ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階

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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822248178

作品紹介・あらすじ

メルク、モトローラ、HP…。かつて取り上げた偉大な企業は、なぜ衰退したのか。転落を阻むポイントは何か。克明な調査・分析で明らかになった「偉大な企業」衰退の真実とは。シリーズ総括の書。

感想・レビュー・書評

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  • ◆衰退の5段階
    第1段階 : 成功から生まれる傲慢
    第2段階 : 規律なき拡大路線
    第3段階 : リスクと問題の否認
    第4段階 : 一発逆転策の追求
    第5段階 : 屈服と凡庸な企業への転落か消滅

    ◆成功から生まれる傲慢
    ・成功は当然だとする傲慢
    ・主要な弾み車の無視
    →指導者が外部にある脅威や冒険、機会に関心を奪われ、当初に偉大な業績をあげるようになったときと同じ徹底した創造性を発揮して若返りをはかろうとはしない。
    ・『何』から『なぜ』への移行
    → 成功すると、企業は『何』に意識が向く。本来は『なぜ』何を提供するか、が大切。
    ・学習意欲の低下
    ・運の役割の軽視

    ◆ 不適切な人材と適切な人材の違い
    不適切な人材が自分はこれこれの「肩書き」をもっていると考えるのに対して、適切な人材が自分はこれこれに「責任」を負っていると考えることである。主要なポストにある人はみな、「どのような仕事をしているのですか」と質問されたとき、肩書きをあげるのではなく、個人として負っている責任をあげて答えられなければならない。

  • 傲慢、規律なき拡大路線、リスクと問題の否認、一発逆転の追求のサイクルにはまってしまうと、転落していく。
    経営者ではないが、今の仕事の基本目的を重視すること、謙虚であること、失敗や問題を直視する勇気をもつことの大切さは活かしていきたい。

  • 偉大な企業が衰退に至るまでを5段階で分析。その全ての段階が衰退に至る必然に感じられ、小さなボタンの掛け違いが取り返しのつかないことに進んでいくのかと思う。本の詳細にはいくつも唸らされるような記述があるが、その中でも、「不適切な人材と適切な人材の違いでとくに目立つ点の一つは、不適切な人材が自分はこれこれの「肩書き」をもっていると考えるのに対して、適切な人材が自分はこれこれに「責任」を負っていると考えることである。」という点が経験上からも納得度が高い。この不適切な人材が衰退の5段階の第1段階にしており、早い段階でバスから降ろしてあげなくてはいけないと感じる。

    以下、備忘しておきたい一文。
    ・暗闇からの脱出の道は、このように腹立たしいほど頑固な人物、そもそも屈服することができない人物から始まる。強烈な敗北を喫するのはやむをえない。永続する企業や団体なら、その歴史のなかでほぼかならずそういう時期がある。だが、長期にわたって苦闘する価値があるのは価値観と目標があるからであり、これを放棄してはならない。失敗とは外的な状態ではなく、心の状態である。成功とは、倒れても倒れても起き上がる動きを果てしなく続けることである。

  • お休み前に上司に勧めていただいた本を読了。
    衰退へ繋がる道は、急にやってくるものではなく、日々の積み重ねが大事なのだと改めて実感させられる。

  • 相変わらずの調査量と実例の豊富さに驚かされる。
    ただ注意したいのは、衰退の五段階は確かにそうだと思うが、後知恵バイアスが多大に働いている可能性だ。
    「後から第三者が見たらそうだよね」ということで、この衰退サイクルを歩んでいる中、当事者たちはそんなことに気付けなかっただろうし、じゃあ、気づくにはどうすればいいの?という解決策も特にない。この辺は経済学者っぽいなぁと思うし、集団の中で実践に移すのはかなり困難だろう。
    この本の教訓を活かせるとしたらむしろ、個人のキャリアに対してだろう。リスクと問題の否認に陥っていないか等、定期的に自分に問いかけてキャリア選択をすると良い。

  • 成功より失敗から学ぶことが多い。
    ウォルマート経営者の好奇心には屈服。

  • 強大な企業がいかに衰退していくか,それを 5 つのステップに分解して説明。(1)成功から生まれる傲慢,(2)規律なき拡大路線,(3)リスクと問題の否認,(4)一発逆転策の追求,(5)屈服と凡庸な企業への転落か消滅,となっている。
    私が特に気になったのは (2)規律なき拡大路線と,(3)リスクと問題の否認。売上げや利益という「会社の規模」に関する話題が増えてきたら,「規律なき拡大路線」と背中合わせなのではないか? と感じた。また世の中の変化に気付かない (気付いていても認めない) というのは「リスクと問題の否認」に繋がる。
    その会社の価値観として何を大事にするか,そして素直な目で物事を見られるか? あたりがポイントと感じた。

  • 衰退の五段階は、企業人なら常に念頭におくべき、忘れてはならない原則。定期的に見直すべき本。多分、不思議の衰退はないのだろう。一連のビジョナリー・カンパニーシリーズで最も重要ば巻だと思う。

  • ビジョナリー・カンパニー1と2で取り上げられたエクセレントカンパニーのうち、
    衰退した企業を取り上げて法則を導きだした本。
    偉大な企業には法則があり、衰退する企業にも法則がある、というお話。
    昔よんだ時はつまらなかったけど、今は面白く読めるという不思議。

