フロー・カンパニー“飛躍し続ける個人と組織に生まれ変わる法則”

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  • ビジネス社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784828414607

感想・レビュー・書評

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  • フローとは、生産性の高い幸福感に満ちた心の状態で、フロー状態にあれば、状況に即して自分のパフォーマンスを最大に発揮することができる。はじめて「フロー」という言葉を聞いたのは、スポーツの世界で、タイガーウッズや、石川遼、イチローの名前と一緒に聞いたように思う。著者はスポーツドクターでもあり、ビジネス界での組織コーチングにも携わっている。本書では、スポーツやビジネスの具体事例をまじえながらフローについて、フロー状態を得るための方法、個人や組織にどんな変化をもたらすかを書いている。

    成果主義に代表される「結果エントリー方式」は、社会、特にビジネス界でプレッシャーやストレス、心の病などを引き起こしており、多くの人が結果エントリー方式の限界に気づき始めている。本書では、その対極的な方法として、フローをよぶための方法、ストレスから自由になる方法を「心エントリー方式」として紹介している。

    矛盾するようではあるが、本当に結果を出し、質の高い成果をあげるためには、結果、成果に着目せずに、心、感情の状態に着目したほうがいいと提案している。

    人間は環境や他人や経験からの影響を受けやすいが、同じ影響を受けても「脳力」を鍛えることで、脳によるとらえ方を変え、結果や外部条件に心や感情の状態が左右されないようにできる。

    従来の心理学的アプローチでは「心の強さ・弱さ」について、「心の状態」と「その状態をもたらす力」をまぜこぜにして一緒に説明してしまっていたとして、著者はその二つを分け、「フローの状態をもたらすための力」を「脳力」というトレーニング可能なライフスキルであるとしている。この説明はわかりやすい。

    具体的にフローをもたらすための思考の5つのポイントとしては以下があげられている。
    1)いまに生きる
     イチローのインタビューでの受け答えの例。未来や過去について聞かれれば「別に」。「今やることをやるだけです」と答える。
    2)好きを大事にする
     会議で興味のない話題で寝ているぐらいなら、好きな食べ物の話でもしていた方が、フローに近付く。
    3)一生懸命を楽しむ
     英語では「Play Hard」。スポーツに熱中している時の状態。一生懸命だからこそ楽しい。
    4)変化を重んじる
     結果を出すスポーツ選手は、結果に着目せず小さな日々の変化を重視している。
    5)自分に素直
     自分の心の声に耳を傾ける。プレッシャーやストレスから自由な状態。

    さらに脳力を鍛えるトレーニング方法として、右脳と左脳のバランスをとること、特におろそかにされがちな「右脳」を鍛える方法(わざとあてないイメージ連想ゲーム等)が解説されていたのは、役だった。

    フロー(Flow)の状態にある人のことをFlowerと呼ぶのは、ちょっと素敵。もしかしてもともとの英語のFlower (花)の語源も、Flowと関係あるのでは?

    自分自身の内発的動機づけのためのヒントとして、フローのことを知りたくてこの本を読んだ。特にフロー状態を得るための思考ポイントの5)自分に素直、という点が、「真の自尊感情」をもち、真にあるがままの自分を生きることと関連しており、私自身にとっての重要なポイントであると思う。

    少し残念だった点は、いくつかコラム的に実名をあげながら企業における取り組み事例がのっているのだが、事例が表層的でコンサルタントである自分とクライアントである有名企業を宣伝したいだけのように読める。心理学の学問の文脈でなく、スポーツやビジネス等の実業界から「フロー」について書いた貴重な本なので、事例は匿名にするなどしても、もっと踏み込んで扱ってほしかった。

    <トリガーワード>
    Flow Flower
    プレッシャー ストレス
    生産性の高い幸福感に満ちた精神状態
    結果エントリー方式 vs 心エントリー方式
    セルフイメージ セルフコンセプト
    揺らがないセルフイメージととらわれないセルフコンセプト
    偽フロー状態(タイプ2)
    フロー化のための脳力のトレーニング
    左脳と右脳のバランス

    <活性化質問>
    1)フローと偽フローの区別、内発的動機づけと外発的動機づけの区別は同じ意味か?
    2)自分がフロー状態になるための具体的な方法は何か?
    3)左脳と右脳のバランスをとるための具体的な方法は?
    4)リスペクトマインド、チアマインド、アプリシエイトマインドは内発的動機づけのための働きかけにどのように役立つか?

