食を考える (福音館の単行本)

著者 :
  • 福音館書店
3.73
  • (5)
  • (3)
  • (5)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 59
感想 : 12
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834027402

作品紹介・あらすじ

湯ぶね1杯分もの水を使って作られる天ぷらうどん。大量の石油を使い何千キロもの距離を運ばれるマグロ。工場の中で日光を浴びずにLED(発光ダイオード)で育てられる野菜。交配方法の進歩により20万頭をこえる牛の父親となった種牛。遠足にコンビニ弁当をそのまま持たされる子どもや、海を泳ぐ切り身の魚や四本足の鶏を描く子どもたち。現代人の"食"は、このままでいいのでしょうか?著者はそう問いかけます。"食"について一緒に考えてみませんか。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 内陸でもスーパーで魚を買えるし寿司を食べれるし、よく考えるとすごいことだと思った。

  • 考えるテーマの中心は「多様性」「実際にかかっているコスト」「絶対安全などない」といったところ。食の安心安全についてやたらと感情に訴えかけるだけの本とは違い、発信者の都合で出してないだけの情報の部分も良く考えた上で、最終的には各人が自己責任で判断すべきだ、ということを分かりやすく啓蒙している。東日本大震災の翌年に書かれている本で、各種専門家が「想定外」と軽々しく言うことに関しては「考えることと責任を放棄している」と手厳しく批判している。

    「食の多様性」を守ることの大切さを改めて考えさせられる。文化を継承する大切さだけではない。近代でも欧州でジャガイモばかり効率良く作っていたため、ジャガイモが伝染病にかかって壊滅的な打撃を受けたときに他の作物で代替えができず餓死者を相当出したことがあったという。

    食も、人や組織もまた同じ。効率の良い同じような物ばかりだと、うまく行っている時は効果を発揮するが、ひとたびその効率が崩れた時は脆い。

  • 食べ物と社会について書かれている。社会とざっくり言ってしまったが、経済や文化や生き方と食べ物の関係について、丁寧に説明して著者の考えを述べている。
    経済効率を優先すると、多様性が失われ、多様性が無くなると、作物が病気になるリスクも高まり、結局は人間にとっては良くないーといくつもの例を挙げて説明している。では、グローバル社会で経済重視の社会で生きる現代の私たちは、どうすれは良いか も示唆してくれます。

    中学生向けに購入。内容自体は、子育てしているお母さんが日々考えているようなことで、中学生が興味がもてないかも。でも、文章はとても分かりやすいのでウチの中学生にもススメようと思う。

  • 私たちが生きていく上で、特に私にとって、なにより大切な「食」に未だかつてなく危険を感じている。
    汚染に始まり、大量生産される肉、遺伝子組み換えや隠された食品添加物、挙げていけばきりがない。
    おいしければそれでいいんだ、と言っていては済まされない事態になっているような気がする。
    稲のプロ(教授)である著者がわかりやすく、笑いをふくめながらも鋭い視点から食について今一度考えさせられる問題の数々を実際のエピソードなどを用いて説明している。
    何かおかしいな、と思っている事柄を少し違った視野から再考させられた。

  • 食事情がよく分かる。飽食というよりも暴食の日本の姿がかいま見えます。

  • 栄養学や科学的なことばかりではない、日本人の心がつまった一冊でしょう。

  •  現在日本でもシンガポールでもスーパーマーケットには世界中から輸入された食料品が並んでいる。レストランで扱う食材も然りで、居ながらにして様々な食材を使った料理を楽しむ事ができる。しかし、輸入食料品の安全性は確保されず、大量の石油を使っての輸送は地球環境を悪化させている。多くの食料が無駄に廃棄される一方で、飢餓により多くの命が失われている。今、人が生きていくために絶対不可欠な「食」は、沢山の大きな問題を抱えている。
     遺伝子組み換え技術によって生まれた作物の安全性はどうなのか、大規模野菜工場は効率的で経済的なようだが、あまりにも石油エネルギーに依存したシステムは危険ではないか。トウモロコシが人の食料、家畜の飼料、バイオ燃料の材料として取り合いになっている問題の解決策はあるのか。横並び指向でコシヒカリ一辺倒な米作、1頭の雄牛が何十万頭もの仔牛の親となりしかもその雄牛の死後も仔牛は生まれ続けているという和牛生産の異常性などに見られる生物の遺伝的多様性の喪失は種の絶滅の大きなリスクを抱えているのではないか。
     「食」は地球全体の風土、環境、社会のあり方などを含めてトータルに考える事が必要だとする著者は、私達の身近にある「食」に関しての様々な問題を論じている。「食」はこのままでいいのか、それはひとりひとりが真剣に考えていくべき問題である。

  • 食をめぐる状況についての、真面目だけど軽めのエッセイといった感じ。読みやすいけど、特に新しい発見はなかった。

  • 莫大なエネルギーを使って作られ、運ばれて、消費される現代人の“食”について一緒に考えてみませんか?

    ☆2013.4.1 月曜日
     今日から新年度が始まりました。
     そして、今日はこれから歓送迎会があります。
    去られる方、新たに採用された方、そして昨年度と同じくここで働かれる方と様々ですが、挨拶ではないですが、ご健康とご活躍をお祈りいたします。私個人も今年度も図書室で働かせていただけるようです。
    ありがたいことだと思います。
    今年度の1年生はどんな子がくるのでしょうか。
    どんな図書室になるのでしょうか。
    楽しみです。
    そして、私も初心に戻って頑張らないと。

  • 私たちが生きていくために必要な食べ物。
    だけどその食べ物が環境を破壊するひとつの要因だったとしたら???

    そんなことを考えさせられる本。
    特に現代の日本人の食文化は環境負荷が多い。
    そこへTTPなど入ってきたら更なる負荷が。
    いずれかは直面する問題。問題への対策が早ければ早いほど、改善されるはず。わかりやすい言葉で解説されているので、怖がらず多くの人に読んで欲しいと思う。

全12件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1952年生まれ
京都大学大学院農学研究科修士課程修了
総合地球環境学研究所副所長・教授 農学博士
序章執筆
主 著 塩の文明誌(共著,NHKブックス,2009),イネの歴史(学術選書,2008),よみがえる緑のシルクロード(岩波ジュニア新書,2006),稲の日本史(角川選書,2002)など


「2010年 『麦の自然史 人と自然が育んだムギ農耕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐藤洋一郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×