- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784834084061
作品紹介・あらすじ
子どもと向き合う大人たちに大切にしてほしいこととは? 「子どもは大人をよく見ている」「子どもにとっては今が大事」「自然から学ぶこと」「図画工作で伝えたかったこと」など、小さなノーベル賞といわれる、国際アンデルセン賞受賞の世界的画家・安野光雅が、ユーモアたっぷりに語ります。あふれる情報や人の意見に惑わされずに生きるにはどうすればよいかを自由な発想で綴る、「考えるヒント」がつまった痛快なエッセイです。
感想・レビュー・書評
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自分で考えることの大切さ…
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まだまだ新米ですが、教員の仕事をしている者です。
大人の見ている世界と子どもが見ている世界はたぶん違うこと。
だからこそ、子どもたちが子どもでいられる時間とその自由を尊重し、大人が良かれと思って望む姿を押し付けないように意識したいと思いました。
他にも多くの仕事上で基盤になる考え方を教えていただきました。
考えることのできる子どもに育てるために、まずは、私自身が考えることを大切にしていこうと思います。 -
先日、我が子の同級生のお母さんと話しているとき違和感を感じました。そのお母さんが言うには、「一体どんな親なんだと思われたくないから、外ではしっかり挨拶しなさいと自分の子に言い聞かせている。私は毎朝顔を合わす近所の子ども(低学年)が挨拶もしないことが信じられない。」と言うのてす。違和感があり、とても納得できなかったのでやんわりと反論はしたけれど確信はありませんでした。しかし、私の違和感は間違いでなかったことをこの本で安野光雄さんが教えてくれました。
『大人が子どもの礼儀を期待してしつけるのでなく、子どもは子どもらしい世界に存分に生きて、自分から「お行儀良くした方がいいらしいぞ」と感じるときが来るのを、
待つ方がいいと思います。』
穏やかな語り口で鋭く本質をついている本書は、いま我が子の進路を考える上でとても有益なものでした。
ゆっくりと思う存分自分で考え、自分なりの解を見付けて人生を歩んでほしいと、多くの親が子どもに望んでいることだと思いますが、なかなか現実はそうもいかない難しさがあることも安野さんは語ってくれます。
学校や誰かに教えてもらうのではなく、学ぶことを学校や誰かから見付ける。
ゆっくりじっくり時間をかけて考えたいけれど、十年一昔から、今は五年、三年が一昔だと言われる現代。
コスパタイパのこの時代になかなか難しいことかもしれない。自分で考えられなけれぱ、人間の役目も終わってしまうかなーと考えてしまいました。 -
画家で、絵本作家でもある安野光雅さんの本を初めて読んでみました。
画風などから独特な感じを受けていたので、合わないかもと危惧していましたが、とても興味深く面白い内容でした。
題名のごとく、「自分で考える」ということを、多くの人に「考えてほしい」という内容です。それでは、自分で考えるとは、どういったことなのか?
安野さんは「考える」、ぱっと答えを出すのではなく、「じっくりと考える」ことができるような本を書いてこられたようです。
例えば、クイズは、知っていることの中から答えを見つけるものですが、答えを全く知らなくても、その問題を考えていれば答えを導き出せるのがパズルと書かれています。
数学系の、パズル的練習問題が4問書かれてありました。そのうち一問は難しい…
私は解けなかったので悔しくて、こういうのが得意な中学生の息子に助けを求めました。息子もなかなかわからず、スマホで友達15人ほどに問題をシェアして、皆んなああでもない、こうでもないとそれはよく考えてくれました。
あー、これこそ、「かんがえる子どもだな!」と思わず笑ってしまいました。安野さんの狙い通りです。
結局、お友達の従姉妹とうちの子が、それぞれ違った解法で解けました。すごく難しく、色々な場合を想定して考えなければいけない問題でした。息子も、なかなかわからず、悔しそうで、でもとても楽しそうで、解けた時はスッキリとしてすごく嬉しそうでした。これが考えるということかと教えてもらいました。そして、こういう楽しさをみんながもっと知っていれば、スマホ依存から少し遠ざかることができるのでは、と感じました。
子供と関わる親や教育関係の方に、是非読んでもらいたい一冊でした。
心に響いた箇所を抜粋します。この本を読む予定の方は、読む楽しみが減りますので、ここからは読まないでくださいね。
○子供に見えているものと、大人に見えているものは、そもそも違うのではないでしょうか。もしそうだとしたら、この違いは親や教師が心すべきことだと思います。
○子供が、大人のすることをしっかり見ています。その結果、かなり演技をし、だんだんと要領が良くなっていきます。どういう答えを書いたら、先生に褒められるのか、ということまでわかってくるようです。
