プロカウンセラーの こころの声を聞く技術 聞いてもらう技術 (SB新書 646)
- SBクリエイティブ (2024年2月7日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784815622688
感想・レビュー・書評
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「傾聴」というイマイチよく分からないものの正体を知りたくていろんな本を読んできました。この本から学べたのは、「状況設定は大事」ということ。目下の悩みは、傾聴を持ちかけてくる相手も、持ちかける相手も特にいないな、ということかな。実践がしたいのだけれど。
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「聞くなんてできている」と思っている人ほど読んでほしい一冊。聞く技術とわかってもらう技術の大原則から、実例を交えた会話方法までわかりやすく解説されている。最後には著者のプロならではの傾聴技術まで惜しみなく書かれていて読み応えあり!
傾聴の本は何冊か読んでいて、より理解を深めるために手に取った。今まで読んだ中だと、古宮昇先生の『はじめての傾聴術』はまさに「傾聴」の基礎から心理学的な内容まで網羅されていてオススメ。東畑開人先生の『聞く技術 聞いてもらう技術』(タイトルが似てる!)は臨床心理士としての経験を踏まえた内容で、安心感の生み方、聞く、聞いてもらうの循環について広い視点で書かれた一冊だった。
この諸富先生の著作は、基礎中の基礎からシンプルかつ丁寧にまとめられていて読みやすい!すぐ読めてすぐ試せるという即効性の高さが魅力。初級編での大原則だけでもかなり勉強になった。聞く時は「聞きっぱなし」にすることがどれほど難しいか。例えにあったアルコール依存症の自助グループでは、語りの後に感想や意見を挟まないことで安心して聞いてもらえる環境を作り出しているという内容は説得力があってなるほどと。何か返さないと失礼とか、友だちなんだからアドバイスしなきゃ!ということがどれほど「聞く」ことを妨害しているか、身に染みて感じられた。
聞いてもらう立場になった時の声かけで「聞いてほしいことがあるんだけど」と言葉を選ぶ理由も納得。「話したいことがあるんだけど」の「なんか怒られるの?!」と身構える感じはよくわかる(笑) 伝え方をほんの少し変えるだけで、話したいことが場に馴染むようになるんだなと。
否定的になっている人に「そんなことない、あなたは魅力的だよ」と伝えるのもやりがち。これは肯定しているようで、相手のネガティブな一面を否定してしまっているんだよね。
「傾聴は、こころの『ネガティブ』にも、居場所を与えるような行為です。」
この一言に救われるような気持ちがした。自己肯定感がほしい!と悩んでいたけど、むしろ必要なのは自分を受容することなんだと気づくことができて、読んでよかった。
印象深い部分をまとめておきます。というか、引用したいところが多すぎる!ぜひ買って読んでみてくださいね。
・「でもね」を言わない。人は「否定されない」安心感があるときにだけ、自分の気持ちを素直に語れる。
・アドバイスは自己満足。余計なお世話。
・聞いていて5分以上イライラしてきたら聞くのを中断する。LINEなら用事ができたなど、対面しているのなら「お腹が痛くなったとトイレへ行く」。イライラしている時ほど、関係が壊れる最悪の一言を発してしまいやすくなる。
・聞いてもらう時は、「いつ」「どこで」を約束する。時間と場所の枠を作る。
・聞いてもらえただけでOKとする。大切な話ほど理解するには時間がかかる。
・自分の関心から質問しない。質問は相手の関心に沿ってする。
・意見や推論ではなく、自分の気持ちを話す。意見を言うと、賛成か反対か、その意見について語らないといけなくなってしまう。まずは気持ちから。
・原因探しではなく、例外的に上手くいっている時を探る。
・理解しあうよりも重要なのは、相手のことがよくわからなくても、信頼し、期待すること。あなたなら、きっとできると思うよと伝えること。
・傾聴してもらうと、人は自分自身のこころの声を聞くようになっていく。 -
自分自身の多忙感から、傾聴について意識が薄れてきていたので、あらためて「そうだったよね」と確認することができました。会話の具体例の所で、読み手が少し立ち止まって考えるような文章構成であれば、もっと読みやすかったかなぁと感じました。とても勉強になりました。
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最近、職場で意思疎通がうまくいかないなぁとか、コミュニケーションに悩むことがあったところ、書店のランキング上位に入っていたこの本を手に取ってみました。