  • これは凄いです。今週末に著者の方の研修を受けます。楽しみ!

  • 仕事でストレスを感じる。昔は、プレッシャーをかけることで成果を上げる方法ができた。しかし、いまはその方法では、ストレスが原因で潰れる。または、外部の環境に無関心になり、自分の世界に閉じこもることで、パフォーマンスを、保とうとする。両方とも、すごく心当たりのあることだ。

    エンゼルスの松井選手の例が紹介されているが、この考え方はあまりできていないように思う。

  • ビジネスパーソンのパフォーマンスを高める心の状態FLOWについて解説しているとても分りやすい本です。

    私は、この本を読んでとてもFLOWを理解することができました。
    そして、FLOWな人=FLOWERになりたい!
    FLOWERがたくさんいるフローカンパニーを作る支援をするのが私の仕事だったんだ!と腹落ちすることができました。

    非常に論理的かつ科学的 かつスポーツやビジネスの現場でのエピソードや事例も豊富でとてもわかりやすいです。
    (ムラタぐ)

  • “がんばる”から“楽しむ”へ。
    仕事スタイルの転換のきっかけを与えてくれる本です。

    人生楽しんだもん勝ち!とはよく言いますが、著者はこれを実際
    の仕事や生活に落とし込むことにチャレンジしています。

    ご機嫌な状態こそ、最高のパフォーマンスを生み出す、という考え
    にはナットクできました。

    具体的に数値化しにくいのが難しいところですが、
    ハードな仕事=ストレスフル
    という図式は、意識次第でいくらでも変えられるということを
    実感できました。

  • 会社がこうなったら、もっと面白いだろうな。
    これが、企業が求めるべき姿なんだと思う。

    とても良い本です。

  • 結果を出すためには、結果ではなく心に着目しあらゆる変化に対応して、いつでもフローという心の状態を作れるようにすること

    「結果エントリーの場合は、まずストレスに始まり、結果パフォーマンスが落ちる。フローエントリーの場合はベストな心の状態で働き、結果としてパフォーマンスが上がる。」
    「心は、揺らぎやすいセルフイメージと、とらわれやすいセルフコンセプトがある」
    「セルフイメージは本来持っている能力をアウトプットするのに大きく左右する。セルフコンセプトは、パフォーマンスの向きを決めている。」
    「セルフイメージの特性がわかっていないと、実力が足りないと勘違いしたり、練習に没頭したりする。セルフコンセプトの特徴が割っていないと、自分が駄目だと思いこみ、ちぢこまったりしまう」
    「セルフイメージの変化は外部要因の変化。それによる感情の変化に注目すべき。セルフコンセプトの方向は、持っている思いこみ。その「思いこみにしたがうことで居心地の良さを感じてしまう。」

    自分のイメージで言うと、セルフコンセプトは、おこられた、お前はだめだと言われた、うまくいかない、人に劣っている、なんていう、その時その時の状況や人の評価、事体の急変に、俺は駄目だとか、不安になったりすることではないかと。
    セルフコンセプトは、自分は駄目な奴だなーとか、やっぱり人に迷惑をかけているんだとか、自分は一歩踏み出せないとか、うまくできないタイプだとか。とにかく自分の可能性を決めつけていることではないか。
    この言葉にはすごく共感できる。自分の心の状況を見失わないようにしよう。たぶん、そう思うことはすぐにはかえられない。だから、自分はそう思い込んだり、とらわれたりする人間だってこと、そこを意識しよう。だからって、だめなんてことは絶対にないんだと思うようにしよう

    「自分」が幸せになることを考えることで心エントリーになれる。結果を先に考えてはいけない。そしてフロー状態とは、セルフコンセプトが柔軟
    で良質、セルフイメージが大きく安定していることが重要である。

