日本の貧困女子 (SB新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784815601232

作品紹介・あらすじ

東洋経済オンラインで1億PV突破の人気連載
「東京貧困女子。」が、2019年ノンフィクション本大賞にノミネート!

働く単身女性の3人に1人が年収114万円未満。そこから家族、地域、制度の三つの縁をなくした女性たちが最貧困女子に落ちていく。
都心に比べ地方の女性たちはその三つの縁が保たれていることによって、セックスワークで日銭を稼ぐほかないそんな状態に陥る女性は比較的少ないといわれているが、それは果たして本当か。
地方消滅が叫ばれ、都会以上に貧困化が進む地方において、彼女たちが孤立に陥ったときどんな現実が待っているのか。その実態を明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • 働く単身女性の3人に1人が貧困状態といわれる。
    そこから家族、地域、制度の三つの縁をなくした女性たちが最貧困女子に落ちていく。都心に比べ地方の女性たちはその三つの縁が保たれていることによって、そんな状態に陥る女性は比較的少ないといわれているが、それは果たして本当なのか。


    貧困に喘ぐ地方女性を取材したルポルタージュ。
    『東京貧困女子。』を読もうかな、と買いに行って間違いに気づかずこちらを購入し、読みだすまで違う本であることに全く気付いてなかったです。こちらは、『東京貧困女子。』の地方版のような本だそう。

    機能不全家庭や排他的な地域性、非正規雇用、社会保障を受けるための知識の不足。これは女性に限らないですが、貧困には様々な理由が複雑に絡み合っており、純粋に「今、お金があれば何とかなる」という問題ではないのだなと感じました。根本的な状況の改善には、継続的なサポートや意識の改革、正社員雇用の受け皿など、多方面からの支援が必要ですね。
    さすがにこの本で書かれているように北関東や沖縄がすべてそんな魔境だとは思いませんし、インタビューを受けている女性たちほどの状況に陥っているのはごくごく一部……だと思いたいですが、それでも考えさせられます。

  • 貧困は収入だけの問題ではなく、家庭環境やパートナー、地域等も大きな要因であることを痛感した。

  • 著者の前著『東京貧困女子。』がヒットし、2019年ノンフィクション本大賞にもノミネートされたため、その続編というか「地方編」として企画されたもの。

    4章立て。
    そのうち1~2章は、茨城・栃木・群馬の北関東3県の貧困女子に取材したノンフィクション。
    3章は島根・神奈川・東北出身の貧困女子を、4章は沖縄の貧困女子を、それぞれ扱っている(「女子」といっても、中には中年女性もいるのだが)。

    登場する貧困女子たちの語るエピソードがどれも凄絶なので、その迫力で一気読みさせられる。
    だが、ノンフィクションとしての質は低い。

    私がこの人の著書を読むのは、これが6冊目。
    その経験をふまえて感じることだが、この著者には自分の限られた(そして偏った)見聞を根拠に、全体を決めつける悪癖がある。

    たとえば、旧著『崩壊する介護現場』は、介護業界で働く女性の多くが副業で性風俗をやっているように思えてしまう書き方をしていた。
    「そりゃ、中にはそういう人もいるだろうけど、まさかそんなに多くはないだろ」と思ったものだ。

    本書もしかり。
    1~2章を読むと、茨城・栃木・群馬が、女性が不幸になるしかない恐るべき「人外魔境」に思えてくる。
    男尊女卑の風潮がいまだに強く、女性のまともな働き口はほとんどなく、心を病む女性がすごく多く、金を得ようと思ったら売春するしかない土地、というふうに……。

    本書に登場するようなミゼラブルな貧困女子も、もちろん中にはいるだろう。が、けっして多数派ではないはずだ。
    なのに、本書を読むと、北関東の女性は大半が貧困女子であるように思えてしまうのだ。

    私が栃木県出身なのでよけいそう思うのだが、本書の北関東像は偏っているし、歪んでいる。

  • なんだか…こんな生活を強いられてそれでも生きて頑張っている彼女たちをなんとか救ってあげられる手立てはないものか…そう思いました。これを読んでいる私だってそんなに裕福ではないけれど…こんなに厳しい現実もあるのかとただ呆然としました。ひとつ反論したいのは、北関東に対する偏見が強すぎるってこと…ちゃんと助けてるくれる人や団体もあります。

  • 何とも言えない気分になりました

  • すごく暗い気持ちになった
    でも知ることは大事だと思った
    琉球大学の女性の話が心に残った

  • 働く単身女性の3人に1人が貧困状態と言われる日本。
    親の貧困による子の貧困スパイラル
    地域的な男尊女卑
    学が無いので正規雇用にありつけない
    モラハラ・DV男との交際による搾取

    様々な原因で本当に簡単に
    「貧困」から「最貧困」へ落ちてしまう現状

    学があっても知識がなければ
    知識があっても運がなければ
    それは自分にも決して関係の無い話ではなく
    あのとき勉強を諦めてしまっていたら
    あのときあの男と別れていなかったら
    あのときこの仕事を選んでいなかったら
    あのとき違和感を飲み込んで結婚してしまっていたら…
    たぶん自分もこの貧困の中にいたのではないか
    女性ならば誰もがこの貧困と隣合わせで生きているのではないか

    確かにきっかけは自己責任と言われる
    自身の選択によるものかもしれないけど
    自己責任によるささやかな躓きによって
    一度貧困に落ちたらもう二度と這い上がれない
    そういう社会になってしまっているのが今の日本

    興味深かったのは
    体を売る女性の割合が多いかどうかが
    その国、地域が貧困社会にあるかどうかの
    バロメーターになるということ

    コロナ初期のナイナイ岡村の問題発言もあったけど
    このコロナによって本当にそういう流れが増えてしまったら
    (この本曰く既にパパ活市場は飽和状態らしいけど)
    それは他に稼ぐ術の無い人生選択をしてきた
    個人の自己責任問題だけではなく
    そこから抜け出す事のできない構造になってしまっている
    日本という国の貧困として
    そのうち他人事ではなくなるかもしれないと思って
    世間を見ていないといけないのかもね

  • ・北関東では長男信仰が根強く残っており、長男だけをもてはやしそれ以外の次男や女兄弟をないがしろにする、時には虐待に発展することも
    ・北関東では不倫関係にある男女間で男性が女性にお金を渡す習慣が(援助交際を目的とした場合でなくても)あり、それを家計の足しにしている主婦もいる
    あまり信じられないけど、書いてあることが本当だとしたら、北関東はこんなにも時代錯誤な社会だとは。私が住んだことのある北海道や東京と同じ日本だとは思えない。

  • ちょっと何とも言えない暗い気持ちになってしまう。

  • 貧困から抜け出せない

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著者プロフィール

1972年生まれ。ノンフィクションライター。AV女優や風俗、介護などの現場をフィールドワークとして取材・執筆を続ける。貧困化する日本の現実を可視化するために、さまざまな過酷な現場の話にひたすら耳を傾け続けている。『東京貧困女子。』(東洋経済新報社)はニュース本屋大賞ノンフィクション本大賞ノミネートされた。著書に『新型コロナと貧困女子』(宝島新書)、『日本の貧困女子』(SB新書)、『職業としてのAV女優』『ルポ中年童貞』(幻冬舎新書)など多数がある。また『名前のない女たち』シリーズは劇場映画化もされている。

「2020年 『日本が壊れる前に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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