シフト (福音館の単行本)

  • 福音館書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834024852

作品紹介・あらすじ

高校を卒業してすぐ、大学が始まるまでの夏休み、親友のクリスとウィンは2カ月かけてアメリカ大陸を横断する自転車旅行に出かける。だが、ゴールの西海岸に到着する寸前、パンクしたクリスを置き去りにしてウィンは突然行方をくらます。大学始まっても戻らないウィン。行方不明となったウィンを捜して、クリスのはふたたび二人で通った道を辿る。互いに認め合うがゆえに抱く嫉妬にも似た感情。そして、季節が移り変わるように、いつの間にか変わっていった二人の関係。若者の苦くも爽やかな別れをあざやかに描ききる。

感想・レビュー・書評

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  • クリスは高校卒業記念に親友ウィンと2か月間アメリカ大陸横断自転車の旅にでる。が、途中で行方をくらましたウィンと会えないままクリスは新天地での生活(親元を離れた大学寮生活)に向かう。不安や希望を感じながらも、順応すべく今を夢中に生きている。
    そんな中、ウィンの失踪に親が騒ぎだし、探すために再び同じ行程を辿る。
    クリスは過去を振り返らざる得なくなり、憤りを感じる。その過去とは、きちんと向き合わずにそのままにしてしまったウィンとの関係。
    そこから始まる旅の回想シーンは美しく輝かしいエピソードに溢れている。しかしその中に、その後起こる失踪をほのめかす場面、言葉があちこちに散りばめられていて、時折緊張が漂うのを感じる。
    クリスはウィンとの友情を回想し、怒りと親愛との間で揺れる。クリスの気持ちの変化は、全体を通して丁寧に描かれているが、ウィンの気持ちは再会のシーンで一気に表現される。その言葉は痛々しいほどストレートだ。
    人と人の関係は、ずっと同じ形で続くわけではない。再会しなければ、二人の関係はそのまま終わっていただろう。けれどもう一度向き合うことで新たな関係へとシフトした。今までのべったりな親友の関係ではなく、最後にクリスが言う言葉「いつもそこにいると思えるだけでじゅうぶんだ」という関係にシフトした。今の二人にとってより良い方向へ。
    ウィンは心を休める場をみつけ、そこで自分自身と向き合い、親とも向き合うだけの力をつけるだろう。クリスもまた自分自身を見つけ、どこにいてもやっていける自信と自分への誇りを感じている。
    少年たちが大きくシフトする時を切なく清々しく描いている。

  • 高校を卒業した夏休み、クリスとウィンは自転車でアメリカ大陸を横断することにした。道中に出会った様々な出来事、暖かい人たち、そしてもちろんかわいい女の子。自分に自信を持てるようになった旅の終わり近く、突然ウィンが姿を消す。大学生活が始まっても行方不明のままのウィン。クリスのもとへはFBIがやってきて…。
    二人の旅の話と失踪したウィンの謎が交錯し、最後まで目が離せない。そして未来は二人の上に広がる青空のように明るい。

  • 少し前に読了。背表紙に惹かれて手に取ったジャケ読み本。
    けっこうよかった!はじめは大会社の社長とかFBIとか、設定の豪華さにちょっと引いたのだけど、ウィンの謎が徐々に徐々に浮かび上がってくる緊張感がエキサイティングでぐいぐい読んだ。実際に自転車で大陸横断した経験があって書いているから鮮明なのか、読んでいると、アメリカって大平原の国なんだなぁ、と思う。太陽と風と土埃の匂いがする感じ。割とシリアスな問題を軸にしている割に、どこか爽やかな気のするのはそのせいかしら。
    ウォードさんが、けっこういい味出してると思う。

  • 大学入学直前の夏休み、幼なじみのクリスとウィンは二人で大陸横断自転車旅行に出発した。しかし、旅行終盤でウィンに置いてきぼりを食らったクリスはひとりで帰ってきた。ところがウィンが行方不明だという。クリスは自転車の旅を振り返る。

    中高生、自転車好きの方にオススメです。

  • 読後感がとても良かったです。
    友だちや家族の事を考えさせられる作品でした。

    清々しい気持ちになりました!

  • 2013.09.06

  • YA小説ですが、おもしろっかた。
    とてもすがすがしい気分にさせてくれる、心地よい作品。

    大学進学前の夏休み、少年ウィンとクリスは、ウェストヴァージニアから、シアトルまでの自転車での横断旅行にでかける。

    旅行も最後の数日間になって、クリスは、ウィンに置いてけぼりにされ、旅はそれぞれで終了することになる。

    その後、大学に入学した、クリスは、ウィンが家に戻らず、行方不明なことを知る。

    ウィンの親は、ウィンの行方を探すために、クリスに執拗に迫る。
    FBIの捜査官ウォードは、クリスの行く先々まで付いてくる。
    ウィンの父は、大会社のCEO。
    お金持ちなのだ。
    挙句の果てには、クリスの父親の勤務する会社の買収まで話がすすむ。

    ウィンはどこに消えたのか?
    なぜ消えたのか?
    2人で旅した日々を思い起こしつつ、クリスはウィンのことを思い返していく。

    読後感のよいこと!
    ほんと気持ちがさわやかに、気分良い。

    YA小説と避けることなくどうぞ、読んでみてください。

    クリスの父親、母親の魅力的なこと。
    特別なことは何もないけれど。

  • よくある自分探しの話かと思ったらそうではなく、クリスとウィンのそれぞれの旅と友情を描いたとびきり切ない青春小説でした。
    なぜ私は男の子に生まれなかったのかと歯がゆくなること数回。
    道中で出会う風景や人々とのやりとりに、旅の楽しさや面倒なこともたくさん詰まっていて思わず旅に出たくなる。

  • 大学入学を前に、幼馴染のクリスとウィンは自転車でアメリカ大陸横断に挑戦する。
    大きな会社の社長で権力を思うままにする父親を持つウィンは、父親のコネでIVYリーグの大学進学が決まっている。クリスは、真面目だが平凡なサラリーマンの父親と看護師の母親のもとで育つが、頭は良く工科大学への入学が決まっている。
    ずーっと一緒に育ち、悪さもしたけれどそれぞれの大学進学を前に二人は旅にでる。が、途中でウィンは姿を消し、大学が始まるころになっても帰ってこない。ウィンの父親はFBIを雇いウィンの行方を捜す。まず疑ったのは、一緒だったクリス。ウィンは自転車旅行にしては法外な金額(2万ドル)を持っていた。クリスが殺して金を奪ったという可能性もあるというのだ。
    クリス自身も、なぜウィンが姿を消したのか悩む。執拗なFBI捜査官の質問に、少しづつ見えてくるウィンのなぞ。
    旅行中に出会った人たちからの絵葉書から、クリスはウィンからのメッセージに気付く。
    姿を消したウィンを捜す事は、クリス自身の成長の旅であり、二人の旅立ちでもあった。

    ウィンの父親のなりふり構わぬ追及の手は、ちょっと怖い。でも、息子を信じてクリスにウィンを捜す旅に出る事を促すクリスの父親は、強くカッコいい。
    そして、それぞれに自分の行く先を見つけ出すクリスとウィンに拍手!!

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著者プロフィール

ジェニファー・ブラッドベリ

「2012年 『シフト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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