    結果に対するコミットを切り離し、「自分は自分さ」と斜に構え達観したつもりになる。これはフローではなく、一時的にストレスから逃れているだけ。心の状態をもっと感じる必要

    「フロー状態とは、その状況、状態に合わせて、最適な心の状態を作る努力である。風呂に入れば気持ちいい、間違いだと思えばおかしいと感じる、常に感情が動かず、自分の気持ちをだますことで、揺るがず、とらわれずの状態になっている気になることがある。これは偽フロー状態だ」
    どんな状況でも、自分の気持ちに素直に、そして「機嫌のいい」状態をつくることが大事。何が起きても、何も感じない、動じないというのとはきっと違うんだ。
    じぶんは偽フローになっていないか?

    心を揺るがすのは外部要因である。大切なのは外部要因は自分ではかえられないということ。自分の心を外部要因に任せるな

    「外部要因とは、たとえば環境、他人、経験。」
    「自分の心を外部要因に任せてしまうから、自分の人生すらコントロールできない。」

    身の回りの厳しい状況に対し鈍感/問題から目を背けるとは違う。事象を素直に肯定し、決してそれにとらわれない心の持ちよう

    「フローな心の容態は、怒った状況を素直に肯定し、学ぶべき点を見るように努め、厳しい状況の中でも楽しめる要素、成長の糧になれる要素を見つけ出し、課題克服までの道程を目的化することができる」
    外部要因にとらわれず、自分の限界を決めつけず、「目的」や自分の「満足」を基準に、つねに前向きになるということだと思う。とても大切なことだ。

    フローな心の人は、結果にとらわれていないけれど、自分に課されている目標は知っている。目をそむけないでちゃんと結果を見据えている。
    ただ、結果にとらわれるとパフォーマンスが下がるから、フロー状態を作る努力をしている

    心は外部要因に左右される そこで、まず脳で外部要因を受け止め、心の状態がプラスになるように加工し感情をコントロールする

    「感情はメモリーされる。セルフイメージで、思い込みがあると、悪い感情ばかりにとらわれる上に、メモリーされた記憶がセルフコンセプトの室まで落とすためよけいに悪いスパラルに陥る。」
    「セルフコンセプトとセルフイメージは、上野要にリンクしている。このリンクを理解し、常に良い感情を選択してセルフイメージを大きくしていくと、自然とセルフコンセプトも柔軟になり良いサイクルが出来上がる」
    「このように自分の心の状態を意識する必要があるのに、常に事柄ばかり考えてしまい揺るがされ、とらわれているから、感情や心をよくしようという思考になれない。」
    何事にも、良い感情で取りくみ、記憶も、そして思い込みも良化していきたい。

    左脳:物事を論理的に分析する力、自分の置かれている状況を分析し、論理的にとらえて、今自分は度の湯ない思考や言動をとれるのか考え、fく数の選択肢から最適なものを選び決断すること。すなわち、心の状態を自分で把握する能力がえられる
    右脳:揺らぎやすい性格。右脳が弱いと、左脳の志向が強く。物事にとらわれやすい。右脳を強くするには、自分の気持ちを大切にすること。目標を持ち、チャレンジすること。つまり、この状況で自分はどうしたいのか常に意識することにある

    意志を大事にする・・
    自分のことは自分で決める、という意思。与えられたことでも、自分の意志で推進する。自分の心を快になるように自分で物事をとらえる。

    自分ツールを使いこなす・・
    自分の心が良い方向になるように、自分のとるべき行動や感情を決めておく。とくに言葉は重要。発する言葉が、気持ちを決めていないか?

