犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉 (SB新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784815616533

作品紹介・あらすじ

「親のよかれ」は「子どもの呪い」になっているかも!
10,000人の犯罪者を心理分析してきた犯罪心理学の第一人者だからこそわかった
子どもの未来を照らす声かけ、子育ての教科書。

うちだけは絶対大丈夫、という家庭でこそ読んでほしい。
親のよかれが危険な声かけになっていないか検証し
学力・人間力ともに優れ自律した子どもを育てる方法とは?

たとえば……
「早くしなさい」ってつい言っていませんか?
子どもの時間感覚が育たず、進路や将来設計を考えるのが苦手な子に育ってしまいます。
「気をつけて!」ってすぐ注意していませんか?
危険や痛みを自分で知ってこそ、人の気持ちがわかる子に育ちます。

親のちょっとした意識改革で子育ては大きく変わります。
つい怒ってしまったらどうすればいい?子育て方針を途中で変更してもいいの?
手紙や模造紙でできる自律した子の育て方って?いろんな子育てを聞くけど結局どうすればいいの?

子育てに悩むすべての親を救う、人気教授の決定版・子育て論。

感想・レビュー・書評

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  • ワイドショーや「脱力タイムズ」でおなじみの犯罪心理学者の出口保行さんが少年鑑別所や刑務所でなどで心理分析をした経験から書いていらっしゃいます。読む前は、厳しい内容なのかな、と想像していたけれど、意外なほど優しく諭してくれる本で、私にもできる!と思える内容ばかりでした。

    私が意識しようと思った内容は…
    ・「みんなと仲良く」は、言ってみればきれいごと。合わない人に合わせる必要はない。ただし、差別をしてはいけない。心理的距離のとり方を学ばせる。
    ・愛のあるダメ出しをした後にフォローすると効果的。
    ・「早くしなさい」と言わずに、逆算して考える習慣づけを意識する。
    ・「頑張って」の言葉で意欲を持たせることはできない。「よく頑張ったね」「頑張っているね」などプロセスを褒め、意欲を持っていること自体を褒める。ご褒美を渡すときは、親自身も嬉しいことを伝える。

    小学校高学年から中学生のお子さんを持つ方にピッタリです。
    この本に2年ぐらい前に出会いたかったな。

    • コルベットさん
      ゆうこさん、こんばんは。いつもありがとうございます。うちの娘がいま中学生で、とても参考になりました。特に「頑張って」の言葉では意欲を持たせる...
      ゆうこさん、こんばんは。いつもありがとうございます。うちの娘がいま中学生で、とても参考になりました。特に「頑張って」の言葉では意欲を持たせることができない、という点、たしかに!と目から鱗でした(@_@;)
      2024/03/22
  • 犯罪心理学者である著者が、1万人の犯罪者・非行少年たちの心理分析をした結果をもとに伝える子育て論。可能性を潰さずに伸ばす子育てを、具体的な事例と実践法をあげて解説する一冊。

    犯罪や非行につながるのは、虐待、育児放棄、貧困といった目に見える問題だけじゃない。親がよかれと思って投げかけた言葉や行動が、子を苦しめていることがある。事実をもとに再構築した犯罪・非行事例を提示し、子どもたちがなぜそうなってしまったのかを紐解いていく流れが自然で説得力がある。要点をきっちり押さえながらも読みやすい文章で、2時間もあれば読める手軽さもポイント。声かけの仕方などを単なる技術としてではなく、心がけから丁寧かつ実践的に説いてくれる。子育て中の方にはぜひとも読んでほしい。

    もちろん、親との関係に苦しんでいる子にも参考になる。ぼくの両親は何にも教えてくれなかったんだなと痛感して泣けてきた。最後の言葉は蛇足すぎるけど(あれなら書かない方がよかった)、本の内容自体はいいと思う。親子関係を客観視できたり、活用できる手法の説明もあって試してみたい。特に著者自身がお子さんとしていた模造紙家族会議はいいなと。これは一人でしても、キーワードを書きながらつながる部分を探して、自分にとって大事なものを確認できるよね。

