- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784813702467
作品紹介・あらすじ
孤独なつむぎにとって、同級生のハルキだけが心許せる存在だった。病を患い入院中の彼は、弱さを見せずいつも笑顔でつむぎの心を明るく照らした。しかし彼は突然、療養のためつむぎの前から姿を消してしまう。それ以来、毎月彼から手紙が届くようになり、その手紙だけが二人の心を繋いでいると、つむぎは信じていた。「一緒に生きる」と約束した彼の言葉を支えに、迎えた23歳の誕生日-彼から届いた最後の手紙には驚きの真実が綴られていた…。
感想・レビュー・書評
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主人公で高校2年生の紬葵(つむぎ・つむ)は、お父さんの仕事の関係で夜逃げのような状態で東京から引越し転校して、鎌倉の高校に通っていますが、初めは仲良くしていたクラスメイトとも、あることをきっかけに距離を置き、孤独に過ごしています。そんな紬葵が唯一話をするのが入院中の陽輝(はるき・ハル)です。毎日頼まれた本を病院に届けています。お互い惹かれ合いますが、陽輝が治療のため、突然アメリカの病院に転院します。突然紬葵の前からいなくなった陽輝から、毎月手紙が届くようになります。彼の言葉を心に生きてきた紬葵の23歳の誕生日に届いた最後の手紙に書いてあった真実に涙が溢れます。「すべてのことは、長うことから始まる」の言葉に心動かされる切ない恋の物語です。
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学生の頃、同じ言葉を信じていたことを思い出しました。
そのせいなのか、最初から懐かしい気持ちになってしまいました。
俯いた顔を上げるのは簡単じゃないし止めた歩みを再開するのも簡単じゃない。
それでも読後に顔をあげさせるこのパワーは流石だなぁ。
10代に向けられたわかりやすい構成です。この方の底力は正直こんなものじゃないことを知ってますが、求められるものを生み出す腕は流石ですよねえ。ただただ、ほんとに最初の1ページが要らないなぁと思ってしまいます。どうしても必要ならルターの言葉だけにしたら際立つのに。 -
甘えたな、弱い主人公が彼と出会ったこと、彼を好きになったことで変わっていく姿はとても愛おしい。
だからこそ最後まで信じられない信じたくないと思うほど切なかったのだけれど。でも、未来を感じる明るい日々が待ってると確信できる終わりでもあった。
あぁ、頑張ろう、と読後に顔を自然に上げさせてくれる。語られたのたくさんの言葉が、作品の中の彼らの姿を通してすとんと胸に落ちてくる。
でも切ないよー