- Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
- / ISBN・EAN: 9784818820562
作品紹介・あらすじ
災害多発時代に入った日本列島。減殺とは何か。「復興災害」とは何か。阪神・淡路大震災14年の復興過程と、国内外の経験から浮かび上がった住宅復興の教訓。
感想・レビュー・書評
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金大生のための読書案内で展示していた図書です。
▼先生の推薦文はこちら
https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=18353
▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BA90434227詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
塩崎先生が、阪神・淡路大震災の兵庫県や神戸市の復興政策について、住民の意見をきっちり聞かなかった、地域コミュニティを分断した、災害公営住宅を郊外にそれも高層でつくりすぎた、など厳しく批判している。
関係者として反省もしたい。しかし、東日本大震災の今の復興事業の状況を見ると参考にすべき点もある。あえてその点を強調したい。
(1)兵庫県、神戸市、西宮市など被災した県と市町村は、従来からもっていた都市計画・まちづくりの豊富な経験を生かして、相互の消極的権限争いや、復興の進捗の遅れを国に責任を押しつけることなく、迅速に復興対策を講じてきた。
(2)早期に都市計画決定に伴い生じた地元の軋轢に対しては、反対運動側にも県や市町村の予算で専門家を派遣して、意見調整を専門家にゆだねるなど、中立的な計画変更の努力をした。
(3)都市計画事業の区域と、住宅局所管事業の組み合わせなど、結果としては、重複させつつ、柔軟な事業計画を策定し実施した。
むしろ、参考になる点もきちんと評価しないと、今の東日本大震災の被災地の首長さんや市町村職員に課題が伝わらないので、あえて、よかった点を列記した。
もちろん、今の被災地は、右肩下がりの経済、人口減少地区、全面的な市街地の流出など、阪神・淡路大震災より厳しい状況にあるが、いい部分は本当はもっと被災市町村に取り入れてほしい。