- Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
- / ISBN・EAN: 9784831871855
作品紹介・あらすじ
「読み甲斐のある書物に出会った」(西部邁氏)と激賞された鮮烈,白眉のエッセー集。宇宙と人間,生と死,神,科学,詩などをめぐる明晰な思考を,詩魂溢れる言葉で刻む,評判のロングセラー。
感想・レビュー・書評
-
33511
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
哲学
-
「知識人」批判を展開している序章を皮切りに、論理、詩、科学、心理、神についての考察と、「応用編」として「非‐女権思想」「禅についての禅的考察」の二編が収録されています。
多くの哲学的エッセイを刊行している著者ですが、本書は著者の考える哲学的思索そのものがもっとも純粋なかたちで提示されているように思います。ヘーゲルやウィトゲンシュタインなどの哲学者たちの議論が参照されつつ議論が展開されていますが、講壇哲学的なテクスト解釈をおこなうのではなく、先哲の思索との対話を通じてみずから哲学へと参入する著者の姿勢がストレートに示されています。ある意味で、ヘーゲルやウィトゲンシュタインが格闘していた問題の中心にまっすぐに入り込んでいくような議論といってよいのではないでしょうか。
また、ランボーやマラルメ、西脇順三郎といった詩人たちや、アインシュタインやハイゼンベルクといった物理学者、フロイトやユングの心理学、プルーストやドストエフスキーの文学についても言及されています。小林秀雄や埴谷雄高を敬愛する著者らしい、硬質で詩的な文体と純粋な思索が見事に結晶化されている本だと思います。 -
哲学とは何か。
堅い言葉や、専門用語で人をだますのではなく、どこまでも真摯に向き合おうとする姿勢に脱帽しました。
わからない言葉。わからない用語。錆付いた頭を鞭打ちながら、イメージの奔流をさまよううちに、見えてくるものがありました。
章によって扱うテーマが違うため、ものすごく理解しやすい章と、そうではない章に分かれるのが興味深い。 -
謎を、謎として生き切ることの困難さ。
わからない、とわかるというどこまでも醒めた自覚をもって生きるということ。 -
池田さんの本の中でも一押しです。処女作だけあって
気合の入り方が半端じゃないです。読む側も覚悟を
もって読んだほうがよいでしょう(^_^;;)
有史以来さまざまな人が伝えてきた概念や常識を
すべてとっぱわれた気分です。
まだまだ考えが浅い自分としては、欲、戦争などと
いった概念以前の原点を少しだけ垣間見る程度にしか
理解できなかったが、それでも言葉では言い表せない
何かを感じることができました。
ただし、いい悪いは抜きにして希望、夢といった
ことも入る余地がない世界観です。この世界観
ではどの時代でも生きるのはつらそうなので、
こういう世界観があるんだな程度にして
おいたほうがいいかもしれません(^_^;)
それでもいえる事はこの世界観では戦争なんて
起こりえないです。