- Amazon.co.jp ・マンガ (136ページ)
- / ISBN・EAN: 9784832241336
感想・レビュー・書評
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幼女の目から見たとかげとねこいぬそのほかの、波乱万丈実録記。
ほんわかぼんよりSF日常ねこファンタジーまんが家「竹本泉」先生が世に送り出されている作品群は物語の壁をまたいで共通している設定がけっこう多いそうです。
竹本先生が想定されている世界観としては魔法が存在する世界とそうじゃない世界とで大まかに二分されており、作品によってどちらに属しているか決まっているんだとか。なかなか豪快ですね。
とは言え作品を見比べていても数百年、時に数千年単位で時系列が散らばっているのでガッチガチに考察しなくても話は通ります。細やかなつながりを発見してにやりと笑うくらいが一番楽しいのでしょう。
西暦2020年代を生きているわれらとしてはSFやファンタジーも同じこと。我々の知る世界という枠の遥か彼方にある常識を備えた、銀河の果てに至る世界を見て回ることに変わりはないわけですからね。
というわけで作品としては全一巻、タイトル通りに広大な宇宙で両親から引き離された幼女「るるるこ」の放浪記です。『流(なが)るる「るるるこ」』てなもので。
ただしいつもの竹本節というべきか、父母を訪ねて三千里というには悲壮感は全然ないのでご安心あれ。
流浪する物語ということもあって主人公のるるるこはいろんな宇宙人や勢力の間を渡り歩きます。なので正直に申し上げればほかの竹本わーるどの住人たちについて知識を入れておいた方が楽しめると思います。
なんとなくで理解させてくれるのも竹本先生の腕前ですし、気にせず読み進めてもいいとも感じましたが。
むしろここをきっかけとして、SF系の竹本わーるどに入門してみるのもいいかもしれません。
事実私も魔法系の竹本わーるどしか知らなかったのを、本作を窓口にして開拓していったクチですから。
そんなこんなで幼女るるるこの旅のスタート地点はとかげ型宇宙人「サールス」の召使いからです。
SF系のおはなしでは「火星人」と並んでもはや必須と言っていい彼らは、 唯我独尊、自分たちの文化を至高のものと考えて宇宙制覇を目論むけど隙が多くてなんか気が抜けてる憎めない奴らです。あと猫好き。
サールスの登場作品を列挙するのはレビューの本分から外れるので今は省くとして。
本作の背景について述べると。なぜか宇宙のあちこちにコピーされた地球が存在する世界観、それぞれ違った政体で地球人同士が対立しているという構図です。これはほかの作品にもみられます。具体的には『トゥインクルスターのんのんじー』に『トランジスタにヴィーナス』などのスぺオペ系の作品に詳しかったりします。
まぁ、気にせずとも話は進むんですけどね。
宇宙人だろうと魔法だろうと「へんてこ」の一言でくくれますし、そういった背景を知らない無垢な「るるるこ」視点ってことも効いているんでしょう。ぶっ飛んだ知性体との接触もスムーズに進みます。
適度に補足説明を入れてくれる知育機械(るるるこが付けてる「猫耳」)のサポートもあり、へんてこな宇宙の住人たちと「るるるこ」との間で繰り広げられるズレたやり取りにほっこりすることができるわけです。
あと、サールスは同族間の別勢力同士での争いが絶えず、別に覇権を握れるほどの力を持っているわけでもなくてしてやられることが多いのが、なんというかパワーバランスだなあ……って思います。るるるこもサールスの召使いにされてるのに、幼女ということを差し引いても彼らに好意的な時点でわかる気もしました。
ともあれ、サールスの出番は総じて多めなので彼らのファンにとってもたまりませんね。
それはそれとして「猫」を神とあがめる謎の種族とか。集合知性なねずみ型種族とか。
るるるこの出会いは多様です。
くわえて構成が特殊で時系列があっちらこちらに行ったり来たりで混乱するような話の順番になっています。
ねずみの種族な先生が結節点として話をまとめてくれるので、難解ということもないのですけどね。