もっともらしいことを教えられれば、教えられるほど、子どもは、自分自身辞めるつもりのないことでも「廊下を走るのはやめましょう」などと言うようになります。大人と一緒に生きていくための、これも一種の生活の知恵なのでしょう。
○私はしつけなどと言う考え方が嫌いです。子供は早く大人のようになるより、子供らしい世界に存分に生きて、自分からお行儀よくしたほうがいいらしいぞと感じる時は来るのを待つほうがいいと思います。
○お土産のお礼がうまく言えなくても、心の中では喜んでいることが伝われば、それで良いのです。子供の礼儀にかなった返事を期待して、大人がご褒美を与えるとしたら、大人の方が間違っています。
○一位になっても得意にならず、ビリになってもベソを書くような子ではいけない。世の中は、何でも競争するようにできている。今、一等になるために走るのではなくて、いつか大人になって一等になっても得意にならず、ビリになってもくじけない、そんなプライドを持つ日のために走るのだ。
○大人になってから、子供の頃にやっておけばよかった、ということはたくさんあります。でも、子供がそれをやらないからといって、親は嘆かないでもいいでしょう。大人は後のことばかりを重く見て、今のことを大事にしませんから、子供から見ると、せっかち、ということになります。
○できれば、子供たちには、美談でない本と出会ってほしいと思っています。なぜ美談を逃れたほうがいいかというと、美談はほとんど嘘だからです。本当のことが書いてある本がいいと思います。
○自分で学ばなければ、何にもならない
勉強は自分でやることが大事。勉強の基本は独学。
○図画工作の時間は、上手に絵をかいたり、ものを作ったりするのが、めあてではありません。
上手にかこうとするよりも、見たり考えたりしたことを、自分で感じた通りに、かいたり作ったりすることが大切です。
しんけんに、絵をかき、ものを作り続けていると、上手になるだけでなく、人としての感じ方も育ちます。この繰り返しの中で、自然の大きさがわかり、どんな人にならなければならないかが、わかってきます。これがめあてです。
『子どもの美術』より -
画家の安野光雅さんが、「自分の頭で考える」ことの大切さについて綴った一冊。
安野さんは、ネットやゲームの受け身の世界に生きている最近の子ども(大人も含め)は、自分の頭で考えなくなっているのではないか、と警鐘を鳴らす。
たくさん空想したり、身体を使って遊んだりするほかに、本を読むことも自分の考えかたを育てることに繋がると。
本を読むのは目が文字を追う動作なので、運動神経ともいえ、小さいうちに身につけておくのが大切。というようなことが書いてあり、なるほどと思った。
”本を読まないでも、生きていけます。でも、本を読んで生きた人は、同じ十年生きていても、二十年も三十年も生きたことになります。”
素敵な言葉が、心に残った。読書は世界を広げてくれる。
安野さんのやさしい文章と、これまで出版された絵本から抜粋された、挿絵たち。
共感する部分がたくさんあったし、ゆったりとした気持ちになれる一冊だった。 -
子どもは子どもだけど、
大人が思うよりも
子どもじゃない。
子どもは子どもなりに、
考えもある。想いもある。
子どもっていう括りの前に、
その子ども自身には
魂がある。意思も意志もある。
同じ人間だから
あなたはあなた。僕は僕。
として尊重していたい。と
再認した本だった。
無意識のバイアスにかかってしまっている
元子どもだった事を忘れた大人へ贈りたい。 -
「考える」ことを考える。
「考える」ということは、普通に暮らすこと。「晩ごはんのことを考える」「何を着ようかと考える」「どの本を読もうかと考える」「今日はどこを散歩しようかと考える」、テレビやインターネットなどに託すんのではなく「自分で考える」、「自分で」が大切なんですな。
子どもについても、「遊べ」。子供の遊びは「学び」そのものだ。学校に行くのがあたりまえ。それが学ぶことと思っているが、子どもの「勉強」を、おとなが思う「勉強」にあてはめるのは、大人の勘違いだと。子どもだけの時間、子どもだけの世界が必要だと、そう思うと近所の兄弟で年齢の違う子供たちと一緒に遊んでいろんなことを教えてもらいましたな。
「力の差があるのはあたりまえ、勝ち負けにこだわるのではなく、勝っても得意にならず、負けてもくじけない、そんな優しくて強いプライドを持つこと」お兄ちゃんたちに教えてもらいましたな。
「かんがえる子ども」・・・この歳になったのでもう一度こどもにもどって暮らしなかで遊んで「考えて」みようかと。 -
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かんがえる子ども
遊びのなかでも、
家での関わりの中でも、
自然や美術の中でも、
子どもがかんがえて感じたり、行動している瞬間を、
躾や親の気分だけで遮らないように、
ワンテンポおいて俯瞰できるようになりたいと思いました。
大切な子どもの世界をたのしんで大きくなってもらいたいです。