    ◯衰退の5段階_人材採用と教育
    企業や事業成長とともに育った人は、「意図的な人材育成」の必要性が理解できない。
    結果的に、人が足りないというよりも、変革してくれる人材がいないという問題にぶちあたる。
    これが組織衰退のメカニズムである。
    売上はすべてを癒す。それは間違っていない。しかし売上を上げたり、事業を急拡大させているなかで変革してくれる人材の採用・教育を忘れてはいけない。

    ○衰退の五段階とは
    第一段階:成功から生まれる傲慢
    第二段階:規律なき拡大路線
    第三段階:リスクと問題の否認
    第四段階:一発逆転策の追求
    第五段階:屈服と凡庸な企業への転落か消滅

    ○第一段階:成功から生まれる傲慢
    ・主要な弾み車の無視
    ・本業への熱意と回転が不足すると危険
    ┗ 指導者が外部にある脅威や冒険、機会に関心を奪われ、主要な弾み車を無視するようになる
    ・指導者の学習意欲の低下

    ○第二段階:規律なき拡大路線
    ・組織の利害より個人の利害を優先
    ・主要なポストのうち、適切な人材が配置されているものの比率の低下

    ○第三段階:リスクと問題の否認
    ・指導者は悪いデータを小さくみせ、良いデータを強調し、曖昧なデーター都合よく解釈する
    ・組織再編への固執は意味がない。問題解決のための組織再編は解決にならない。
    ┗ 組織再編やリストラを行うと、生産的なことをしていると思うがそれは大いなる錯覚。悪い兆候に対して組織再編を戦略や戦術に使っているようでは、否認の段階にはいってる可能性が高い。組織再編の戦略は、幹部が外的な条件ではなく、社内政治に注意を払うようになる

    ○第四段階:リスクと問題の否認
    ・「ゲームを変える」買収、新戦略への一貫性のない飛躍、興奮を呼ぶ技術革新など、劇的で大きな動きによって素早く突破口を開こうとする傾向
    ・救世主のような指導者への期待
    ・新しい計画、新しい文化、新しい戦略という新しい体制を象徴する言葉として、「革命」や「抜本的」変化といった言葉が使われはじめたら危険
    ・業績より売り込みの優先をするようになったら終わり。業績はすべてに優先され、売り込みは二の次で良いはず

    ○金言
    ・偉大な企業は壊滅的な破局にぶつかったときですら、回復して以前より強くなる能力をもっている
    ・偉大な企業は決して屈服しない、戦術を変え続ける
    ・偉大な企業を築くというアイディアを決して放棄しないことこそ、偉大な企業を築く
    ・自分の企業文化を特徴づける原則を大切にする
    ・損失を受け入れ、痛みに耐え、一時的に自由を失う意思をもたなければならない。だが、いずれかならず勝利するとの確信は決して放棄してはならない
    ・リーダー1人が会社を成長させたり立ち直らせる事はできる訳ではないが、リーダー1人によって会社を潰す事が出来る
    ・真に偉大な人物は好奇心と学習意欲を特徴としている
    ・最優先事項はビジョンではなく、もっと基本的な活動
    ┗ 主要ポストに適切な人材を配置、収益性の回復、顧客本位など
    ・企業はイノベーション不足より、リスクを取りすぎて転落するほうが圧倒的に多い
    ・本業への熱意と回転が不足すると危険

    ○まとめ
    ・はずみ車を無視するな
    →「どの回転もそれまでの努力によるものであり、努力の積み重ねによって加速度的に回転が速まって行く。1000回転、10000回転、100000回転になり、重量のある弾み車が飛ぶように回って止めようがないほどの勢いになる。」勢いに乗ったら、勢いを保ち続けろ。回転が早くなったらチャンス。捨てるな。100000回転までいける事業は超少ない
    ・平時からやるべきことをやり、危機においてもブレるな
    ・リスクは少なくできるのであれば少なくしろ。ハイリスクをとればハイリターンがあるなんて言葉を浅はかに理解するな。潰れるぞ

    偉大な企業は確かに大きな賭けを行う。しかし、喫水線以下に大穴を開けかねない賭けは避けている。
    データが曖昧、矛盾している状態でハイリスクの賭けの決定を行う場合は3つの問をたてろ。
    1.良い結果になったときに何が得られるのか
    2.極めて悪い結果になったときにどのような打撃をうけるのか
    3.その打撃に耐えられるのか、本当に耐えられるのか

  • 決して屈服してはならない!
    衰退の五段階
    成功から生まれる傲慢
    規律なき拡大路線
    リスクと問題の否認
    一発逆転策の追求
    くっぷくと凡庸な企業への転落か消滅

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著者プロフィール

『ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則』(Built to Last、ジェリー・ポラスとの共著)をはじめとする世界で1000万部超のロングセラー『ビジョナリー・カンパニー』シリーズの著者。米コロラド州ボールダーの研究ラボを拠点に四半世紀以上にわたって偉大な企業を研究、経営者から絶大な支持を集める。2017年にはフォーブス誌の『現代の経営学者100人』にも選出された。著書に『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』(Good to Great)、『ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階』(How the Mighty Fall)、『ビジョナリー・カンパニー4 自分の意思で偉大になる』(Great by Choice、モートン・ハンセンとの共著)。

「2021年 『ビジョナリー・カンパニーZERO』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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