- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784822235802
作品紹介・あらすじ
「会社の現状把握」から「ブランドの組み立て」「コミュニケーション設計」「流通への働きかけ」まで中川政七商店のメソッドを初めて全公開!!
日本初・ものづくり企業のための ブランディング×デザイン×経営の教科書。
旧態依然とした家業を継ぎ、13年で売り上げを10倍に伸ばした中川淳・十三代社長。各地の工芸メーカーに特化した経営コンサルティングを手掛け、数々の成功事例をつくってきました。本書では、著者がこれまでの過程で蓄積した中小ものづくり企業のノウハウを初めて体系化。入り口の経営診断から商品企画、デザインマネジメント、販路開拓まで、すべてのノウハウを公開します。
「国には、できない。
その土地の工芸力は、この男に、まかせなさい。」
――編集工学研究所所長 松岡正剛
「読んだ人と読まない人で、
これほどまでに差がつくであろう本は珍しい。」
――good design company代表 水野学
「格好良いデザインと、売れるデザインの違いとは!?
ブランディングとは!?」 ――中田英寿
<主な内容>
1 会社を診断する
“会社のことを正しく知る”ことは基本中の基本。決算書の読み方をはじめ、
ポイントを押さえ、会社の数字が理解できるようになる方法を解説します。
2 ブランドをつくる
ブランドとして認められる結果を意図して能動的に「ブランドをつくっていく」というのが
ブランディングです。ブランドづくりの根本の考え方、手順を解説します。
3 商品をつくる
大切なのは、ものづくりに関わるすべての人が商品開発全体のフローを理解し、
共通言語を持つこと。新商品開発フローや必要な考え方、押さえておくべきポイントを解説します。
4 コミュニケーションを設計する
ブランドや商品は、それらがすべてお客さんに「伝わって」初めて意味を成します。
営業戦略や流通戦略、販促・PRなどを総合的に考え、戦略を設計する方法を解説します。
5 対談
嶋 浩一郎(博報堂ケトル 代表取締役社長)× 中川 淳
感想・レビュー・書評
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中川さんの思想や経営に対する哲学的な内容かと思いきや、完全にフレームワーク集的な内容になっている。
フレームワークを用いて、経営戦略を立て、ブランド戦略を立て、商品開発を行っていくプロセスを解説している本。
## 印象に残った対談の中での引用
課題に対しての"切り口"が必要。売り方や、戦略。みんなが本当に欲しい"インサイト"を探り当てる作業。
論争は、チャンス。「深煎りvs浅煎り」「ステアvsナチュラル」などなど。
「コーヒー ◯◯」という検索ワードを調べて世の中の人が求めてるものを探ってみる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ビジネス書なのですが、読んでいて楽しい本でした。
私が漠然としか捉えていなかった「ブランドをつくる」「商品をつくる」とはどんなプロセスで構築していくのかを体系的に整理、説明をしてくれています。
最初の章「会社を診断する」では、企業の実態を把握するコンサルタントが行う日常業務を紹介しています。そして、その会社は本業を通じてどんな社会貢献をしているのか?これから、どんなゴールを目指して会社経営をしていくのかという中期経営計画作成の工程を学べます。
ブランド、商品つくりの章では、”組み立てシート”というツールを使って揺るぎないブランド、商品のコアを作り込むことが重要なのだと叩き込まれます。
続いて「コミュニケーションを設計する」「対談」と5つの章立てになっており、最後の2つの章が最高に面白いと感じました。一言では言いにくいほど私にとっては濃厚なエッセンスが詰まった内容でした。
本書にあることを愚直に、身近なものに応用していくにはどんな行動を起こすべきなのかを、この連休(緊急事態宣言中のGW)の宿題にします。笑 -
タイトルだけだとピンとこないのだが、中小ものづくり企業のコンサルティングの手ほどき書。
実に戦略的、その戦略を惜しげもなく披露しているのがすごい。
値段をはるかに上回るのリターンが期待できる良書だと思う。