    以下、印象深かった内容をまとめておきます。

    ・心理分析で重要なのは「主観的現実」。本人がどうとらえたかが問題。些細なことでも本人は大きなショックを受けたということもある。

    ・親は「確証バイアス」によって、子育ての方針を修正するのが難しい。自分に都合がいい情報ばかりを集めてしまって思い込みが強固に。しかも、家族という閉鎖的な空間には介入しづらい。

    ・夫婦であっても価値観の相違はあって当然。一致しなくてもいいから、話し合うことが大事。お互いに相手が悪いと思っていると、しわ寄せは子へ向かう。

    ・短所は長所へ言い換える。ダメ出しの後は必ずフォローする。

    ・事前予見能力が乏しければ「そのときだけ楽しければいい」など、短絡的思考に支配されてしまう。「早くしなさい」「すぐやれ」といった声かけでは事前予見能力は身につかない。早くするべき理由を伝えて考えさせることでトレーニングしていくもの。急ぐ必要性を理解することで、自分で時間を見ながら動けるようになる。

    ・「頑張って」では意欲を持たせられない。結果ではなく、努力したプロセスを褒めることで意欲は高まる。

    ・いきなり「自己実現」を求めない。マズローの欲求5段階説を参考に、生理的欲求、安全欲求、社会的欲求、承認欲求はどうなのか考えてみる。

    ・内発的に動機づけられた行為に対して、外発的な動機づけを行うとモチベーションが下がる(アンダー・マイニング効果)。芽生えたやりがいがご褒美のためになってしまい、次からはご褒美のためにするようになってしまう。

    ・「以心伝心。家族だから言わなくても伝わっている」なんていうことはない。折に触れて「あなたが元気でいてくれるだけで嬉しい」「そのままのあなたを大切に思っているよ」と話すことが大事。

    ・とにかく子を観察。努力や成長を見つけて認めること。自己肯定感が高まり、自分を尊重すべき人間だと思うことで、他者もまた尊重されるべき人間だと理解できるようになる。

    ・犯罪や非行を防ぐのは「リスク」と「コスト」。失う信頼が大きいと感じるほど、悪いことを思い留まる。家族、友人、先生、仕事などすべてがコスト。

    ・共感の前提は「人の感情を正確に認知できる」(感情を表情などから読み取って認知できる)+「人の感情を正確に推測できる」(笑っているけれど悲しんでいるなど、認知に基づきながら、相手の気持ちを推測できる)。人間関係の成功や失敗を繰り返すことで育まれる。

    ・「子どもは思っていることの1%も口に出せない」「子どもが助けてと言ったときは、すでに事態の深刻さは回復が難しいところまで来ている」

  • 「早くしなさい」「何度言ったらわかるの」「気をつけて」
    毎日のように口にする言葉が出てくるのでヒヤリとする。
    本を閉じたそばから言ってしまい、ああー!!

    これからは早くしてほしかったり、何度も言うほどやってほしい理由などを付け加えてみよう。そして言い過ぎたり怒りすぎたら、素直に謝ろうと思った。

    子供を怒ったり指導したりできるような人間じゃないのに、親になると当然のように感情的に怒ったり支配的になったりしてしまうので、本当に気をつけたい。

    手始めに、約束の時間を過ぎてもディズニーチャンネルを見続け、お風呂に入らない子供たちに「早く入って!」と強めに言ってしまい、揉めてしまったので理由を説明してみた。
    私が早くお風呂に入りたい理由と、子供たちが想像する、ママがなぜ早くお風呂に入りたかったのかが不一致だったので、説明してよかった。

  • どの大人でも言ったことがあるような言葉が、子どもを呪う言葉だったとは!
    言葉自体というより、その裏にある大人の思惑みたいなものに、子どもは反応するのかなと思った。
    犯罪心理学者の経験から、どのような言葉に言い換えたらいいのか示されており、説得力があった。
    気を付けます!

