自分の時間

  • 三笠書房
2.91
  • (2)
  • (3)
  • (10)
  • (5)
  • (2)
本棚登録 : 107
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784837955146

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  奥さんでもお手伝いさんでもよいから、夜のうちにたのんでおくのだ、適当な所にお盆を置いておくようにと。お盆の上には2枚のビスケット、ティーカップに受け皿、マッチとアルコール・ランプを置いておいてもらう。アルコール・ランプの上に長い柄のあるシチュー鍋をかけ、ただしそのふたは裏返しにしておいてもらい、その上に少量のお茶の葉を入れたティーポットをのせておいてもらえばいい。
    そうすれば、あとはあなたはマッチをするだけでよいわけだ。4分もすればお湯が沸き、あなたはそれをティーポット(すでに温まっている)に注ぐ。そしてさらに3分も経てばお茶がはいる。それを飲みながら、一日を始められるわけだ。
    こうしたささいなことは、浅はかな人たちには取るに足らぬことと思われようが、思慮深き人々にとってはそうではない。
    バランスのとれた賢明な一日を過ごせるかどうかということは、ふだんとは違う時間にたった一杯のお茶を飲めるかどうかにかかっているかもしれないのである。(p.24)

    次のように自分に言いつづけない者、言ったことのない者があろうか、「もう少し時間ができたら、あれを変えてみよう」と。
    もっと時間ができるわけなどないのだ。われわれには今あるだけの時間しかなく、それはいつだって変わらないのだ。この含蓄のあるあまり顧みられることのない事実に気づいたからこそ(気づいたのは最近のことであるが)、私は日々の時間の使い方を仔細に検討してみようという気になったのである。(pp.35-36)

    24時間という与えられた時間の中で、充実した快適な一日を過ごせるように生活を調整する際に心得ておくべき重要なことは、そうすることがいかに至難のわざであるか、そのためにいかに多くの犠牲を払い、倦まずたゆまず努力しつづけなければならないかを、冷静に悟ることである。このことは、声を大にして強調しておきたい。(p.50)

    時間は金よりもはるかに貴重なもの(p.64)

    習慣を変えることこそ至難のわざなのだ。そのうえ変化というのは、それが改善のためであっても、必ず不便や不快感を伴う。(中略)ささやかなことから始めよと心から私が忠告するのは、私自身、これがいかに難しいことであるかを知っているからである。これをやろうとして失敗すると、いかに屈辱的な想いをしなければならないかを知っているからである。自尊心は大事に守らなければならない。(pp.85-86)

    自分は集中してものを考えられないのだといってあきらめてしまうのは、怠惰なのだ。
    たとえば、気がかりな手紙を受け取り、それに対して慎重に言葉を選んで返事を書かなければならなくなった朝の事を覚えているだろう。
    会社に着くまで1分の中断もなく返事のことに考えを集中しつづけ、会社に着くなりすぐに坐ってそれを書いたあの時のことを。(p.93)

    確かに本は価値がある。が、しかし、本さえ読めば、それでもう最近やったこと、これからやろうとしていることを、毎日きちんと率直かつ正直に検討しなくてもいいということにはならない――いくら本を読んでも、やはり自分をしっかり見つめることは必要である(自分を見つめるというのは、はなはだ狼狽させられる作業ではあるが)。(p.107)

    われわれが認識しておかなけえばいけないことはいろいろあるが、なかでも最も大切なのは、物事の原因と結果を絶えず頭に入れておくことである――言いかえれば、世の中の有為転変の姿を認識することであり、さらに言うなら、物事が継起するその実相を知ることである。
    原因なくしては何事も起こり得ないのだという大切な真理を、頭の中に完全にたたき込んでおけば、年を経るにつれて寛容になれるばかりでなく、思いやり深くもなれるのである。(p.124)

    想像力豊かな詩を読む時には、小説を読む場合よりもはるかに頭を使うことを要求される。おそらく、あらゆる文学の中で一番意識的に頭を使わなければならないだろう。
    詩は最も崇高な喜びを与えてくれると同時に、最も深い知識を授けてくれる。要するに、詩にまさるものはないということだ。ところが、残念なことに、大多数の人は詩を読まない。(p.136)

    何を読むべきか(2つの重要な一般的注意事項)
    ・自分が努力を傾ける方向と犯意を限定しておくべき
    (ひとつの時代、ひとつの主題、一人の作家)
    ・よく読むと同時によく考えよ
     多くの本を読みながら、そのことがバターつきパンを切るのと同じ程度にしか、その人の人間性にプラスになっていない例を私は知っている。彼らが読書にふけるのは、酒好き飲酒にふけるのと変わりがない。文学という国を、ただ動きまわることだけを目的に、車で走りまわっているに過ぎない。(pp.140-141)