    思考を大切にする・・
    事柄の受け取り方は、自分の思考できまる。悪いことも思考によってよいことにかえられる
     ★今を大事にする思考をくせづけよう。過去は代えられないからとらわれ
      る。 未来には現実から逃れてるだけ。今、何をすべきか
     ★好きになる思考。嫌なことでも好きになれる要素を見つけ出そう。たぶ
      ん、自分は、好きに対する感度が鈍い(何でも我慢できる)。もっと自分
      に正直に生きていいのではないか?
     ★変化を楽しむ思考を大切に。結果ばかりにとらわれると、少しずつの
      変化に鈍感になる。自分の成長はそんなに早くない。だから不安にア
      ンル、うまくいかないと嘆く。変化を大事にすれば、自分は変わってる、
      成長してと実感できるはずだ。
     ★自分に素直になる。人に好かれる自分、こうでなくてはいけないという
      自分。こうあるべきだと思い込む自分。でも、そんなこと誰も決めていな
      い。自分がどうありたいかは自分で決めていい。素直さは意志だ。

    リスペクトマインド
     誰に対しても、学ぶべきところがあると考えること。きっと自分にとってのプラスはたくさんある。
    チアマインド
     相手を応援する。そうすることで、心は良い状況に向かう。
    アプリシエイトマインド
     感謝する心。きっと感謝することでよい気持になれる。

    理解する生き方
     人の持つ感情や、人の考えることは自由だ。自分には何の権利もない。人をまず理解しよう。
    時間軸のある生き方
     一瞬で判断しない。今の現状や。瞬間でしかその人を見ないことは、誰もハッピーになれない。変化を大切にするように、成長と可能性で判断する癖を身につける。できるようになったことに目を向ける癖をつけよう。
    愛する生き方
    相手の成長、成功を自分の成功と同じく喜びとすることを意識しよう。

  • 10秒ごとにリセット。
    機嫌良く。

  • 結果主義(成果主義)が当たり前になった現代社会には、ストレスに
    押しつぶされそうになんとか踏みとどまっている人がたくさんいる。
    そんな人たちに、次世代のフロー・カンパニーのあり方を伝える1冊。

    フロー状態=「揺るがず、とらわれず」の状態

    フロー状態をつくる重要なファクターは、
    ●セルフイメージ
    ●セルフコンセプト
    つまり、「脳力」である。どんなイメージやコンセプトをもつことがよいか、
    また、それをどう作っていくかを細かく事例を用いて説明されている。

    実践企業のジャパネットタカタの高田社長の言葉は印象的。
    「一生にわたって学習していくという価値の存在こそが働くということの
     真の意味なんだ。それに気づけない人は、働くことがしんどくなる。
     私は、社員に対してしんどいことを強いているのではない。どうかこの価値に
     気づいてほしい」

    「フロー状態」は、「快状態」である。
    ここでは、不快をなくすという発想では、不快から逃れられない。
    「快をつくる」という発想になる。すばらしい。

    頭を切り替えるという即実践可能な内容。
    どの会社にも、必ずある問題の答えになるかもしれない。



  • 偽フローに注意。
    仕事への取り組み方。
    いかにフロー状態をキープできるか。
    あるいはストレス状態から切り替えてフロー状態に
    持っていけるか。
    自分の心の状態を細かくチェックする。
    読んだ方がいい。

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著者プロフィール

辻 秀一:1961年東京都生まれ。北海道大学医学部卒業、慶應義塾大学で内科研修を積む。その後、「本当に生きるとは」を考え、人が自分らしく心豊かに生きること、すなわちクオリティーオブライフ(QOL)のサポートを志す。スポーツにそのヒントがあると閃き、慶大スポーツ医学研究センターでスポーツ医学を学ぶ。99年、QOL向上のための活動実践の場として、株式会社エミネクロスを設立。スポーツ心理学を日常生活に応用した応用スポーツ心理学をベースに、個人や組織のパフォーマンスを、最適・最大化する心の状態「Flow」を生みだすための独自理論「辻メソッド」でメンタルトレーニングを展開。37万部突破の『スラムダンク勝利学(集英社インターナショナル)』をはじめ、『リーダー1年目からの教科書(ぱる出版)』『自分を「ごきげん」にする方法(サンマーク出版)』『禅脳思考(フォレスト出版)』 『さよなら、ストレス(文春新書)』など著書他多数。最新刊は『Play Life, Play Sports~ スポーツが教えてくれる人生という試合の歩み方~(内外出版)』

「2018年 『メンタルトレーナー直伝 先生の“ごきげん思考”で、授業はうまくいく!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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