SHI-NO-シノ- 君の笑顔 (富士見ミステリー文庫 76-10)
- 富士見書房 (2009年3月19日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
- / ISBN・EAN: 9784829164150
作品紹介・あらすじ
僕らは、どうしようもなくひとりだ。でも、だからこそ誰かが必要なんだね。そんなことに、今更ながら気づいた僕だけれど、志乃ちゃんには最初から全部分かっていたことなのかな。僕らは決して一つになれないし、全てを分かりあうことなんて出来ない。だけど-。だからこそ、僕は君に思いを届け続けてみせるよ。志乃ちゃんと一緒に、いつまでも歩き続けていたいから。大学生の「僕」と小学5年生の志乃ちゃんとの純愛系ミステリー。信じ続けることだけが、未来への希望。
感想・レビュー・書評
-
最終巻を最初に手にとってしまって、予備知識がないだけに少々難解というか覆しすぎ。それに主人公以外の主要登場人物の抱えているものが暗く重い。それだけに最後の志乃の笑顔は値百金。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
シリーズ完結編です
この作品は信者なので補正ありまくりですが、最初から読んで中だるみしないならきっと気に入るはずです。
作者が考える死生観、生き方と、中高生に受けそうな内容です。
ラノベの武器である『イラスト』が、致命的な武器になっている、そんな作品です。
哲学に興味があって現代文で読みたいのなら気に入るのではと。
ミステリメインでは…ないよなあこれ -
“「支倉さん……貴女以外の他人、必要ですか?」
「……………」
「断絶の向こう側に、あの人の姿を望みますか?」
「……分からない」
「あの人の元へ駆けつけたいと、そう思いますか?」
「……………」
志乃はハッキリと頷いた。
小さく、ではなく。
明確な意思を持って。
「その感情を、恋と呼ぶんですよ」”
最終巻。
正直に言うと、まだよく分かってなかったりする。
いや、事件のほうじゃなくて、『一人』とか『私』とか。
ただただ、最後の志乃ちゃんの笑顔にほっとした。
あと、メインキャラが誰も亡くならなかったことに。
“お互いの意思で望んだ。
だから、これが僕らの物語の終わり。
ここから先にあるのは平凡で平坦な日常で、人様にお見せ出来るような大層なものじゃない。事件は起こるが、僕らはそれを二人の力で乗り越えて行く。これがお仕舞い。名探偵にだって文句は言わせない。その先を望むなら、勝手にやってくれ。止めやしないし、邪魔もしない。
僕が、志乃ちゃんが望んだ生活がここにあるのだから。
この世界のすべての他人にだって、それは否定させない。
「……ご馳走様でした」
「早いね。もう出るの?」
「待ち合わせしてるから」
食器を流しに置いて、志乃ちゃんは学校指定のショルダーバッグを持った。幼い彼女の身体には幾らか大きいそれを重そうに肩に掛ける。
(中略)
「……………」
酷く納得いかない表情だったが、根負けしたらしく志乃ちゃんは覚悟を決めた。
口が何かを咀嚼するように動く。わざわざ準備体操をしなければならない程、筋肉は固まっていた。長い間……ずっと昔から。
それでも―――――
「い、行ってきます」
その笑顔は、僕が見て来たどんな光景よりもずっと綺麗で――光に満ち溢れた、未来そのもののようだった。” -
ニコ生