屈辱と歓喜と真実と: “報道されなかった”王ジャパン121日間の舞台裏

著者 :
  • ぴあ
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  • Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784835616513

作品紹介・あらすじ

今なぜ?WBC日本代表なのか?あの感動から一年…。王監督、イチロー、松坂以下選手達が"知られざる真実"を語り始めた。

感想・レビュー・書評

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  • イチローへのリスペクトも込めて読んだ。孤高の求道者と思っていた彼が、日の丸のためにがむしゃらに戦う姿を見せたWBC第一回大会。イチローを中心とした日本チームメンバー、王監督の姿を、大会を振り返る形で描いている。先日、引退会見を行ったイチローの発言で大リーグベースボールへの苦言と日本野球への誇りも、垣間見られたが、その心境もうかがい知れる内容でとても興味深く読めた。

  • 第1回ワールド・ベースボール・クラシックの日本代表チームの軌跡を辿るノンフィクション。

    『WBCの内幕』がWBCの運営側から見た話であるのに対し、本書は日本代表チームを追った記者の目で見た話である。選手へのインタビューや取材から得られた情報を元に、チームの内情に迫っている。

    第1回WBCは、日本にとってまさに劇的な逆転優勝で幕を閉じた。そのため、王監督の下、イチローを中心にまとまったチームというイメージが強い。しかし、実際には、最後まで多くの問題を抱えたまま迷走していたようだ。そんな中で、国際経験の不足を露呈してしまった首脳陣に代わってチームの舵を取っていたのは、オリンピック代表の全日本チームから受け継がれたDNAを持つ選手たちだった。

    選手心理やゲーム展開の描写は見事。テレビ観戦やスポーツ新聞情報ではわからなかった選手たちの舞台裏は野球好きにはたまらないだろう。

  • ていねいなインタビューと事実の緻密な再構成で、第1回WBCの裏表を描いたノンフィクション。著者の石田雄太氏が雑誌などに発表した記事を土台にしながら、書き下ろしも加えてまとめたもの。WBC本は何冊か出たけれど、一番内容が濃くて面白かった。
    わたしは第1ラウンドの初戦(中国戦)を東京ドームに見に行ったけど、スタンドはがらがらでぜんぜん盛りあがってなかった。まさかあのあとあんな国民的熱狂が巻きおこるとは。それでも試合前練習でイチローがライトからホームまでのレーザービームを披露したときにはその場にいた全員の目が釘付けになったっけ。選手たちも明らかにハイテンションでボール回しをしていた。
    本書にはそんな第1ラウンドから、アメリカにわたっての第2次ラウンド、舞台裏のすったもんだ、イチローと他の選手たちの微妙な距離感、例の大誤審の試合ですべての垣根が取っ払われていく感覚など、手に取るように描かれていて読み応えがあった。

  •  第一回WBCの日本代表の内幕を追ったスポーツノンフィクション。

     つくづく第一回のWBCの主役はイチローだったのだと実感する。世界の王さんを勝たせる為に世界のイチローがチームづくりに尽力する様子が詳細に書かれている。
     シーズン開幕間際で唐突に開催された第一回WBCは選手間に温度差があり、一丸となるまで時間がかかった。この本がオリンピックに出る為にプロにいかなかったミスター・アマチュア杉浦正則に触れることは必然であるし、杉浦の言葉が宮本ら多くの選手に与えた影響を考えれば、第一回WBC優勝のもう一人の立役者は杉浦正則だったのではないかとさえ思う。

     チームを一つにすることの大事さと難しさ、熱さが伝わる良書。

  • 今でも時々DVDを見ては思い出すWBC関連のドキュメンタリー。DVDでは試合の経過や結果など表に見える事実だけが描かれているが、本書は取材に基づくドキュメンタリーになっている。ライター自身の選手たちとのコミュニケーションから分かることも多数ある。
    今回のWBCだけでなく、「日本代表」とは何かを問題提起している。今までの日本代表は特にプロが参加するようになってからはチームのあり方や戦い方が定まっていなかった。今回のWBCでも最初の足並みは全くそろっていない状態で、最終的に一つになれたのかは甚だ不明である。これはたとえ優勝という結果に終わったからいいというものではない。かえって優勝したことによって曖昧になってしまったことも多いのではないかと思う。
    本書ではチームのあり方、個々人の意識の持ち方、戦い方を以前のナショナルチームも踏まえて書き出している。最後にはこれらを踏まえたいくつかの提言もある。

  • ★2008年14冊目読了『屈辱と歓喜と真実と』石田雄太著 評価B+

  • 一つになる大切さと一つになったときの強さを学びました!