著者は、傾聴やカウンセリングなどの書籍を多く手がけるプロカウンセラー。
傾聴など、聞く側の技術に特化した書籍はよくみますが、こちらは「聞いてもらう技術」、つまり話をする側についても書かれているところがユニークだと思いました。
内容は大きく3部に分かれていて、1部では「聞く技術」と「わかってもらう技術」について初級編、中級編があり、それぞれのレベルに応じて技術を高めるための具体的な行動が示されています。
2部では実践編として、夫婦や上司・部下などのよくありそうな会話事例をもとに、どのように改善すればよいのか改善例が挙げられます。
3部では「ほんものの傾聴」と題して「聞く技術」の上級編になります。著書のプロカウンセラーとしての知見が凝縮された総集編という位置付けです。
なお、3部のあと最終章として「なんのために傾聴するのか」について触れることで、対話の役割・必要性をより深く理解できるようになっています。
改めて聞く技術、聞いてもらう技術を考えると、どちらも難しいなというのが正直なところですが、この本を読んで学んだことは、聞く側・聞いてもらう側双方の努力と協力が必要になるということだと思いました。
以下、気になったことをメモ
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わかってもらう技術とは。
勇気を出して「ちょっと聞いてほしいことがあるんだけど」と言う。この一言が、「わかりあえる関係」をつくるための第一歩であり、すべてはここから始まる。
ちなみに「ちょっと話したいことがあるんだけど」はNG。相手が「何か文句を言われるのか?」と身構えてしまうため。
話をする時のポイント。
・話を聞いてもらう人と「いつ、どこで」話をするのかを約束する。突然いきなり話さないこと。
・一般論や周囲の出来事を話すのではなく、「自分のこと」「自分の気持ち」を話す。
・聞いてもらうための努力も必要。わかってくれようとしている相手へのねぎらい・感謝の言葉を伝える。
聞く技術とは。
大原則は「聞いたら、聞きっぱなし」「余計なことは言わない。そのままにする。
「でもね」「そうは言ってもね」を言わない。アドバイスもしない。
やってはいけないこと。
相手を誉めたり励ましたりしない。
「私なんかいいところがない」と言われた場合、
「そんなことはない、あなたには〇〇な魅力がある」とは言わない。
「自分にはいいところがない、と思ってしまうんですね」と相手の気持ちを受け入れる。
相手の調子にあわせてはいけない。
「そうですよね」「わかります」と言ってはいけない。
「相手の言葉をそのまま繰り返す」のはNG。
「〇〇ということでしょうか?」と要約するのもNG。
傾聴の上級編。ほんものの傾聴。
「あたたかな関心を寄せ、わかってもらえる関係を作る」
「相手の求めているものに応じた聞き方をする」
「人生という旅の同行者になる」
「話し手になる、なりきる」
最終章。傾聴はなんのために行うか?
(話し手の)自己との対話、自分自身との対話をお手伝いするため。
話し手は、話を聞いてもらうことで自分自身に耳を傾けるようになる。その過程を通じて、ありのままの自分を受容するようになり、前進しようとする。
傾聴は、この「自己との対話」の深まりを支える営みである。 -
聞いてもらう技術のほうはあまり踏み込んで書いていない印象でした。
わたし個人としても、聞いてもらう技術よりも、聞く技術のほうに興味があったので良かったのですが…。
それでも、もう少し一般的な人の具体例がほしかったところ。
それでも、上司部下、夫婦、教師と生徒などの関係別で具体例が示されている。
わたしもつい生徒の指導で感情的になり、嫌だと愚痴をいう生徒の声を否定していたと反省した。
傾聴といえば、おうむ返しというイメージがあったのですが、本書の内容はおうむ返しの危険性にも触れている。
相手が自分の話を聴いてくれていると感じるのは、どんなときなのかが具体的に書かれている。
最後の「自分の心を聞くために」という話はタメになりました。
この本の前に自己理解のための日記について書いた本を読んでいたので、5分間何もせずに自分と向き合う時間を作る。そのためにも日記をつける方法は有効だとこの本を読んで改めて感じた。 -
聞く技術とわかってもらう技術。どちらも並べてみると難しくはないのだが、おそらくやってみるとなかなかできないことなのだろう。結論や結果を急ぎすぎるのが良くないのではないかと思った。
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傾聴の大事さを知りました。
普段から取り組める内容もあったので、今できることを一つひとつやっていきたいです。