猫を拾いに

著者 :
  • マガジンハウス
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本棚登録 : 716
感想 : 90
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784838726196

感想・レビュー・書評

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  • 21篇からなる短編集。
    ゲイの心優しい息子を持つ母親の、複雑な気持ち。
    9月のある一定期間、現れる伯父、伯母たちの霊たちの話しなどが印象的。

  • クウネル連載短編集

  • +++
    恋をすると、誰でもちょっぴりずつ不幸になるよ。いろんな色の恋がある。小さな人や地球外生物、そして怨霊も現われる。心がふるえる21篇。傑作短篇小説集。
    +++

    なんとも贅沢な21篇である。わたしたちが暮らしている世界から見たら、いささか不思議なことがたくさんあるのだが、それが不思議でも不自然でもなんでもなく、日常としてある世界の物語なのが川上世界である。しかも、そのずれ方が一様ではなく、物語によってさまざまな方向にさまざまな度合いでずれている、というかぶれているのである。さらに言えば、ずれながらぶれながらも芯は一本通っているので、読んでいて心地好いのである。瞬く間にその世界に取り込まれてしまう一冊である。

  • 思い出した時にふと読む作家。
    繊細。

  • 川上さん独特の雰囲気たっぷりの短編集。
    色んな生き物や、小さい人、怨霊までが普通に登場するこのシリーズは毎回好きで全部買ってるなあ。
    今回も登場のおかまの修三ちゃん。おかまになってしまった我が子を、悩みながらも受け入れていく素敵なお母さんのお話、『はにわ』はやっぱり好きでした。

    亡くなった伯父や伯母が9月になると四日間滞在する、不思議な雰囲気の『九月の精霊』と、怨霊が登場する『信長、よーじや、阿闍梨餅』もお気に入りです。

    あとは2作連作の『クリスマス・コンサート』と『旅は、無料』
    ただの黒いゴムできゅっとしばっただけの髪で、服だっておばさんじみていて、顔立ちもごく普通なのにかわいい坂上。
    そんな坂上が羨ましい千絵。
    そんな千絵の気持ちが、なんか分かる。坂上みたいな友達が私にもいるから。
    「憎んでいるだけじゃなく、坂上のことずいぶん好きなんだよ」っていう千絵の言葉に、とっても共感。

    久々にその友人に連絡してみようかな。会いたくなっちゃった。

  • 川上弘美さんの頭の中を覗いてみたいww

  • 川上弘美新刊。
    今作はふわふわ加減がはんぱなく。
    宇宙人とか、初期作品の頃よりふわふわしておる。

  • 076

  • 『クウネル』に連載されていた短編を纏めたもの。個々の作品は10ページ程度と割合に短い。
    恋愛を主題にしたものが多いが、切り口がそれぞれ異なっているのでマンネリさは感じない。
    川上弘美らしい、ごく日常的に不思議な光景が繰り広げられる短編もある。
    全体的にバリエーション豊富で読んでいて飽きない。
    『誕生日の夜に』『トンボ玉』『九月の精霊』、そして表題作『猫を拾いに』が好き。

  • 色々楽しめそう、、、

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    「《恋をすると、誰でもちょっぴりずつ不幸になるよ。》――「クウネル」人気連載、待望の最新刊は、いろんな色の恋愛小説が21篇。個性豊かな登場人物たちが繰り広げる、楽しくてちょっと苦い傑作短篇ばかりだ。

    川上マジックがいっぱいの最新短篇集はたとえばこんな話が21篇も収められている。
         
    《好きになった時には、好きは永遠につづくはずだったのに、いつの間にか恋はさめ、ひとときも離れたくなかった男はただのかさばる存在になり、そのたびにわたしは率直に、前向きに、「別れよう」と宣言した。》――〈わたし〉の新しい旅立ちを描く「旅は、無料」。
         *
    《日本の人口が減りはじめたのは五十年ほど前のことだ。それまでにもすでに少子高齢化が進み、生殖可能な人口の絶対数が減ってしまっていたので、減りかたは急激だった。》
    ――若い人が激減した近未来の日本を描くSF風味の「猫を拾いに」。
         *
    《私の人生で、最大の悔恨。それは、息子がゲイになってしまった、ということなのである。》――川上ファンならおなじみの〈ゲイの修三くん〉の母が登場する「はにわ」。
         *
    《結婚なんてさ、脳天がしびれる感じでばかになってなきゃ、できないことだよ。きちんと考え始めちゃったら、怖くてできないでしょ。》――優しくって顔も声もいい、清潔で趣味もいい。そんな言うことなしの恋人と別れた〈あたし〉の心の底を描いた「ホットココアにチョコレート」。
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    《そのお店はとても不思議なお店なのだと桐谷さんは言う。お店に入れるのは、恋の悩みを持つ人間だけ。悩みをうちあけると、店主が必ず解決してくれる。》――日常とファンタジーが入り混じる「まっさおな部屋」。
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    《マルイさんは、僕の両のてのひらをあわせた上に乗っかってしまうくらい小さいけれど、れっきとした人間である。》――少年と〈小さい人〉の交流を描く「ミンミン」。
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    《たぬきのつがいと鶴が三羽、くだをまきながらビールを飲んでいる。キッチンでは地球外生物らしき浅葱色のぼやけた存在が、よごれものをていねいに洗っていた。》――わたしの誕生日のパーティにはいろんな人がやってきた。地球外生物も現われる「誕生日の夜」。
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    《なにしろ、京都は怨霊のメッカだから、と新田義雄は言うのだ》――あたしの同僚の新田は霊能者らしい。信長の怨霊とふたりの絶叫がこだまする「信長、よーじや、阿闍梨餅」。
         
    技巧をこらしたヴァラエティ豊かな傑作が21篇――贅沢で楽しい短篇小説集。 」

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著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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