- Amazon.co.jp ・本 (138ページ)
- / ISBN・EAN: 9784814003013
感想・レビュー・書評
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まず前提として、今やほとんどの学問分野での成果は学術雑誌で公表されており、学術書の存在意義は、専門家の二回り、三回り外に向けて知を伝えることにあることを指摘する。
その上で、私が期待して読んだ箇所でもある、専門外の学術書の選書方法については、主に以下の提案がなされる。
・その分野の大家が書いた概説書やその分野の「学史」を読む。
・どのような「大きな問い」をかかげ、それに答えようとしているかを見る。
・現代的課題を扱う本であれば、歴史的経緯や先行研究を押さえているかを見る。
奇抜で目新しい方法はないが、どれも実直な提案で、暗黙の前提になっていることをきちんと言葉にしてくれた感じがする。
しかし、それ以上に重点が置かれていたのは、
・学術的な知の評価が、内容ではなく、特定の雑誌への論文掲載数や論文の引用数といった数値により行われていること
・それらの評価プロセスが、少数の欧米出版社による寡占状態の閉じた中に、グルグルと回収されていること。その問題を分かっていながら、そのサイクルに参加せざるを得ない状況
への批判である。
こうした課題への解決策にはやや物足りなさと懐古主義的な印象を受けるが、そもそも(著者の力不足ということではなく)著者一人で十分な解決策が示せるような問題ではない。批判をするなら解決策を示せという言葉がよく言われるが、解決策をみんなで考えませんかという提起である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
019-S
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経営や心理学、文化人類学、サイエンスなど、仕事上領域横断で本を読んで学びたい、修得したいことが盛りだくさん。改めて読む力、読書から学ぶとは?を問い直したく手に取った。
それはともかく、最終章の「知を数で計る」ことへの問題提起。現場で真に活かされる知には領域を超えた連携と対話が不可欠。論文引用数はじめ数のみのランク付けに何の意味があるというのか。
読み手の私は、学術書専門書読書から単に目先のための情報を得るにとどまらず、問い自体を問い直したり、離れたものをつなぎより本質的な課題解決に近づこうとする態度を常に忘れないこと。基本的な態度を再確認した。 -
京都大学の学術出版会で編集長を務める著者が、専門外の学術書の選び方や読み方などについて語った本。
本を選ぶ際のヒントを得られたので、これをきっかけに、ますます色んな分野の本を読んでみたいと思った。 -
難しい本(専門外の本・古典・自分と意見の合わない本)を読んで格闘することを説く本でした。専門外の本の選び方をもう少し教えて欲しかった。
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「専門外の学び」をテーマにしたもので、まさに自分がずっと気になってきたことについての本。サイード「オリエンタリズム」を読んで挫折した経験もあるので。読みたい本の広がりがすごい一冊だった。読書会のような読み方を1人でもしていきたい。
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2階書架 : 019/SUZ : https://opac.lib.kagawa-u.ac.jp/opac/search?barcode=3410167688
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わかりやすさに逃げず、複雑さ・難解さに向き合う。bean counters に陥らない。
学術書の線引が自分の中でまだあいまいではあるが、まずは本書に登場した本から読んでいきたい。 -
学術研究の課題に切り込みつつ、古典など学術書を読む意義を教えてくれる。
選書がためになり、数冊買った。