- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784820120261
作品紹介・あらすじ
1300年間、連綿と続く式年遷宮こそ、日本初のソーシャルデザインだ。サステナブル(持続可能)な社会をつくるために、今わたしたちは何をすべきなのか。さまざまなフィールドから、デザインマインドを持つ実践者の事例を読み解き、展望を描く。
感想・レビュー・書評
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サステナブルが求められる世界において、日本の伝統的な美意識や価値観、文化や技術が極めて有効に活用出来る。そのことは、明治時代にかの小泉八雲こと、ラフカディオ・ハーンが喝破していたと言う。そうなのか。何度か彼の記述が出てくるが、改めて禅、侘び寂び、幽玄、雅、間合い、など簡素な美を宿す日本文化を学び直す必要があるように思って、大変興味を引いた。著者がいうように、少し前のデザインは、色や形を作れる(可視化のプロセス)一部の人のもの(狭義のデザイン)だったが、今はその認識が少しずつ変わり、特別な職能ではなく、どんな人もデザインマインドとスキルを手にすることが出来ると言う。その一方で、デザイナーは、狭義のデザインではなく、企画や経営、環境面をも見越したプロデューサー型のデザイナーになるべきとの厳しい意見も。本当に実力が問われる時代になったものだ。自分へデザイナーには到底なれないけれど、彼らと仕事が出来るレベルにはいたいと思う。
ただ、著者が言うように、今の日本の問題、教育や国際競争力の低下、地方衰退の原因を全てデザインマインドがないせいだ、とは思わない。そんな簡単な問題ではないはずだ。
事例がちょっと古いなとおもったら2014年刊行。なるほど。それにしても、最後事例紹介で終わってしまうのはどうなのか。最後のまとめ的な章がほしい。1番伝えたいメッセージが伝わらない。あと、事例の説明もイマイチ分かりづらい。。。はい、辛口ですいません!!
2021.01.04詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
狭義のデザインではなく、大きなデザイン(デザイン思考にも近い)とは何かを前半の説明と後半の事例で表現した本です。
・正直前半の説明は、Tipsとしては面白いけど全体としては…??感。そんな中で面白いなと思ったのがグランドデザインに関するくだりです。もちろん本書では地域のためのグランドデザインについて述べられているのですが、組織のグランドデザインにも通じるものがあると思います。
本書のデザインプロセスでは、問題解決の先に、「普及や告知」のプロセスと、「現れた事例をベクトル化(ムーブメントにする的な意味で読みました)する」プロセスが含まれていること。いくら組織について考えて策を作っても普及しムーブメントにならなければ意味がないという点でイノベーションみたいです。
後半の事例はライフネット生命やケアプロ(最近電車の中づりでも見かけるワンコイン検診)をソーシャルデザインの観点から考察したページもあって面白かったです。 -
社会の課題をデザイン思考で解き、サステナブルな社会を作る。日本はもしかしたら、昔からそうしたことを、無意識に行っていたのかも知れないが、西欧の思考を取り入れることに躍起になり、思考停止に陥っているのでは?と思った。
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日本は自然を克服するのではなく、自然を取り入れて生きてきたことや、日本の精神文化はもっと勝ちとなり輸出できる点は非常に共感
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俯瞰、観察と発見、問題解決、可視化、具現化、告知化、ベクトル化
社会デザインの難しさは、その考え方をビジネスになるまでいかにして昇華させるか、理想論でおわ亜rせずにいかに実践するか、いかに持続可能な営みに育てていくか。
社会デザインに期待されているのは、経済原理にかなう仕組みを構築し、持続可能な営みを実現する点にある。