大前研一 日本の論点2016〜17

著者 :
  • プレジデント社
3.60
  • (19)
  • (46)
  • (50)
  • (9)
  • (0)
本棚登録 : 432
感想 : 42
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784833421560

作品紹介・あらすじ

「下流老人」「TPP後」「橋下徹君へ」「イスラム国」「日立と三菱重工」ほと、ビジネスマンならこのレベルの「論理力」を持ちなさい!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 2015-16に引き続き、16-17を購入。日本・世界で起きている様々な事象に対して、大前さんの考えている課題と解決案が語られた一冊。自分の引き出しを増やしたい人にお勧め。

    ・日本が国外の援助に使っている費用は税収の10%にもなる。これを五月雨式に使うのではなく、まとめてインパクトのある使い方を模索すべし。

    ・年金制度は、あまりにも実態とかけ離れた経済成長率、給与アップ率、出生率をもとに制度設計されており、破たんしている。老後の資金は自分で守る必要がある。日本円一本で持つことなく、資産を分散して持つべし。

    ・日本経済を立て直す案としてもっと土地を活用するべき。その為には容積率を変更すべし。

    ・TPPが施行されても日本の農業はほとんど変わらない。農家は226万人全労働人口井の2-3%程度。うち2/3は65歳以上。ほとんどは年金暮らしで、農地を持っているだけで出る補助金+年金で生活している。このような状況ではTPPに対抗したイノベーションは起こらない。補助金ジャブジャブで競争力を奪うのではなく、農協を株式化し正当な競争の中でもっと強い農業を目指すべき。オランダは、九州程度の面積で、農業輸出金額瀬騎亜第二位。やりようはある。農林業だけド栗生した農水省管轄にするのではなく、1つの産業として経産省で今日速力を磨くべき。食糧危機管理のためにも自給率を高めるべきとの論もあるが、エネルギーを止められたら農業は即立ち行かなくなる。

    ・沖縄を日本の返還される際に、民政は返還するが軍政は現状通りアメリカ統治であることが前提とされた密約がある。だからこそ、今でも沖縄の基地が当たり前のように利用され続けており、その見返りとして国は莫大な補助金を沖縄にばら撒いている。この密約を隠したままでは、国民に説明がつかず、話はいつまでも前に進まない。

    ・クリーンなイメージを前面に出しながら、水素をエネルギー原として推し進める政策が進めらているが、水素を生成する過程では莫大な二酸化炭素が排出されていだけでなく、取扱が非常に難しくひとたび爆発すれば甚大な被害を招きかねないことを知らなければならない。一足飛びに水素社会を目指すのではなく、水素の良い面と悪い面を理解しながら慎重に進めるべきである。

    ・ソ連とアメリカのヤルタ会談での密約により、ソ連は対日戦争への参戦する代わりに、樺太千島列島の占拠を認めていた。だからこそ、戦後もソ連ロシアの占領がし続いている。一時、千島列島のうち2島を返還する機運が高まった時期もあったが、日本とソ連が近づくことを避けたいアメリカが、沖縄返還の条件として日本に4島一括返還を求めるよう水を差し、返還に至らなかったこともある。北方領土問題を複雑にしてきたのは実はアメリカなのだ。現代にておいては、極東に進出したいロシアと手を組み、中国、アメリカを牽制していく道もありうる。

    ・中国な2つの観点からリスクあり。政争による転換、経済停滞による破たん。
    中国の官僚にはびこる腐敗の取り締まりは、敵対する政敵を追い落とす為に実施ているが、ほとんどの官僚がすくなからず賄賂に染まっている中で、やり過ぎることはもろ刃の剣となって習体制を転換させるリスクもある。
    中国は、国民が持つ土地を二束三文で召し上げ、何十倍も高値で貸し出すことで財政を賄ってきた。企業は何十倍のコストをかけてもペイ出来るから積極投資してきたが、経済停滞が起こると逆回転が始まる。