むしろ話の終わりもしくは地球に帰還して両親と再会するというあがり地点が見えてきた時点こそが重要になってきます。この話はこういう流れだったのか! となり腑に落ちるかもしれません。一気読み推奨です。
それと、幼女から少女になったるるるこの成長も一足飛びで実感させていただけると思いますし。お得です。
以上。
読者は感じるがままに、るるるこの愛らしさを愛でましょう。あと猫も、あと犬も、それからとかげも。
それから本作は客観的にみると深刻ですが、主観的にみると全然深刻じゃない流れに乗って、人に言われるままに生きてきた幼女るるるこが、じぶんのやりたいことを見つけるまでのおはなしとも言えます。
この確かなメッセージを無垢なこどもの言葉に乗せて、ごくごく当たり前にお出しされた事実に痺れました。
ますます私は竹本先生のファンになりました。と。あとは、そうですね。
だいたい表紙そのまんまのいつも竹本先生の変わらない安心と安定の絵柄と作風ですので初見の方もどうぞ。
それともうひとつ、言いたいことを言います。
終わりから一ページ前に見せてもらえた、大人になったるるるこのいろんな姿には胸が熱くなりました。
ワンぺージだからこそ、これまでがギュッと詰め込まれたようだったのでなおのことです。
彼女の旅はこのためにあったのかと、魂で感じさせていただけたようでした。
よって願わくば、どこかの竹本先生の世界の中で大人になった彼女と再会できればと考える私がいます。
では。それと限らず、読者の方々は彼女の旅をとっかかりにしてここで出会えた誰かさんに会いに行ってみてはいかがでしょう。きっと、とてもふしぎで気の抜けた宇宙の住人があなたを出迎えてくれますから。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【掲】きららCarat【話】救命艇ごと蜥蜴人サールスに保護された少女・るるるこの流浪と成長…しない物語【感】正直掲載時はなんじゃこれと思ってたんですが、まとめて読んだらいつものコピー地球ネタの話で安心しました。まぁこの頃のきららだと浮くよね、やっぱり【駒】キャラとしては群体?ネズミが好き。P21・4コマめの「おちた」あたりですかね【余】
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とっても竹本先生っぽいお話でした。可愛くてほわほわです!
竹本先生の本は、疲れたときに読むと癒されるので好きです。 -
この作者の本としては面白くない方です。
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起承転結とはっぴいえんど。意外な真犯人は喜ばれます。
猫耳かわいいね。猫のようで好ましい。 -
竹本泉わーるど♪
るるるこ素直でかわゆすです。 -
るるるこが可愛い。サールスが着せ替えさせたがるのも当然。
この連載の途中からデジタル作画になったそうですが、違いが分かりませんでした。 -
久しぶりの宇宙もの。サールスがたくさん出て来たし、他の宇宙人も出て来たし、猫も出て来たし、とても面白かったです。
一巻で終わってしまい、非常に残念。
続編を出して欲しい。別の話に登場させるのでもいいけど。
召使いのるるるこちゃんが最後に自分の主人になって…、という所が成長が見られて良かったです。…というような話でもないか。 -
久々にサールス(とかげ)の出てくるお話だった。
サールスに傾倒する人類が出たのは今回が初めてなんじゃないだろうか。
過去作の影響で、サールスは「悪もん」のイメージが強いからなぁ。
幼い頃からサールスの中で育つと案外それが「格好いい」となるのかもね。
惜しむところはこの1冊で完結してしまうというところ。
もう少しるるるこの成長が見たかった。 -
竹本泉先生らしい、ホワホワでSFな話でした。
さよりなパラレルの番外編というか、後継者という位置づけになるのではないかと思います。
思い出話のふりをしたり、将来の話をしたり、好き放題を書けるのが楽しそうで読んでてこちらも楽しくなりました。