ブルバキとグロタンディーク

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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822283322

作品紹介・あらすじ

一世を風靡した数学者集団ブルバキ、伝説の数学者グロタンディーク。科学ノンフィクションの名手アクゼルがその功績と盛衰を追う。

感想・レビュー・書評

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  • 2310円購入2010-07-08

  • うーん。。。やはり主観的な人物評がおおい。こういうのは苦手だ。。

    数学者の本質は人物にではなく数学の仕事に宿る。。。。と思いたい。

  • ブルバキの結成から衰退までを丁寧に記述した数学史の本。ブルバキの功罪について、著者の考えが明確に示されており興味深い。ブルバキの功績は、言うまでもなく、数学を「公理」と「構造」に基づいた厳密な言語体系として再構成し、それらを「数学原論」として著したことである。これにより、数学を学ぶ学生のみならず、文系を含む他分野の研究者から一般市民にまで、広く数学的な考え方を啓蒙することに成功した。一方、当時すでに致命的な矛盾やパラドックスが発見されていた「集合論」をベースに数学を再構成したことは、常に非難の対象となっている。著者は、ブルバキの最盛期にメンバーであった、アレクサンドル・グロタンディークの「圏論」をベースに数学原論を書き直すべきだったと主張している。また、著者は、ブルバキのリーダーであるアンドレ・ヴェイユが、数学の能力ではるかに秀でたグロタンディークに嫉妬して、恣意的にグロタンディークの手法を遠ざけたとしており、この点に関してはブルバキの不当性をかなり強調している。
    とはいっても、グロタンディークはブルバキの第3期メンバーであり、数学原論を圏論ベースで書き直すのは時期的に無理があるし、圏論みたいな過度に抽象的な道具を使って当初の目的(学生や一般人への数学の啓蒙)を達成できたかどうかは甚だ疑問である。グロタンディーク自身、ブルバキの活動を「巨大な百科事典を作る試みであり、新たな数学理論を切り開くのには役立たない」と批判し、ブルバキを抜けてしまうので、結局、ブルバキとグロタンディークは互いの価値観を受け入れられなかったのだと思う。ブルバキの活動は、どっちみち(グロタンディークに限らず)大半の数学者には受けが悪いようなので、分かりやすい集合論ベースで基本的な数学のサブクラスを記述した、という結論で問題ないような気がする。(「厳密性」を謳っておきながら、カントールやラッセル、ゲーデル等の結果を無視する行為は、主張の首尾一貫性を保てていないし、明らかにブルバキの瑕疵だと思うが…)
    なお、本書では、ブルバキの活動がヤーコブソンの言語学と結びつき、文化人類学・文学・心理学・経済学などの諸分野を「構造主義」として席巻していく様子が克明に描写されているため、構造主義の勃興および繁栄の歴史的経緯を理解するために本書を読んでも面白いと思った。

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