ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉
- プレジデント社 (2012年7月28日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
- / ISBN・EAN: 9784833420167
感想・レビュー・書評
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ちきりんおすすめの一冊。リンダがちきりんより数百倍聡明なことはわかる。バブル崩壊以降、散々民衆に浴びせられてきた「湯でガエル」の比喩がリンダにあっては「グローバル化」マンセーの連中に浴びせられていることに彼女の聡明さがあらわれてるね。ニホンでの議論と全く主客が逆転してるって訳だ。
で、結局、リンダは現代のマルクスにでもなったつもりなのかね?彼女の指摘した『暗い未来』はすべてマルクスが指摘した事だし、彼女の指摘する『明るい未来』の可能性もマルクスが未来社会として描き出そうとした『共産主義社会』のメルクマールだ。
ただ、リンダとマルクスの決定的な違いはリンダはカメレオンが環境に合わせて体色を変化させる様に労働者に環境に順応する事を競わせることで『理想』を実現できるとするのに対し、マルクスは労働者が環境を作り替えることで『理想』の実現を図ろうとしていることだ。
リンダには『競わせる』のは誰か?という問いが欠落しているし、その問いの無い所でいくら能力を競っても『理想』は向こうから近づいてくる事はない、ということだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
"ちきりん"さんのブログで紹介されていた本
印象としては、将来は"ネット技術の進化により場所を選ばず仕事をする"ようになり、
"より専門技能の深化と分業"が行われ仕事の効率化が進む一方、
人との繋がりが薄くなり"孤独化"が進む世の中になることが強く心に残った。
・何が働き方の未来を変えるのか? 36P
テクノロジーの進化
グローバル化の進展
人工構成の変化と長寿化
社会の変化
エネルギー・環境問題の深刻化
・"漫然と迎える未来"の暗い現実
いつも時間に追われ続ける未来
孤独にさいなまれる未来
繁栄から締め出される未来
・"主体的に築く未来"の明るい現実
コ・クリエーションの未来
積極的に社会と関わる未来
ミニ起業家が活躍する未来-創造的な人生を切り開く-
・働き方をシフトする
ゼネラリストから連続スペシャリストへ
孤独な競争から"協力して起こすイノベーションへ"
大量消費から"情熱を傾けられる経験"へ
未来のために知っておくべきこと
子供たちへの手紙
企業経営者への手紙
政治家への手紙 -
未来の「働き方」をテーマにした作品。本著の指摘する未来は甘くはない、そして厳しい未来の到来は、もはや来るべき必然として考えるところは多い。最も心に残ったのは「自己再生のコミュニティー」を持っているかが問われる時代といった指摘。経済がシュリンクしていく今、放っておけば下向き、鬱向きになっていくマインドをどう良好に保持していくかはまさに個々が考えておかなければならない喫緊の課題。
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今、既に起こりつつある未来を形作る5つの要因を提示し、それにより起こりうる未来のシナリオを、暗い現実と明るい未来の2通りのシナリオに分けて説明する。そして明るい未来に向かうために自分たちが起こすべき3つのシフトを提案するというのが大まかな流れ。
暗い現実も明るい未来も仮想の登場人物のストーリーで描かれており、かなりの臨場感がある。特に自分のとっては第5の要因として書かれているエネルギー・環境問題の深刻化の影響の大きさが発見だった。
この本を手元に自分も何を、どうシフトさせていくか、考えてみたい。 -
More is Different - 、「量は質の変化を生み出す。」 アメリカの物理学者フィリップアンダーソンの有名な言葉だ。
2010年、中国が45箇所の空港の建設を進め、アフリカのケニアが携帯電話を使用した送金システムのイノベーションを牽引している。2025年までに世界の50億人以上が携帯端末で結びつくようになると、ウェブサイト上に公開された課題に、50億人による毎日何十億時間もの余剰時間を捧げ、協力して課題解決に取り組むようになる。彼らは世界が抱える重要な課題解決に貢献することに強い魅力を感じる。イノベーションは特定の企業や政府が単独で行うものでなくなり、多くの人がアイデアを共有し、それを発展させるようになる。(その代表例はウィキぺディアだ。)
世界の50億人が結びつき、1日90億時間以上の思想の余剰が能動的に活動すれば、過去の延長線上にない画期的なアイデアが誕生するだろう。
新しい時代に高い価値を持つ専門技能の三条件は、①その技能が価値を生み出すことが広く理解されていること、②その技能の持ち主が少なく、技能に対する需要が供給を上回っていること、③その技能がほかの人に模倣されにくく、機械によっても代用されにくいことである。
未来の世界で価値が高まり、希少になり、模倣されにくいといわれる専門技能のうち、特に重要性を増すのは、
生命科学・健康関連、
再生エネルギー関連、
創造イノベーション関連(アーチストなどのクリエイティブ系)
だそう。 -
何がどう変化しようがしなかろうが、結局は自分自身で選択していくべき未来。視点がまだ2025年には向けられない。今はまだ読むべき時期じゃなかったな、ということが分かりました。
内容そのものには目新しいと思えるものはないです。ただいろんなところでいろんな情報を目にしていてごちゃごちゃしているものをすっきりさせてくれる効果はあると思います。 -
【働き方】個人の働き方が20年後にはどのように変化しているかを大胆に予想している。現在の社会状況から推測できる要素をまとめるとこの本が描く未来のようになるのだとか。高齢化社会と平均寿命の増加、そして年金システムの根本的欠陥から、リタイヤという言葉はもう古く、死ぬまで一生働くことを基本とした考え方をしなければならないことから始まり、一生を通じて働き続ける上で人間にとって大事なことはどんなことなのか、身につけるべきスキルは何なのか、発達していくテクノロジーとどのように向き合うべきなのかへと話題は展開していく。前半の章で20年後のバッドストーリー、グッドストーリーがそれぞれの地域で紹介されており、ここまで具体的に個人の生活を想像できる技量にまず驚いた。非常に読みやすいので一読を推奨。
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自分で選択をして、お金以外で自己の欲求満たすような働き方にならなきゃいけなく、専門的な技能を非連続的に身につけ仕事をすべき、さらにはコラボレーションが重要になる。
そんな薄っぺらなことではないが、
・社会がどう変化していて
・それに対してのネガティブな将来シナリオ
・ポジティブな将来シナリオを描き
・どのような選択をすればポジティブな働き方ができるか
を論じている。
この本を書いたきっかけが息子だったりと、若干筆者の偏りが見受けられたが、総論合意。
女性が進出したり、寿命が伸びたり、テクノロジーが更に進歩したりすればそうなるだろうと考えさせられる。
ただこの本でも仕切りに言われるように、「自分が何を考えて、どう行動すると選択をするのか」が大きな課題。
受身な姿勢でネガティブな将来にならないためにも、危機感を煽られる本だった。 -
連続スペシャリスト
高度な専門技能を身につけ、移動と脱皮
ポッセを築く -
5年先、10年先のことは誰も予想し得ない。ただ、経験を活かして対処することは可能な部分は多い。
その点に対して、1990年代の動きと将来の仮想社会を描き、どう生き残るのかの提示がある。
自分に素直に生きるかどうか。もう少し読み深めてみたいと思う。