20歳の自分に教えたい資本論 現代社会の問題をマルクスと考える (SB新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784815617516

作品紹介・あらすじ

新自由主義が跋扈し、格差社会が進展するなど、資本主義が揺らいでいる。そんな現代社会の歪みを150年前に予言していたのがマルクスである。本書は難解な資本論を、現代社会の問題にからめてわかりやすく読み解いていく。資本主義社会の何が問題で、ポスト資本主義はどうなるのかなど、資本論の本質がつかめ、予測不能な時代を生き抜くための必須の知識が得られる一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 最近改めてマルクスの「資本論」が話題になっているのはなぜだろうかと気になり手にした一冊。

    資本主義とは、その課題は
    資本主義の根底には収奪と侵略の正当化がある
    利潤の追求においては互恵はあり得ない
    =win winはない
    資本主義は私的所有を前提としているため労働によって生み出される富が私的分配されてしまう
    =格差が生まれ、拡がる

    マルクスの資本論の本質は
    資本主義が追求する目的や発展過程の運動法則を網羅したもの
    資本主義の矛盾を指摘しいずれ限界がくることを示す
    =共産主義、社会主義を推奨した訳ではない
    有名な「共産党宣言」は資本の性質から労働者にもグローバル化への覚悟を示したもの

    今後どこへ向かうのか
    貨幣のあり方により米ドルを基軸通貨とする世界が終わり米中露のパワーバランスが崩れる
    SDGsはじめ環境保護へ取組むのであれば経済成長は諦め脱成長へ
    生産手段を私有から社会化することで慈しみを持って自分事と捉えて足るを知る社会へ

    景気が悪くなる、社会不安が高まると資本論は多く読まれる傾向にあるらしい。
    マルクスの資本論は実は資本主義の目的や法則、そして矛盾を示したもので共産主義、社会主義を賞賛するものではない。
    資本主義は資源に乏しいヨーロッパで収奪と侵略を是として発展した。あくなき利潤追求が世界規模まで侵食しいよいよ飽和状態となり様々な不都合が出てきたのが現在であろう。
    その一つがSDGs。一つの解決策が脱成長。
    私的所有から公共財の社会化により慈しむ気持ちと足るを知る社会が新しい資本主義となるのではないか。
    知り合いの中国の方からデジタル人民元について教えてもらったが、大いにゲームチェンジする要素を持っているようだった。ウクライナ問題よりもイスラエル問題が深刻で、正に資本主義の転換点にいるのではないかと感じている。

  • 「今」の世の中の仕組みと流れがスッキリ分かる!!(山城昌志)

    日本大学図書館生産工学部分館OPAC
    https://citlib.nihon-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=1000288127&opkey=B169881790337273&start=1&totalnum=1&listnum=0&place=&list_disp=20&list_sort=0&cmode=0&chk_st=0&check=0

  • 現代社会、特に国際社会の諸問題を、マルクスの視点をベースにして見つめる。
    現代にマルクスが生きていれば、どんなことを思っただろう、と考えさせられる一冊。
    ただ、本書は『資本論』の解説本ではなく、タイトル通り筆者から見た現代社会の姿をマルクスの視点を借りて分析していく本であるから、『資本論』あるいはその解説本を一通り読了し、マルクスの基本的な思想をおおよそに掴んだ段階で読むべきだろう。

  • 僕は資本主義について勉強不足なのでわからない部分もありましたが、きっと読みやすい本なのだろうなというのは終始感じました。

  • 全体的にとても読みやすかったです。

    特に資本主義の成り立ちや歴史の解説は、簡潔にまとめられており、流れがすんなり把握できました。

    社会主義は国営化ではなく社会化すべきだ、という意見に関して勉強不足ながら非常に納得しました。

  • それは著者の主観が混じりすぎていないか?
    と思う点がいくつかあったが、総じてわかりやすく、読みやすい内容であった。

    ベーシックインカムやウクライナ問題、SDGsなど、ホットなトピックを扱っているため、
    どんどん読めてしまう。

    特に、西側諸国の視点を一旦離れ、文化の成り立ち・歴史から紐解くウクライナ問題の分析は非常に興味深い。

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著者プロフィール

的場昭弘(まとば・あきひろ)1952年宮崎県生まれ。マルクス学研究者。1984年、慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。一橋大学社会科学古典資料センター助手、東京造形大学助教授を経て現在、神奈川大学教授。マルクス学の提唱者。マルクスの時代を再現し、マルクス理論の真の意味を問い続ける。原資料を使って書いた作品『トリーアの社会史』(未來社、1986年)、『パリの中のマルクス』(御茶の水書房、1995年)、『フランスの中のドイツ人』(御茶の水書房、1995年)をはじめとして、研究書から啓蒙書などさまざまな書物がある。本書には、著者による現在までのマルクス学の成果がすべて込められている。

「2018年 『新装版 新訳 共産党宣言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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