリフであり、人間を肯定している力強いメッセージなのだと思う。
メッセージ性としては良いなと思うものの、ストーリーの為に、登場人物たちが駒のように動いてしまっている印象があり、「自虐の詩」の立体的な人間関係、人間としての凄みとそこからの感動を期待していただけに
少し絵空事のような感触を感じてしまった。 -
私たちの望むものは
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via capsctrldays
読了して何故この作品に「自虐の詩」の冠がついているかわかった。
もちろん「自虐の詩」における幸恵や熊田さんがこの作品ではどう置き換わっているかを考えながら読むことにも一定の意味があると思うけど、この作品単体で読んだだけでもすごい完成度だと感じる。
四コマ漫画でここまで伝えられるのはシンプルにすごい。 -
舞台は近未来で、その世界は格差社会。その世界で、主人公であるロボットが人間の気持ちを持ってしまう漫画。基本的には、4コマで淡々と物語りは進んでいくのだが、主人公が人間の持つ感情に気づいてしまったときとか、4コマという表現の限界まで到達しているんじゃないかと思うぐらいグッときます。ちょっと左翼っぽいのですが、それもこの漫画さんの魅力です。
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『自虐の詩』同様、序盤はたいして笑えるでもないギャグ漫画なのに、いつの間にやら引き込まれ、序盤の内容が後半に効いてくるお見事な構成。テーマとしてはSFにありがちなものではあるけれど、視点が確かだから間違いない。左寄りな理想論が展開されて、いい話だけどどうなんだろうと読み進めると、安易な結論には持っていかずそこからさらに問題提議がされる。深かったです。
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「人間にはこの社会を変えることはできない」は痛烈。ロボットが心を持ったというよりも、欲のないロボットだからこそ純粋に社会の疑問や矛盾を論理的に追求し、正義・公平を実現出来るというのはあるのだろう。
前半のとぼけたノリ・テイストの方がどちらかと言うと好み(なんかロボットがだんだん可愛く思えてくる)なんだが、後半はイガイな展開でちょっとオーバーな感じもしないでもない。が、メッセージ性は評価したい。
著者は基本的に左の人のようなので、右の人のウケはあまりよくないだろうと思われる。 -
最終的に人を人たらしめる決定要因は「心」呼ばれているあいまいとこで、そこを創れるようになってしまうと人はいらないのかな。
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内容は大分違っていますが、名作「自虐の詩」の名を関するからには、読まずにはいられません。
前半を読んでいる時はどうしようかと思いましたが、後半は業田良家節全開で良かったです。
富を作り出す3つの方法の件や、P181の「火の鳥未来編」を彷彿とさせる結論は流石。
80点。 -
自虐の詩をタイトルに持ってくるだけのことはあるね。