トルストイ前期短篇集 (福武文庫 ト 601)

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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784828831800

作品紹介・あらすじ

気位ばかり高い俗物貴族を皮肉たっぷりに描いた「陣中の邂逅」、酒で身をもちくずす天才音楽家への共感のまなざしに満ちた「アリベルト」、ヨーロッパ旅行中に目撃した死刑執行など西欧文明への批判をこめた「リュツェルン」ほか、「三つの死」「ポリクーシカ」の計5篇を厳選。文庫本初収録。

感想・レビュー・書評

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  • トルストイの短編集。1856年から1863年にかけて書かれた作品を、前期短編集として収めている。「戦争と平和」が書かれる前の時期である。

    ・短編「アリベルト」は、不思議な味わいのある小説。語り手の若い貴族青年は、ある夜、貧相な服装ながら情熱的で心を揺さぶるバイオリン演奏を聴かせるアリベルトという若者に出会う。美しい顔立ちでピュアな目をしたアリベルト。だが、彼は酒におぼれがちなダメンズ。語り手の貴族青年は彼を邸に保護するのだが、ほどなくそこを逃げ出してしまう。アリベルトのその後の行く末は詳らかには描かれず、短いあいだのひとつのスケッチという感じの短編である。だが、不思議にあたたかいものが心に残る作品である。

    ・「陣中の邂逅」は、トルストイのコーカサス地方での従軍経験に材を採ったとされる小品。舞台の駐屯地に、かつて貴族だったが下級兵士に降等された男がやってくる。男は、自分の身の上現況を愚痴りまくる。軍の上官や同僚を知性も品位もないとくさす。元貴族の男のそんな卑しさが描かれる。

    別の短編「コーカサスのとりこ」でも描かれた、コーカサス地方の風景の美しさが印象に残る。舞台は山間の高地に野営しており、眼下は雄大なパノラマ。コーカサス山脈が夕陽に染まり、眼下には渓谷と平原がひろがっている。

    ・他に「リュツェルン」「三つの死」「ポリクーシカ」の3編を収める。

  • Tolstoy is the writer who is famous for "ANNA KARENINA" and "War and Peace". These works are made translation, filmization or TV many times. This book is a shorts of him. His book will help understand Russian literature and his life.

  • 自分の周囲の人間を無教養な俗物と見做して密かに嘲笑する元貴族(「陣中の邂逅」)の心性と、他者を俗物視して自己をそうした連中から区別された優越者とする心性それ自体がまさに俗物的であるという自己批判と、二つが自分の中にある。

  • 2007/12/8購入・2008/8/6購入・2009/2/13購入

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