燃えつきた反宇宙 (図解雑学)

著者 :
  • ナツメ社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784816347016

作品紹介・あらすじ

私たちが住んでいる宇宙は、大火事を免れてここに存在する!量子力学が予測した「反物質」の「反宇宙」が存在せず、この「宇宙」だけが存在する理由を、ノーベル物理学賞を受賞した南部博士の対称性の破れの理論、小林、益川博士の小林‐益川理論にも触れながら、わかりやすく解説。

感想・レビュー・書評

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  •  タイトルには反宇宙とあるが実際には量子論のしかもCP対称性の話。ただ、タイトル詐欺というわけではなく、反宇宙を説明するには量子論、そしてCP対称性を説明する必要があるため、それにほぼすべてのページを割いているという状態。実のところ量子論自体がある意味で反宇宙の説明でもあり、反宇宙が存在しない理由も現状ではCP対称性の破れであると理解されているため、反宇宙の説明=量子論の説明となってしまう。
     左ページが説明、右ページが図解という図解雑学のフォーマットに則っているが、扱っている内容が量子力学であり、CP対称性へとたどり着くためクォーツなどの説明も省略できず非常に難解である。それでもかなり易しく書いてあることは見て取れるので、量子論がいかに難しいのかということもわかる。

  • 反物質や小林-益川理論などが明快に解説されていてよかった。後ろの方はじっくり読まないとわからないが、図が豊富で良い。

  • 量子力学の語る世界はマクロでの常識が全く通用せず、現象のイメージが難しいため難解であるが、図解でうまく説明してくれている。 謎のアルファベット羅列と数式、ファイマン図など、難しい内容は逆に笑えてしまった
    これまで自分の中でモヤモヤしていた、真空の相転移やCP対称性の記述は秀逸で、すごく良くイメージできた
    インフレーション理論では宇宙誕生後の小数点極小ケタの時間で重大な現象がおきてるが、数分後にまずヘリウム原子核ができ、数十万年後に水素原子ができた・・という時間軸になるのは意外に感じた

  • 反宇宙とは、反物質でできた宇宙のことである。この本によると、反物質は宇宙の創世記に起きた大火事により消滅したと言われている。反物質を理解するためには、陽子や中性子および電子よりも細かい単位で粒子の成り立ちを理解しなければならない。クォークとレプトンである。これらの粒子(フェルミ粒子)と力の相互作用を媒介する粒子(ゲージ粒子)の存在を知っていれば、電磁力、強い力、弱い力の統一を理解する助けになる。最後の重力についてはまだ発見されていないグラビドンや、ヒッグス粒子などのことを理解しなければならず、もっともっと勉強が必要である。

  • 「天使と悪魔/ダン・ブラウン著」の中でキーワードとして登場する「反物質」。この「反物質」というものに少なからず興味が湧いたので、本書を手にした。目に見えないミクロな世界の研究が、宇宙の創生という壮大な話につながるのだから面白い。一般の人が素粒子についての概念を知る上では、良い本じゃないかな。

  • 南部、小林、益川の3氏のノーベル賞受賞に引っ掛けた素粒子ネタ。
    歴史的な経緯や加速器の話等が興味を引く。
    対象性の自発的破れによる大統一理論や、
    CP対称崩れも、何だかわかったような気にさせてくれる。

    惜しむらくは、宇宙創成時のクオークと反クオークの反応の大シナリオが、淡々としていて、サラッと終わってしまうこと。

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著者プロフィール

広瀬 立成
1938年、愛知県生まれ。
首都大学東京名誉教授。理学博士。

「2015年 『もったいない社会をつくろう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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