ルトワックの“クーデター入門"

  • 芙蓉書房出版
4.00
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本棚登録 : 173
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784829507278

作品紹介・あらすじ

「クーデターはやる気と材料があれば素人でもできる!」

事実上タブー視されていたクーデターの研究に真正面から取り組み、クーデターのテクニックを紹介するという驚きの内容。

『自滅する中国』(芙蓉書房出版)、『戦争にチャンスを与えよ』『中国4.0』(文春新書)などの著作で、いま注目度がきわめて高い論客エドワード・ルトワックが1968年に発表した衝撃のデビュー作「クーデター入門」が50年の歳月を経て、改訂新バージョンで登場。
「クーデターに適している国とはどんな国か」→ 国家の“弱さ”を知る
「クーデターはどうやって起こされるのか」→ 予測し、防衛する方法を知る

「こんなものを書いて読者を誤らせ危険な目に遭わせることにならないか?」という疑問に対し、ルトワックははっきりと答える。
「クーデターはすでにいたるところで起きている。この本でクーデターのやり方を学べば“クーデターの民主化”への一歩になり、すべてのリベラルな心の持ち主が賞賛するだろう」

感想・レビュー・書評

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  • 2019.02.18朝活読書サロンで紹介を受ける。

  • 五十年も前に初版が出ている名著らしいのだが,初版は実際のクーデターにも活用されているらしく,まえがき読んでて戦慄。
    失敗したクーデターなのだが,首謀者は「その夜に、多数の銃痕を残して死亡していたところを発見されている…多くの書き込みがあり、血ぬられた本書のフランス語訳が、彼の机の上で発見された」p.10
    これは1972年のモロッコクーデター未遂。
    休暇帰りの国王のB727をモロッコ空軍のF5戦闘機3機が銃撃,死者が出るも国王自ら機中から「独裁者(自分のこと)は死んだ」とラジオ放送,撃墜を免れる。
    すぐにクーデター側は制圧され,首謀者(空軍参謀長)は自殺したという。
    https://en.m.wikipedia.org/wiki/1972_Moroccan_coup_attempt

    失敗したからこそ本書の存在が明るみに出たってことかな。クーデタ成功させた奴は「おかげさまで」ってやらないから分からないよね。
    活用された事例が本書の宣伝には逆効果というの,なかなか皮肉が効いている。

    初版まえがき「これはハンドブックである…理論的な分析ではなく、実際に国家権力を握るために活用できるような、クーデターのテクニックを紹介することを目的としている…多くの人々がクーデターのやり方を学んだら、それは…『クーデターの民主化』への一歩であり…賞賛すべきこと」p.21

    巻末の補遺に,未遂既遂にかかわらず世界各国のクーデターをまとめた表が載ってたんだけど日本のこれは三島由紀夫に違いない(p.311)。
    しかし三島事件が「官僚の一部」による失敗した「クーデター」というのはいくら何でも…。そもそも大蔵省とっくに辞めてたよね? https://t.co/QS2BuUN1KZ

  • 「入門書」と称して、徹頭徹尾クーデターを「企図する側」の視点で述べられてますが、
    クーデーターについての詳細でまじめな分析。
    当然、「阻止する側」にとっても有益な知見。
    それを、このスタイルで敢えて述べちゃうのが、ルトワックさんのスタイルなんだが、最初からこのスタイルだったのねw

    ただし、訳者後書きにもあるように、改訂版ではあるモノの、改訂内容が完全に現在のレベルに適切なモノでは無いので、「アラブの春」を参考にSNS対策が書かれている…というわけでは無いのが、残念な点ではある。

    そして、繰り返し主張するけど、「ローマ帝国の大戦略」「ビザンツ帝国の大戦略」を邦訳してよ!!
    読みたすぎるやろ!!

  • 226事件が一体どういうものだったのか、ということを途中から考えながら読んでいた。よくあれはクーデターと書かれているのを見かけるけれど、この本から見たらクーデターでも何でもないのだ。

    訳なので、読みにくい箇所もあった。訳でなくてもこの人の本は難しいのだけれど…。

  • クーデターはやる気と材料があれば素人でも出来るというアオリは間違ってはいないが、本書で要求されていることを全てクリアすることが極めて周到な準備と根気を要し、そう簡単に手を出せないことが改めて理解できる。
    逆にクーデターを起こされる側にとっては組織の脆弱性を診断する良い指標となる。
    一読者としては、将棋の解説書のように一手一手の意味が明確に示されており、つい引き込まれてしまった。

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著者プロフィール

ワシントンにある大手シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)の上級アドバイザー。戦略家であり、歴史家、経済学者、国防アドバイザーとしての顔も持つ。国防省の官僚や軍のアドバイザー、そしてホワイトハウスの国家安全保障会議のメンバーを務めた経歴もあり。米国だけでなく、日本を含む世界各国の政府や高級士官学校でレクチャーやブリーフィングを行う。1942年、ルーマニアのトランシルヴァニア地方のアラド生まれ。イタリアやイギリス(英軍)で教育を受け、ロンドン大学(LSE)で経済学で学位を取った後、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学で1975年に博士号を取得。同年国防省長官府に任用される。専門は軍事史、軍事戦略研究、安全保障論。著書は約20ヵ国語に翻訳されている。邦訳には『クーデター入門』(徳間書店)、『ペンタゴン』(光文社)、『アメリカンドリームの終焉』(飛鳥新社)、『ターボ資本主義』(TBSブリタニカ)、『エドワード・ルトワックの戦略論』(毎日新聞社)、『自滅する中国』(芙蓉書房出版)、『中国4.0』(文春新書)、『戦争にチャンスを与えよ』(文春新書)がある。

「2018年 『ルトワックの”クーデター入門"』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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