うつ病から相模原事件まで: 精神医学ダイアローグ

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  • Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784826506571

作品紹介・あらすじ

精神科医療における強制治療はあくまでも「必要悪」である――精神科医療界の「常識」と「タブー」を覆し、相模原事件をテーマに精神科医療と治安政策を考察する。
――私は、そもそも隔離・拘束も、強制入院も、電気けいれん療法も、それどころか薬物療法すら好きではありません。患者さんを縛ったり、閉じこめたり、無理やり入院させたり、電気ショックをかけたり、そんなことがしたくて精神科医になったわけではありません。
――では、精神科医の本来の仕事は何か。それは「話し合うこと」です。精神療法だって話し合いですし、それこそが精神科医のアイデンティティのはずです。
 そうである限りにおいて、この仕事はまだまだ捨てたものじゃないと私は信じています。――[本文より]

感想・レビュー・書評

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  • 「薬に頼らない精神科治療」を標榜する著者の精神科関連の時事問題を架空のジャーナリスト達との対談形式で書かれた一般向けの書籍。一般向けでもあり、わかりやすく書かれている。専門家には批判的な文章もあり、著者に批判的な人もいるかもしれない。お遊び感覚で書かれているため、少しおふざけが過ぎるところもあるが、これもご愛敬か。

  • 人生の悩みのすべてを、心の風邪薬が解消してくれるわけではない

    武見太郎は精神科病院の精神科医を牧畜業者と読んだ
    土居健郎は精神療法が出来なくて薬以外に取り柄がない精神科医を獣医と呼んだ

    通院精神療法 初診30分以上 400点 再診5分以上で330点
    初診一人再診30人のペースで月20日診療すれば、全体で30万点前後 通院精神療法だけで21万点

    専門家はH24ないし25年には自殺者が減り3万人を割るであろうと予測していた。 団塊の世代が自殺好発年齢を過ぎたから

    自殺総数が減り始めるほどに、そんなにも高齢化がすすんでしまった、そう考えなければなりません。

    自殺ハイリスク世代とは、すなわち働き盛りの世代、その世代がもういなくなりつつあるからこそ、自殺者が減るんです 全国に先駆けて高齢化が進んだ秋田と青森では、全国に先駆けて自殺者も減り始めた

    認知症 甲状腺機能低下症の除外

    ラメルテオン(ロゼレム)、スボレキサント(ベルソムラ)は依存がほとんどない眠剤

    医学は医学であって科学でない
    医学の起源はヒポクラテス以来2400年の歴史
    科学はたかだか200年弱
    新参者の科学者に医者がこびなければならない理由なんかない

    漱石 こころ  精神的に向上心がないものは馬鹿だ

    絶対に解決できない昔の問題を今頃持ち出してきて、そのわりにちょっと努力すれば解決できるはずの、「今、ここ」の問題から目をそらしてしまうんだね

    「その問題は極めて重要だ。だからこそ、今日のような混乱した状況で問題にするのはやめておきましょう。少し、落ち着いてから、ゆっくり腰をすえて話し合いましょう」

    傾聴支持共感は、患者さんとの信頼関係を作る時の最初のキッカケにはなる。しかし、けっしてそこにとどまってはいけない。患者さんは今抱えている問題を解決しようという気持ちとともに、その問題から回避しようとう気持ちもある

    「気分を診るな、生活を診よ」

  • 内容や構成はおもしろかったですが、あまり響かなくて、ふーんなるほどそうねえーで終わった感じで、残らなかった。

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著者プロフィール

1962年神奈川県鎌倉生まれ。獨協医科大学越谷病院こころの診療科教授。精神科医。東北大学医学部卒。自治医科大学大学院にて医学博士を、ケンブリッジ大学大学院にてPhDを修得。順天堂大学准教授を経て、2008年から現職。日本の大学病院で唯一の「薬に頼らない精神科」を主宰。専門は、うつ病、発達障害、プラダー・ウィリー症候群等。精神科臨床一般のみならず、産業医としてストレスチェックに対応し、精神保健判定医として医療観察法審判等の業務も行っている。
〈主な著書〉『精神科医島崎俊樹 ―人間の学の誕生―』(東信堂) 、『激励禁忌神話の終焉』(日本評論社) 、『精神鑑定の乱用』(金剛出版)、『思春期の精神科面接ライブ ―こころの診察室から―』(星和書店) 、『プライマリケアの精神医学 ―15症例、その判断と対応―』(中外医学社) 、『生活習慣病としてのうつ病』(弘文堂)、『うつの8割に薬は無意味』(朝日新聞出版) 、『うつの常識、じつは非常識』(ディスカヴァー・トゥエンティワン) 、『うつ病から相模原事件まで ―精神医学ダイアローグ―』(批評社) 、共編著として『精神科臨床はどこへいく』(日本評論社)、『子供のこころ医療ネットワーク ―小児科&精神科 in 埼玉―』(批評社)。

「2017年 『精神科医と考える 薬に頼らないこころの健康法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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