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中川政七さんの事業再生コンサルの本は、どれも平易な言葉とシンプルな手法で、なんだか自分でも再現性があるのでは?錯覚するし(笑)、モチベーションが高まる。 先日、著者の講演にいったら、本書をテキストに奈良の企業を育成してる、とおっしゃってた。やはり教科書だった! 続きはブログへ! https://hana-87.jp/2019/09/28/keieitodesign-shiawase/
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ブランドや商品を作るときにおさえていくべきポイントを、上流から下流まで網羅してある。内容はとても簡潔で理解しやすいが、実際に行うのは難しく、経験が必要。。
ブランドづくりを実践する中で、チェックポイントとしてこの本を利用するのが有効だと思う。 -
ここまでノウハウを出してしまってもいいのかとも思うが、工芸メーカーに加え、ものづくりのメーカー全ての会社に元気になってほしいという中川さんの想いが伝わる一冊。事あるごとに読み直したいと思える一冊。
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非常に内容が充実していた。経営、ブランディング、コミュニケーションのお作法が全て揃っている。
あとは自分が実践できるかが重要。
後ほど気になった部分は書きたい。 -
ブランディングに関する本は数多くありますが、私がこれまで見てきた本は、企業の姿勢や商品に対する考え方など抽象的なものばかりだった印象です。
そのため同じ本を読んでも、おそらく会社側と外部ブランディング担当者とでは、出発地点(現在の会社はこうだ、現在の商品はこうだ)も目標地点(会社はこうありたい、商品をこう見せたい)も違ってしまう可能性がありました。
この本がそれらの本と全く違うのは、出発地点を定めるための分析手法、目標地点に至るまでの設計手法が非常に具体的であること。
この手法を用いれば、会社も従来の思い込みに惑わされず、外部ブランディング担当者も一般論や理想論に惑わされずに、今日からすぐにでも正しい出発地点と目標地点を共有できると思えました。 -
伝統雑貨で有名な中川政七商店。実は同社はものづくり系企業のコンサルティングも行っている。
財務分析をしたうえで、マーケティング要件を整理し、ロジカルに戦略を策定し、デザインに落とし込んでいく......
中川政七商店の支援の流れは、まさにマーケティングのコンサルテーション。
具体的な事例もたくさんあって、とてもわかりやすい。
マーケティング支援のエッセンスがつまった一冊。 -
借りたもの。
中川政七商店のマネジメント、ブランディング、マーケティングについてをまとめた一冊。
ただ日本の工芸の良いものを見つけ出すだけでは無かった……それはバイヤーか。
ユニークなアイデアと面白いものを見つけてくる、矢崎和彦『ともにしあわせになるしあわせ――フェリシモで生まれた暮らしと世の中を変える仕事』( https://booklog.jp/item/1/486276150X )はアイデアの発掘や理念中心だったが、こちらはもっと実務・実践的。
会社が抱えている問題を洗いだし、運営の戦略やブランドの方向性をどのように決めていったのか、実際に手掛けたものから具体例を紹介。
ウジ・トモコ『視覚マーケティングのススメ』( https://booklog.jp/item/1/4756911994 )でもブランドの方向性の明確化を説いていた。ここではそれを視察とヒアリングシートから客観的に明示してゆく方法について言及。
中川政七商店自身が、「伝統工芸」と言わず「日本の工芸」というキャッチフレーズにもブランディングがあった。
そうして中川政七商店で扱われている製品は、伝統的な技術を活かした、モダンでお洒落なものたち。
どの製品にも会社ごとの個性があり、古臭くなく、洗練された印象を受ける。
店舗で実際に手に取った商品の裏話を聞いているようで、おもしろかった。
もしかしたらこれらは、コンサルティングの世界では当たり前の話かもしれない。
しかし、こうしたコンサルティングと無縁と思っていた、日本の伝統工芸――保守的な技術集団で、衰退の一途をたどっているイメージがあったが、「今」に合わせたものを取り入れてゆくことを促す手法に、読んでいて希望を貰う。