- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784838732432
作品紹介・あらすじ
川上未映子、12年間の軌跡。
雑誌Hanakoの連載エッセイ「りぼんにお願い」が書籍化!
どれだけ時間が過ぎても言葉にできないことが
それぞれの胸にあるのだと思う
――川上未映子
2011年から2022年。小説『すべて真夜中の恋人たち』、『夏物語』、『黄色い家』を世に出し、さらには出産、育児、プロモーションやシンボジウムなど海外への渡航…。目まぐるしい変化の中で川上未映子さんは毎月、雑誌Hanakoでのエッセイ連載「りぼんにお願い」でそのときどきの喜びや悲しみ、悩み、読者へのエールを綴ってきました。「Hanako読者のことを想像しながら文章を書くことは、いつも、すごく楽しかった(中略)心と体も、移動するような気持ちになれた、暖かそうな、光がたまってる方面に」(あとがきより)。
メイクやファッションの悩みから、季節の移り変わり、社会の中での女性の変化について、ときにユーモラスに、ときに勇敢に、ときに暖かく、読者へと語りかけるように書かれたエッセイには、小説作品とはまた違った、著者自身の思いや12年間の変化が綴られています。
[コンテンツ紹介]
● 連載245回の中から厳選した、80のエッセイを収録。
● 新規書き下ろしとして、2011年から2022年まで、1年ごとの「当時の自分と社会」についての振り返りエッセイ
感想・レビュー・書評
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川上未映子さんのエッセイ集。雑誌Hanakoの連載エッセイより。同誌への連載期間は2007〜2022年だそうだが、本書には2011年〜2022年の計245本のエッセイの中から厳選した80本を収録とのこと。2011年となるともう12年も前だが、1年あたり約6本のエッセイが収録されているので、1本読むごとに2ヶ月の時が進む計算となり、割とあっという間に最近の話になった。川上さんの文章はとても読みやすい。話題は具体的なモノから感情のような抽象的なことまで多岐に亘り、楽しめた。エッセイを通じ、川上さんは他人への気配りがしっかりできる繊細な方なのかもしれない、という印象を受けた。いずれにしても素敵なお人柄だ。先のことより今を平穏無事過ごせていることに何より感謝といった内容があり、深く同意。大切なことを思い出させてくれる本。
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「きみは赤ちゃん」を読みすっかりファンになった川上未映子さん。日常のなんとも言えない違和感を言葉にしてくれてるエッセイで、なるほど〜と楽しみながら読めた。
また時間をおいて読みたい一冊。 -
まるで私に語りかけてくれているような、やさしくてお茶目な言葉。
もったいなくてちょっとずつ読んだ。
未映子さんが少しずつ変わっていくのがわかって(悪い意味じゃなく)、そのときどきの時代の空気感が感じられて、自分の記憶じゃないのに「そのとき」を思い出すような不思議な懐かしさもあって、てらおかなつみさんの表紙も最高にかわいく、宝物のように素敵なエッセイ! -
川上未映子さんのエッセイだが、何かリズムに乗れぬままに読み終えてしまった。やはり、「Hanako」に連載されてたので対象が女性なのか、それとも川上未映子さん自身との波長は合わないのか、遠いところで吹いている風のようで、良きも悪きも私への影響は少なおましたな。
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マガジンハウスhanakoの連載からエッセイなので、女性に向けての問いかけが多く、容姿の話しや多様な恋愛の話し、生活費の話し、妊娠出産など、フェミニズム的な視点がかなり多く男性から読むと勉強になります。
全体的に10年以上のスパンがあるので、前半は強気な想いが続くけど、段々と落ち着いて哲学的な想いになり、子育てや仕事、そして自分に向き合って、深く、しっかり息をしていくんだなと思いました。
