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- / ISBN・EAN: 9784821188178
感想・レビュー・書評
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全3巻、一気に読んだ。
決して後味の良くない悲劇だが、これを狂気と言ってしまうセンスは僕にはない。その理由は単純で、誰もおかしくないからだ。
人が無慈悲に残酷に殺される。それは漫画と言えども目を背けたくなることである。
しかし、この漫画で殺人を犯す人間に、理解不能な壊れた人間などいない。壊れていないからこそ殺さざるを得なかった。
殺人を肯定するつもりはないが、それが事実であれ虚構であれ、悲劇と言うより他に言葉は必要ない。
なぜ殺したのか。誰が悪いのか。もっと他に解決方法はなかったか。そんなことに直結してしまう短絡思考こそ、イカれてはいまいか。
人が殺され、命が奪われた。そこで真っ先にするべきことは、悲しむという行為だ。
心の底から悲しむこと。ただ悲しむこと。それができない人間は、いつか人を殺す。あとは単なる確率の問題だ。
春花が最後に雪原へ放つ、たった四文字のひらがなは、すべての罪を代弁する。
なんて悲しい物語なのだと、僕は思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
3巻で登録。こんなマンガみたことなかった。これを描き切った押切先生は本当にすごい。登場人物の表情がいちいち怖い、切ない。
しょーちゃんが出てくるところはほとんど涙ぐんだ。
まさかの相場くんの"変態っぷり"に背筋が凍った。そして春花がどこまでいっても美しい。最後、あの人を倒すために振り返り、想いを巡らせて目に涙を浮かべる場面、家族に想いを馳せるシーンは本当に辛かった。
救いがない。「あの時ああなってれば……」と、しても何も意味がないのに悔んでしまう。
人には推薦しにくい(実際1人にすすめて「鬱になった」と言われた)けれど、読めば普段自分が"人の気持ち"や"家族"をどう見ているか考え直す機会になると思うので、是非。
テーマソング:Insomnia/the HIATUS
Antibiotic/ 〃 -
押切氏の中にある「容赦を一切しない暴力的なまでの精神性」をむき出しにした作品のラスト。
これを読んでから、氏の様々な最新作を読むと、見えかたがずいぶん変わると思う。 -
よく、読むと鬱になる漫画で紹介されているけど
私個人的には確かに読んでて辛い部分もあったけど、そこまで気分が堕ちることもなくすごく楽しめた作品でした
メンタル弱い人は確かに精神ヤラれるかも -
虐待や苛めに歪む子供たちを描いた作品がこれほどまでに描かれるのは、現実にそう言う子供が見えない所で苦悩し、絶望しているからだろう。
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「僕だけがいない街」毒充満悪意凝集版。
雪に埋もれた町、という舞台について。
地図が見えなくなる。ましてや同じ中学の集う町。
出会えばそこが名前通り舞台になり、必然的に事件。
地図や地理を意図的に曖昧にすることで、夢幻劇の相を持つことになる。 -
凄まじい負のパワー。
負が負を呼ぶって言う、超負の連鎖地獄。
「サユリ」と違い超常現象ではなく人間そのものの悪意の話なのである意味こっちの方が怖いです。
登場人物全員と言っていいほどの負のパワーに圧倒されます。
毒度:★★★★★ -
この突き放しである。この突きつけである。誤魔化すわけでもなく、濁すわけでもなく、ぼやかすわけでもなく、まざまざとこの目を覆いたくなる惨状、とち狂ってしまった世界を描き切った著者に感服。
この何も生まない、生ませない現状とこう進むしかなかったのかという後を引く後悔の念が渦巻く中でのこう進むしかなかったやるせなさが胸を引き裂かんばりに襲う。
はぁーこんな未来しかなかったのかね。ほんと、この哀切はやるせない。