龍樹・親鸞ノート

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  • 法蔵館
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  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784831871473

作品紹介・あらすじ

大乗仏教の祖龍樹と浄土真宗の祖親鸞を論じた記念碑的名著の待望久しい増補復刊。限定五百部。

感想・レビュー・書評

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  • 著者が龍樹と親鸞について論じた文章を収録している。ただし親鸞について論じたものは少なく、ほぼ龍樹の研究書と言ってよい。

    著者は、龍樹の思想を神秘主義とみなすE・ラモットや梶山雄一の立場を批判する。とくに、神秘主義と解釈する論者が「直観」という言葉を用いていることに対して、『般若経』における「空」の議論は自性を持たないという意味で理解できることを指摘し、そこに特殊な直観を容れる余地はないと主張している。

    また著者は、『中観』や『大智度論』における「菩薩」や「波羅蜜」、「方便」といった言葉の使われ方を参照し、龍樹が「空」を論理化したのではなく、むしろそれを実践の中に投げ入れることをめざしていたと主張し、こうした彼の立場が在家信者に開かれた大乗仏教への道を作り出したことを論じている。

    初学者に向けて龍樹の生涯と思想を紹介した文章があるかと思いきや、「菩薩」や「方便」といった言葉の使い方を調べた専門的な研究の論文も含まれていて、一冊の本としてのまとまりを欠いているように思う。

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著者プロフィール

1923年静岡市生まれ。東京大学・ミュンヘン大学などに学び筑波大学・日本大学などで教授として勤める。現在、筑波大学名誉教授。文学博士。著書に『バウッダ』(中村元と共著、小学館)、『仏教入門』(岩波新書)、『世親』(講談社)、『初期仏教の思想』上・中・下(第三文明社)『龍樹・親鸞ノート』『大乗とは何か』『ブッダとサンガ』(法藏館)ほか多数。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

「1985年 『比較思想研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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