印象的だったのが、自分で稼いだお金は自分で買う。誰かに買ってもらうことに抵抗があったり、もしも誰にも頼れない時がくることも考えて覚悟を決めておいたりと、自己責任の強い方なんですね。
あとサイン会での涙する若い女の子たちのお話しはもらい涙ですね。
わたしも深く、しっかり息をしていきたいと思います。 -
川上未映子さんのエッセイ集。私だったら言語化できないような、日常生活での心の動きとか疑問とかが細やかに書かれていました。サクサク読めるので、疲れている人にもお勧めしたくなる本です。
「うわぁぁぁ」って感じたのは「涙のやってくるところ」。サイン会とかで未映子さんを前にして泣いてしまう読者がいるという話に触れている。未映子さんは、読者が泣いてしまうのは自分に会えたからではなくて、本人が読書中に悩んだりいろいろ考えたりした心の動きを思い出したり、その余波みたいなものなのではないか、と考えている。これは私にとってもすごくハッとさせられるところでした。
他には夫婦別姓制度に対する考えを述べている「わたしは二度、結婚している」、日本人のパートナーの呼び方に見られるお家制度や時代遅れのジェンダー感について扱っている「主人などいない」は、私と思うところがほぼ一緒で「それな!それな!!」って相槌を打ちながら読んだ。 -
川上さんの、何気ない日常を表す言葉の解像度の高さがすごく好きだ。
・「ありとあらゆる世話をするために、どんなにどんなに眠くてつらくても、起きて動かなければいけないのだ。家事をし、公園にもゆき、ハイテンションで遊ばなければならないのだ。このつらさ、渦中にあっても未だにわたしはうまく信じられないのだけれど、とにかくわたしの人生の大部分は自分のものでなくなったと感じるのはこんなときで、そんなときに必須なのが、エナジードリンクだったりするのである」
ここが結構衝撃的だった。
私は出産・子育てについて考えた時、「子どもは別にいなくても良いかな」と思っていた。
だけどこれって、自分でも気付いていない本音を巷でよく聞く言葉で誤魔化していただけだったなと今は思う。
この部分を読んで、本当は自分の人生の大部分が自分のものでなくなるのが耐えられないんだと感じた。
子どものために尽くす自信が無い。
心から可愛いと思えるかわからない。
確かにそんな漠然とした不安もあるけど、それを人に話しても「自分が産んだ子と他人の子は違うから大丈夫」「産んだらなんとかなる」と言われる。
今まで、そんな一か八かでほんまにええんか...?と後込みしていたけれど、根本的に不安の根っこが違ったんだな。
生まれてきた子どもを愛せるか、ちゃんと育てられるか以前に、きっと自分の人生の主人公が自分ではなくなるのが不安なんだ。
不安の原因がわかってなんかスッキリした。
この先自分が主人公をし続けることに飽きる日が来て後悔するんじゃないかという心配もあるにはあるけど、まぁ今の気持ちに正直に生きるしかない。
時間を空けて読むとまた感じ方が違うんだろうな。
折に触れて読みたいエッセイだった。 -
Hanako誌面でかつて読んだ記憶があるから、昔こんな話したよね、って友人と思い出話をしてるような感覚になった。
サイン会で川上さんを前にして、涙する女の子たちの話。
感極まってしまう気持ちも分かるし、その想いをしかと受け止めて、同じくらいのテンションで感激してくれる川上さんの懐の深さ、心意気も最高。
私もお会いしたときにもらったパワーの余韻で今生きてるようなもので、自分以外にもそんな読者がたくさんいることが嬉しい。 -
●なぜ気になったか
卓越した文才人の川上未映子さんは、どんなエッセイをしたためるのだろう。エッセイは未読だし、10年間のエッセイからのピックアップ、時代と表現の変化を楽しみたい
●読了感想
活字ジャンキーな僕にとって「この言葉の繋がりすばらしすぎる!」って表現に出会えるとすごく楽しい。そんな表現にいっぱい出会えた。10年前のエッセイでも古臭さを感じないのが不思議!
#深く、しっかり息をして
#川上未映子
23/7/7出版
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