SHI-NO呪いは五つの穴にある (富士見ミステリー文庫 76-5)
- KADOKAWA(富士見書房) (2007年6月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
- / ISBN・EAN: 9784829163917
作品紹介・あらすじ
デパートでの爆弾事件のあと、入院してしまった僕のところへみんながお見舞いにやってきた。僕が志乃ちゃんとなごんでいると、キララ先輩が、かつて僕ら3人で解決した「リゼィエの日記」の話を語り出した。その本を読んだ者は不幸になるという呪いの書。当時の僕は、まだ再会したばかりの志乃ちゃんの扱い方がよく分かっていなくて、いとも簡単に事件の真相にたどりついてしまう彼女のことが怖かった。その呪いの書に関する殺人事件が再び起きたと、キララ先輩は言うのだが-。あの時は逃げてしまった僕だけど、今度はちゃんと志乃ちゃんの心ごと受け止めたいって思うんだ。善意の奥に潜む悪意に、支倉志乃が鋭く斬り込む、シリーズ第5弾。
感想・レビュー・書評
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呪いの本にまつわる事件。
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“「アンタは、呪いって信じるか?」
「鈍い?」
「ありがちなボケやなぁ」
いや、そんな「詰まらんわぁ、ホンマに詰まらんわぁ」なんて呆れられても。僕としては別にボケたつもりはなく、それがあんまりにも使われない、日常会話にはまず出てこないだろう単語だったから直ぐには思いつかなかっただけだ。
あぁ、でも――ポンと手を打つ。
「そっか、夏だから……」
「なんや、その春先に湧き出る変質者に対するみたいな言い方は」
「いや、別にそういう意味じゃなくて」言いがかりですよ、それは。「シーズンじゃないですか、そういうの」”
『リゼィエの手記』の表現力が半端無い。
ぞっとするような、少し気持ち悪くなるような。
“あの大どんでん返しはいったい何を意味しているのだろうか。
普段まじめな人間ほど怒ったとき怖いという。それと同じで、リゼィエという少女の最初の印象は真面目で頭がよく、信仰心にあふれた聖女のようだった。死ぬ寸前まで神に救われる事を祈りつづけた彼女が、最後の最後に叫んだ――怨み言。
心臓がわしづかみにされたかと思うほど恐ろしかった。
本当の、心の底から這い出てきた本音だと伝わってきたから。
リゼィエという少女の本音。
極限の状態で出てきた、普段は理性とか倫理観とかで隠れている人間の本性。
純粋な……あまりにも純粋過ぎる『恨み』だ。
不幸な結末だろうと、あるいは幸せな結末あろうと、それならそれで良かったのに。なのに、この結末には、妄想とかそういった不純さが感じられない。心のどこかで、それは死に瀕した人間が辿り着いた、自分を死に追いやる世界の全てと、対照的に今もこれからも生き続けている多くの他者へ向けられる、真実の思いがあった。” -
ライト……ノベル?
確かにライトノベルなんだけど、とてもじゃないけどライトとは言えません。
心理学雑学歴史入り混じり本シリーズ史上最強の複雑さ。
正直わけわからん部分もありました。
いや、おもしろいんだけどね。