  • 私の母はいわゆる毒親なのだとここ数年で認識した。母のようにはなりたくない、子供たちを愛情深く育てたいと思っていたが、ちゃんとできているのか?不安に思う場面も出てきた。
    私自身が子どもを呪う言葉をかけていないか、確かめるために読んだ。まだ大丈夫だった…はず。
    でも、これから先、自信がないかも。肝に銘じます。

  • この本は、子供だった頃の自分を思い起こさせた。
    そうだ、私はそう思ってた、それが嫌だった、
    ということが、いくつかあった。
    子育て中の人だけでなく、子供に関わる人だけでなく、会社で部下や後輩に接する人にも役立つと思う。あ、夫婦間だってあると思う。
    「前にも言ったよね」「早く覚えてね」「ちゃんとしてよ」「あなたはいつもそうだよね」「頑張ってね!」みたいなことって、色んな場面で発せられる言葉だと思う。
    相手が大人であっても、何気ないひとことで傷つけることがある。傷つくことがある。
    「親と子」みたいな強い関係性とは違うけど、
    会社にいる時間って、とても長いのよね。。。


    以下、心に残ったこと
    ①「みんなと仲良く」はきれいごと。周囲と本当に仲良く出来てる人がどれだけいるか。
    大人だって苦手な上司や合わない同僚はいる。
    合わない人には合わせなくていいし、仲良くする必要はない。心の距離のとりかたを学んで、嫌いな人とどうつきあったらいいか学ぶことが大事。
    「差別しない」と「仲良くする」は別もの。
    みんなと仲良く出来ない自分はダメだ、と子供を追い詰める。

    ②「嘘をついてはいけません」これも①と同じ。
    人を騙したり傷つける嘘がダメなのであって、
    全ての嘘がダメなわけではない。
    人を傷つけないための嘘も、自分を守るための嘘もある。「嘘がダメ」だと思うから、嘘を訂正出来ずに嘘に嘘を重ねることになる。自分を追い込む。
    「あれは嘘だったの、ごめんなさい」と言えることが大事。必死に嘘を誤魔化そう、取り繕うとするほうが、とんでもない結果になると思う。
    これ、大人でもそう。「嘘ついた」だけにフォーカスして責め立てることってある。人格を否定されるので、なんとか誤魔化そうしか考えなくなる。
     (誘いを断るのに、適当に嘘を言った時、など)

    ③親が、「お兄ちゃんなんだからしっかりして、お手本になって」のように言ってきたのに、急に「まわりを気にせず自由にやっていいよ」と言ったら子供は混乱する。今までガマンしてきたのは何だったのかと親に不信感をもつ。
    「これまで兄としての役割を期待することばかり言ってごめんなさい。プレッシャーになってたら申し訳ない。もう言わないようにするから個性を発揮してほしい」のように説明と謝罪をすれば、子供は理解するし親を信頼できる。
    会社でも、やり方や手順・方針が変わることはある。より良くしようとするなら変化はつきもの。
    でも、説明がないとコロコロ変わることに不信感をもつ。大人も子供も同じ。

    ④罪を犯した子が言う「自分は悪くない、騙されるほうが悪い、◯◯だから仕方なかった」などなど。。
    これは罪悪感があるからこそ自分の心を守るために理屈をつけている。言い訳するな!と叱っても意味はない。心を落ち着かせるために言い訳してるので、それを聞くこと。とことん言い訳すれば、自分で矛盾を感じるようになる。
    反省と内省は違う。すごくうまい反省の弁を口にする人もいる。

    ⑤著者の父親が言ってたという言葉。
    「子どもは思っていることの1%も口に出せない。だから常に子どもを観察して、何か異変が起きてないか確認する。子どもが助けてと言ったときには、すでに事態は深刻で回復が難しいところに来てる」
    これは背筋が寒くなった。
    軽くながしたり、頑張ろうねなんて言ったら、取り返し付かない気がする。大人も同じだと思った。