    自分が読んだものについて、少なくとも45分くらいかけて、注意深く、しんどくなるくらいに反芻してみないなら(最初のうちはおそろしく退屈なものだが)、せっかくの夜の90分も無駄に費やされたのだといっても過言ではあるまい。
    要するに、どんどん先へ読み進めてはいけない、ということである。
    しかし、気にすることはない。
    終着点のことは忘れるのだ。現在自分のいる周囲の景色のことだけに注意を払えばよい。
    そうすれば、ある時間が過ぎれば、おそらく予想もしないような時に突然あなたは丘の上の美しい町に到着しているのだ。(p.142)

  • 約30年前に出版された本。
    しかし、その内容は、今でも十分通じる。

    人類共通のこと
    「1日は24時間」
    その中で、いかに充実した人生を送るか。
    そんなことを考えさせてくれる本だ。

  • 今でいうところの「時間術」の本です
    ただ、ハック本というよりは時間管理の基本みたいな感じの内容になっています

    そもそもの著作は1900一桁台であるのだが、
    ・朝の1時間は夜の2時間に匹敵する
    ・理想的なスケジュールを組んでも、理想的な生き方ができるわけではない
    ・一晩おきでもいいのでなにか意義のあることを継続してやってみる
    等現代の時間術に通じるものがある
    さすが知的生活の翻訳者である渡部昇一が惚れ込んだだけはあるというものであろう

    なお、この本を読んでがんばったときに待ち受ける危険として、
    ・何かにつけてひけらかすお高く止まった人間になる危険
    ・自分で計画したことに奴隷のように縛られてしまう危険
    ・欲ばった計画を立てすぎて、逆に今のこの瞬間に集中できなくなる危険
    ・計画の出だしでつまづく危険
    をあげているが、これらの記述はあまりこの手の本では見ないものの、けっこう大事なことだと思う。

    ちなみに本文156ページに対し、翻訳者渡部昇一の解説33ページと大分紙面を割いているのだが、著者のアーノルド・ベネットに関すること(+ちょっと本を書いた経緯的なこと)の解説で、内容に関する解説でない点はがっかり

  • 幸せとは何か知りたい人におすすめ

  • もっと時間があれば、は言い訳にしか過ぎない。
    来週まで待つ、のは意味がない。
    頭のなかで、一日の中にもうひとつの一日、を設ける。
    電車の中で新聞を読んで過ごさない。有意義なことに使う。
    一晩置きに、90分、精神の向上に意義があることを継続して行う。
    毎日休まず、とは考えず、週に6日、と考える。一日は取っておく。
    90分×5で、週に7時間半。習慣を変える。
    90分の勉強をするには、前後をみて、9時から11時半を見ておく。
    マルクス・アウレリウスやエピクテトスを読む。
    自分が努力を傾ける方向と範囲を限定する。
    読むだけでなく考える。45分読んだら45分考える。
    時間を無駄に過ごすときは、無駄に過ごすことを意識しつつ、ぼんやりする。
    習慣を変えるのは、全部でなくても週に7~8時間変えればよい。それで大きな変化がおきる。

  • ちょっと思ってた内容と違った。著者の好みに偏りを感じる。。。この表現は好き。
    「朝目覚めると。すると、不思議なことに、あなたの財布にはまっさらな二十四時間がぎっしり詰まっているのだ。そして、それがすべてあなたのものなのだ。これこそ最も貴重な財産である。」

  • ・日経ビジネスのとあるインタビュー記事で取り上げられていたのだが、「財布にはまっさらな24時間が詰まっている」という記述に惹かれ、中古で約5,000円もするのに買って読んだ。
    ・英国の作家である、アーノルド・ベネットによって1902-1908年ころに書かれた本だが、当時から今の時間管理のようなか考えを持っていた方がいた=このような本があったことに驚いた。
    ・高いので、私のように惹かれる文章があった方のみ買って読まれるといいと思います。1,2時間で読めます。

  • 内容が薄いのに、皮肉った表現や、よくわからない例えで内容が更にぼかされている感じ。

    やる気のない人を対象に、時間を有効に使おうというこの本の趣旨は理解できない

  • 時間は無限だけど
    人生における、私の時間は有限だ。

    これは誰もが知っていることだけどなかなかどうして

    すぐに忘れてしまう。

    その時々の言い訳なら無限に出てくる。

    癌のような余命を宣告される病のように
     自分の人生を余命と考えるならば

    それに対してどのように生きるか

    背中をひっつくような本です。

    頭じゃ分かっているんですが
     どうにもならないですね。

    自分の人生時間をどのように活用するか
     具体的な方法はほとんどありません。

    考えて行動しろ

    そんな感じです。

全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

イギリスを代表する作家。代表作に、20世紀英国小説の最高傑作といわれる『二人の女の物語』(岩波書店)がある。

「2016年 『最強の生き方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

アーノルド・ベネットの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×