    ・イスラム国はイスラム教スンニ派の過激原理主義者。アメリカが9.11の報復としてイラクを攻撃。フセイン政権崩壊後、イラクにイスラム教シーア派が台頭することを嫌った隣国のサウジアラビアがスンニ派に資金提供したことが、イスラム国の起源になっている。

    ・国境を越えた経済活動が当たり前になった現代において、国内経済を前提としたケインズ理論の経済政策が効果を出さないのは当然。いくら金利を下げて金をばら撒いても金利の高い国外マーケットに資金が流れるだけ。

  • ここ数年、著者の本を読んで年末を迎えています。
    来年は、どんな年になるのだろう。

    勉強になりました。

  • 2015年12月1日読破!

    日本と世界の今後の情勢を著者の視点からロジカルにまとめた一冊!

  • 読み応えがある分析だが、日ソや日中、日米の外交の裏側について特に参考になった。

  • こういう本を毎年出してくれるなら、私レベルでは「大前研一通信」は購読しなくてもいいかなぁ・・・。

  • アベノミクス行き詰まり。TPP農家は変わらない。沖縄から基地は無くならない。
    大阪都構想ほ外側にあるのも。水素ステーションは危険。被災地復興を遅らせるの誰か。
    事実と理論の積み重ねから「結論」を導き出す!
    そのためには論理思考が必要。だが、日本の教育体系には「理論思考」がない?

  • 2015年に発売されたのですでに事実になっていること、外れていることもあるけど、考察と考え方は非常に参考になる。カタルーニャ地方など今のホットな話題もこのころから取り上げられていて、やはり物事には原因と結果、というか過程があるんだな、と改めて。

  • 目的達成の為には、小さな戦いで体力を減らさない事。

  • 大前研一の著書は始めて読んだが、私の世間知らずも相まって、大変勉強になった。世界で今起きている事や、その背景にある歴史的な事象が分かりやすく完結に説明されている。イラク、シリアなど中東の国々と米露、日本の地政学的な関係。中国経済
    道州制、沖縄寄付金、北方領土、GPIF、スコットランド独立、国や地域がどうあるべきか、国境にとらわれないボーダレス経済など…興味深い

  • 【総合点】8.0/10点
     最新の「2017~2018」ではなく、「2016~2017」。去年のだね。買ってあったけど長らく放置されていたという…。
     正直なところ、内容を吟味するだけの知識がこちらにないのでどれだけ正しいか、ということに関しては判断がつかない。ネットを見ると当たらないとか矛盾しているなどの意見も見かけた。
     実際の的中度はともかくとして、僕が最も称賛したいのは大前さんの考え方。あらゆる角度から「現場主義」で生の声を参考にしつつ、論理を組み立てていくというその姿勢に対して。

     企業レベルで言えば大前さんのコンサルとしての手腕は世界有数だろう。国単位の視点は企業単位の延長線上だと感じられる部分も多々あるので、基本的に大前さんの「考え方」が大きく外れることはないようにも思う。
     ただ正直、どの程度ウラが取れた上での主張なのかは疑問符がつくところもあった。例えば国の心情などの推察などだ。以前にホリエモンが「大前さんでさえ(自分のことを)誤解している」的発言をどこかで見かけた(確か、テレビ局での件)ので、大前さんでもやっぱり外すところは外すんだなと思った。

    【取り入れるべき】
     多角的にデータを集めて分析する、現場主義っていうところは見習うべきところ。
     で、最新版の「2017~2018」も買ってきて、今読んでるところ。

全42件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1943年、福岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号を、マサチューセッツ工科大学大学院原子力工学科で博士号を取得。(株)日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社。 以来ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を務める。現在はビジネス・ブレークスルー大学学長を務めるとともに、世界の大企業やアジア・太平洋における国家レベルのアドバイザーとして活躍のかたわら、グローバルな視点と大胆な発想で、活発な提言を行っている。

「2018年 『勝ち組企業の「ビジネスモデル」大全 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大前研一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×