- Amazon.co.jp ・本 (140ページ)
- / ISBN・EAN: 9784834004663
感想・レビュー・書評
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『「なめくじ」の話』は他の作品で既読。
しかし何度読んでも首なし女って何なんだ……。
「大きくなった小さな魚」
またの名を、燈台になった信心深い大きくなった魚の話。
キリスト教もこんな風に説得してくれたら、ちょっと信仰してもいいなって思えるな…。
隣人を自分のように愛しなさい、自分がされて嫌なことは隣人にするべからず…なるほど…。
「いっすんぼうしの話」
どうしようもなくて”一寸法師”って訳してるんだろうけど、凄いよなあ…。
人食い鬼が出てくるのまで一致してるのがまた…。
毎回死に方が割とえぐいんよ、ショヴォー氏…。
しかしジャムで大きくなるっての、唐突にメルヘンでそんな…レオポルド・ショヴォーなのに…そんな…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ようやく熱が36度台に下がってきて、ショヴォー氏とルノー君のお話の4巻と5巻を図書館へ借りにいく。そしてまた布団にもどって、重い本を読む(単行本の表紙画像がみつからなかったので、画像は福音館文庫版)。
この巻では、巻頭の「大きくなった魚」で女房を殴る場面がでてきて、びっくりした。漁師が「家に着いて、ふたつ三つ女房をなぐった」と。なんでここで女房が殴られるのか、私にはまったくわからない。やはり時代もあるのか? 19世紀うまれのおっさんの時代、女房を殴るのはフツーなのか? この場面の衝撃が尾を引いた。
表題作の「いっすんぼうしの話」は、日本のそれとはまたちょっと違っていた(さいごに「いっすんぼうし」がでかくなって、ケッコンするところは似ているが)。
そしてもう一篇は「なめくじ」の話、というので、なめくじの話と思いきや、「なめくじ」という名の犬が主人公の話であった。ここに「チョコレート」という名の犬も出てくる。
話をする父ちゃんは、ルノー君にこんなことを言われたりしている。
「パパはいつだって、知らないねっていうんだ。なんでも、よく知ってるくせに」
福音館文庫版
『いっすんぼうしの話―ショヴォー氏とルノー君のお話集4』
(10/6了) -
子供の頃好きだった本、再読。
なめくじの話がすごく好きだった。
再読してもやっぱり好きだった。
あひるも魚も盲人も見世物小屋のご婦人もみんな等価。
お話の中の強さや上下はあっても、キャラクターとしてはみんな同じちっぽけで大事な存在。
たとえば「「なめくじ」の話」の、計算犬が昔の仲間を今の主人である天文学者に紹介する場面。
「首なし女さんです。偉大なる好奇的存在です」p134
偉大なる天文学者も偉大なる数学者も同じくらい偉大。
「大きくなった小さい魚の話」
小さな魚は、つねづね、自分はしてもらいたくないことばかり、ひとにしていた。かれはいつも、隣人を食べることばかり考えていた。そして、隣人をにくんでいた。というのも、隣人に食べられないよう、身を守らねばならなかったからだ。p12
ここ、ライファーズでほとんどおんなじことを言ってる人がいた。つらい人には宗教が必要なんだろう。
こっそり魚の魂を通しちゃう神様が好きだ。魂になってしまえば魚も巡礼者も区別がつかない。
いっすんぼうしのロワトレくんは冒険したい男の子。
姫の受難は自分が冒険するチャンス。
木靴を探し続けるお父さんは子供のころ怖かった。シリーズで一番こわいかもしれない。
三男のオリヴィエさんいわく、ショヴォー氏は共産主義者だったらしい。
海軍のオリヴィエさんにはとっては我慢ならない左翼知識人たちと付き合っていた、「貧者」とつき合ったこともない理想主義者だと。
ロシア革命の理想を信じていたけれど、ソヴィエトに幻滅する。
なんとなく、ショヴォー氏は共産主義に傾倒すると言うよりも、ひどいことが嫌な人だったんだろうなと思う。