    子供であれ大人であれ、自分と相手は違う人間なんだと本気で認識しないといけないと思う。私の価値観と、好みと、性格は、相手と同じではない。
    ついつい「私はこう思う、私ならこうする」という基準で話してしまいがち。(ひとつのアドバイスだよ、とわかる言い方ならいいと思う)
    私が好きなことは相手も好きだろうと勝手に思ったりする。私が気にならないことは、相手が気にしてるとは気付けない。逆もある。
    これが、親とか上司とか先輩という立場にあると、
    その言葉が「押し付け」になってしまう。
    よかれと思ったことが、むしろ負担にさせてしまうことがある。あなたはどうしたいのか、あなたはどう思うのか、言っていいんだよ、聞かせてほしい、
    という気持ちを伝えられたらいいんだけどな。
    いくらそう言っても、信頼してもらえないと、本音は言わないものだよね。子どもも、大人も。。。

  • 教育関係の仕事をしている身として、仕事にも自身の子育てにも役立つ内容だなと思った。図書館で借りたけど、手元に持っておきたい本だったので購入を検討しよう。

    早くしなさい、何度言ったら分かるの、勉強しなさい、気をつけて、、、
    その言葉を単発で言ったらアウトというよりも、それまでの親子の関係であったり親の一方的な気持ちの押し付けがあって、子どもにとっての呪いの言葉になってしまうのかな。子どもをよく観察するって、とても難しい。

    近年、他責思考の子どもや無気力な子どもと出会うことが増えた気がするのは、その子の保護者の教育力も大いに関係しているのだろう。完璧な親なんていないのだから、子どもへの対応を誤った時には 本書の最後に書かれていたように「さっきはごめんね。私はこういう気持ちだったの。」と素直に子どもに気持ちを伝えられる親になりたいなと思った。


  • 読んでよかった。
    いま、仕事で小中高生と関わっている。
    関わっている子どもたちは、発達にデコボコがあったり、様々な理由から学校に行けていなかったりする子どもたちである。

    今回読んでみて、私はやはり心配性で"転ばぬ先の杖"になってしまうところが多くあると感じた。
    子どもたちが自立するために支援をしているのに、本末転倒だ。

    子どもたちとどのように関わり、どのような声かけをしていくのか、今回学ぶことができたので、すぐに実践していきたいと思う。

    そして、これから先、自分が子どもを産んで育てることになった時も、子どもが"自分は大切にされている""こういうことがしたい!挑戦したい"と自己肯定感を高く持ち、様々なことに失敗を恐れず挑戦できるような接し方や声掛けをしていきたいと思う。

  • 子育ては難しい。自己満足では意味がない。子供の気持ちに立ち返らなければ。子供は親を写す鏡。子供を通していま一度自分を見つめ直そうと思う。

  • みんなと仲良く と 差別しない は違う
    みんなと仲良く は 綺麗ごと
    合わない人に合わせる必要はないし、仲良くする必要もない
    心理的距離のとり方を学んでいく
    近くにいても、心は何億光年も先の星、というくらい当たり障りなく付き合えばいい

    うそをついてはいけない、ではなく嘘を認めて謝れればいい

    家族で話を共有できるよう、親は子供の気持ち、考えをまず聞くことが大事!

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著者プロフィール

犯罪心理学者。1985年に東京学芸大学大学院教育学研究科発達心理学講座を修了し同年国家公務員上級心理職として法務省に入省。以後全国の少年鑑別所、刑務所、拘置所で犯罪者を心理分析する資質鑑別に従事。心理分析した犯罪者は1万人超。その他、法務省矯正局、(財)矯正協会附属中央研究所出向、法務省法務大臣官房秘書課国際室勤務等を経て、2007年法務省法務総合研究所研究部室長研究官を最後に退官し、東京未来大学こども心理学部教授に着任。2013年から同学部長を務める。

「2023年 『犯罪心理学者が見た危ない子育て』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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