  • 第一回WBCの裏側満載。オモロいよ。

  • 2006年に息子を膝に抱えながら生中継で観戦した、第1回 World Baseball Classic(WBC)・決勝戦、キューバ vs 日本。
    本当に面白い試合で、始終ドキドキしていた覚えがあります、手に汗を握りながら。

    先手こそ日本がとれたものの、後半のキューバのギアの上がりようが凄かったです、、投打問わず。
    その時の解説者・野村さんの「キューバ相手にセーフティリードは無い」との言葉が妙に焼きついていたり。

    今でも鮮明に思い出せるものとして、川崎選手とキューバのキャッチャー・ペスタノ選手のクロスプレーがあります。

     文字通りの鉄壁に侵入経路を塞ぐペスタノ選手(肩も強いのです!)と、
     その合間をつこうと右手でかいくぐるようにホームベースに指先を伸ばす川崎選手が交叉。
     見た瞬間はアウトか!と思いましたが、(横飛びで確認していた)主審の判定はセーフ、
     その後のリプレイ(ESPNの国際映像だったかな)で確認すると、確かにセーフでした。

    当時は恣意的な誤審も物議を呼びましたが、この判定に関しての質の高さはさすがベースボールの国とも思いました。
    最後の最後で心地の良い試合を観れたのが嬉しい記憶になっているWBCでの「日本代表」の裏話を集めたのが、こちら。

    「屈辱」と言っているのは、韓国に連敗したこと、ボブ・デイビッドソンの誤審に振り回されたことでしょうか。
    「歓喜」と言っているのは、崖っぷちから不死鳥のように復活し、見事に優勝できたことでしょうか。

    では「真実」とは、、何を伝えようとしているのでしょうか。

    結果としては「初代王者」との最高の形で幕を閉じましたが、そこに至る道は決して楽ではありませんでした。

     ・続出する出場辞退者、決まらない代表メンバー
     ・選手間の「温度差」、危機感の無いコーチ陣
     ・盛り上がらない国内一次予選リーグ
     ・アメリカを初代王者にとの予定調和的な運営方針 etcetc...

    冒頭は2007年1月、イチロー選手と王監督の再会の場面より始まります、六本木の鮨屋にての。
    そこから徐々に、「屈辱」と「歓喜」をない交ぜにしながら螺旋のように、筆が展開されていきます。

    参加に至るまでの紆余曲折、韓国相手の二度の敗戦を機に徐々に「代表」としてまとまっていくチーム、メンバー。
    そして、戦いの場をアメリカ本土に移してからのヒリヒリとするような緊張感、絶望、そして歓喜。

    時には過去の五輪代表のエピソードも交えつつ、その頃から時限爆弾のように潜む問題点も浮き彫りにしながら、
    同じく五輪時代の「日本代表」から連綿と引き継がれてきている「想い」もまた、見出すかのごとく。

    そこには、著者・石田氏の「野球」に、そして「ベースボール」に対する溢れんばかりの愛情が、感じられます。
    ふと、鮨屋での王監督や王監督になついているイチロー選手の様子が綴られているのも、心地よかったりも。

    そんな流れにハマりながら読み進めていくと、この書でラストシーンとなっている「風のイタズラ」が、
    日の丸に包まれながらの二人の交流が、幻想的なまでに美しいと感じます。

    また、帯に記されている「日の丸の誇り、重みが、ここにある」とは、発売当時に日本代表監督であった星野仙一さんの言葉です。
    本文の中でも幾度となく取り上げられている「温度差」を、意識してのことなのでしょうか。

    なお星野さんはこうも言っています、「選手たちに頭を下げてまで出てもらわなくてけっこうだ」と、
    「野球界のために日の丸を背負って、子供たちに夢を与えるんだという選手たちに集まってもらう」と。

    121日間、長いような短いようなその路程を、熱風に包れて浮遊する、そんな一冊。

  • すごくよく取材したなぁと感心する一方。文章は下手

    この取材ノートをもとに阿部珠樹が書いたら最高なのにと思ってしまった


    中身は濃い

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