積木の恋 (プラチナ文庫)

著者 :
  • フランス書院
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感想 : 56
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784829625163

感想・レビュー・書評

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  • 恵まれない境遇の主人公が詐欺師として騙そうとした相手に絆されて本当に好きになってしまう、という定番のストーリーではありますが、心情が丁寧につづられていて、読み応えがありました。
    結ばれた後も簡単に心を許さないところがわかるなぁ・・・と思いました。無条件ですべてをさらけ出すのは怖い。その怖さを分からない加賀谷はやっぱりお坊ちゃまだな、と思いました。でもそのすれていないところが良かったのですよね。
    最後のレストラン経営者の夫婦に誤解は解いてくれたんだろうか・・・おばあさんはどう思ってるんだろうか・・・そこだけはちょっとモヤっとしました。あの夫婦には一矢報いたかった。でも現実ならやっぱそうするしかないだろうな、とも思いました。
    結局は中卒で前科ありの主人公が本当の意味で安らげる日は来ない気がする・・・ずっと加賀谷の愛情にすがっていくしかないのですよね。もちろん、誠実なのは分かってますが・・・。これが女性だったら結婚して子どもでも産めば安心できるのかも。そうできないところが切ないですよね。何かそう考えると真の意味ではハッピーエンドとは言えない気がしてもやっとしました。
    何が言いたいのかと言うと蓮がちゃんと就職出来たら良かったな、ということです。働いてる男が好き。

  • 蓮(透)の素直になりきれない過去のいろいろが辛かった…でもそれを少しずつときほぐす加賀谷の優しさが暖かくて良かった。前科者に対する一般的な対応という意味でレストランの夫婦とのエピソードがあったのだろうけど、誤解が解けないままだったのはなんか悔しかった…

  • 男性を相手に恋愛詐欺をはたらく五十嵐蓮。
    彼は裕福な男たちから騙して金を取ることに何の罪悪感も無い。
    ある夜バーで出会った総合病院の息子、加賀谷聡に近づいたのも金を巻き上げるためだった。

    最初に金を受け取るまでは順調な詐欺の過程だったけれど、今まで騙した男たちとは違う行動を取る
    加賀谷に調子を狂わされるはじめる蓮。

    加賀谷からドイツで一緒に暮らそうという誘いを受け、
    騙そうとしていた相手を好きになっていたことに気付く。

    今までに無い感情が芽生えた中で体を重ねた翌日、蓮の元に警察がやってくる。
    二年の実刑判決を受けた蓮は、東北の刑務所へ収監されることになる。


    加賀谷を騙してることへ徐々に罪悪感を持っている蓮のキャラクターがとても可愛かったです。
    加賀谷の優しさと蓮の生い立ちからくる寂しさの表現がとても巧みだと思いました。

  • 不幸な生い立ちの為恋愛詐欺師として身体を差し出す生活してる受と騙されても尚全ての愛情を捧げる攻。かなり私の萌えツボを押してくる設定、のはずが本編が短過ぎるせいか残念ながらそこまで至りませんでした。もう少しページがあって二人の気持ちが寄り添う様や葛藤を描いてくれていたらもっと感情移入したはずなのに。ちょっと綺麗にまとまり過ぎていた気がしました。
    ただ二人が結ばれてからのその後、蓮が未だ素直ではなくツンを貫いているところはよかった。ただの甘いハッピーエンドではなく辛い現実やそれに立ち向かっている二人に胸が熱くなり、最後やっと共感出来た気がします。

  • そもそも私は(容姿の)綺麗な男に弱い。
    違った。。綺麗で痛い男に弱い。
    なぜなら、自分で動かせないから、他人が描く綺麗で痛い男は安心して読める。
    私はきれいな男は苦手。容姿では無く気持ちがやたらきれいな男は苦手。苦手だから2次元でしか楽しめない。

    これは、私は弱い男と、苦手な男が、思った通りにくっついていくお話で、うんざりしながら楽しみました。
    何ていうか、安心して話を追えた感じです。
    これはふたりの話にのみカメラが向けられてるからでしょうね。
    背景をもっと取り込んでしまったらとてもじゃないけど収まりきらない。
    仕方なくカットしたのかもしれないけど、その分まとまり過ぎという感もなくはない。

    うん、、、仕方ないのかなぁ。残念だけど。

  • 積木のイメージが壊れやすいというネガティブなイメージだったのでドキドキしながら読みましたが、あとがきにもあった通り、一つ一つ積み上げていくというのも積み木なんだな…と開眼。静かで滔々と進んでいく物語だけど名作の一つだと思います。初めて読む作家さんでしたが他の作品も読んでみたくなりました。

  • やべーすごい好きだ(*´д`*)研究職医師×恋愛詐欺師。なんて言ったらいいか分かんないけど好きだ。加賀谷の懐がでかすぎる。タイトルもすごく良いですね。バイト先の件は誤解が解けたら良かったけど、ああいう方がリアルだしね。お水の事だけでもせめて加賀谷には話す事ができれば良いなぁ…。アドベントカレンダーはこどもの頃毎年サンタさんから貰ってたので懐かしくなりました。表紙の馬は東山魁夷の絵からきてるんですよね?(*´д`*)

  • 蓮が聡と幸せになれればいい。

  • ▼あらすじ
    これが「好き」という気持ちだろうか──
    恵まれない生い立ちから恋愛詐欺師となった蓮は、恵まれすぎている男たちの金を巻き上げることに、なんの罪悪感もなかった。次のカモにと狙ったのは、総合病院の長男である医者の加賀谷。呆気なく騙され蓮に夢中になる加賀谷を、内心馬鹿にしていた。なのに──生真面目で真摯な愛情、穏やかな逢瀬。加賀谷と過ごす優しい時間に、知ることのなかった感情が湧き起こるが……。

    ***

    大好きな作品の一つです。
    この作品を読んで以来、すっかり凪良先生のファンになりました。
    こういう受けや攻めのお話はあまり馴染みがなかったので、自分でも大好きだと自信を持って言える事に吃驚しています。

    読み進める度にじわじわと心が温かくなっていくような。
    上手く言葉に表せないのですが、なんて透き通った文章を書く方なんだろうと感銘を受けました。
    言葉がすとん、と心に落ちては雪の様に溶けて染み渡って行く。
    そんなイメージでした。

    優しくて温かい。読み終わった後に幸せな余韻に浸れるお話です。
    是非色んな方に読んでいただきたい作品の一つです。

  • 小説で泣いたのは久しぶり!
    BLのくせに良いストーリーしやがるぜぃ!

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著者プロフィール

1973年生まれ、京都市在住。2007年、BLジャンルの初著書が刊行され、デビュー。17年『神さまのビオトープ』を刊行し、高い支持を得る。19年『流浪の月』と『わたしの美しい庭』を刊行。20年『流浪の月』で「本屋大賞」を受賞する。同作は、22年に実写映画化された。20年『滅びの前のシャングリラ』で、2年連続「本屋大賞」ノミネート。22年『汝、星のごとく』で、第168回「直木賞」候補、「2022王様のブランチBOOK大賞」「キノベス!2023」第1位に選ばれ、話題を呼ぶ。翌年、同作の続編にあたる『星を編む』を刊行した。

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