- Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840121255
作品紹介・あらすじ
廃線から市民の願いを受けて復活した福井・えちぜん鉄道。「乗客をもてなす」心はアテンダントたちの仕事にあらわれている。「心」が結果を生んだ感動実話。
感想・レビュー・書評
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以前、全国ろうあ者大会で福井へ行った折に一駅乗ってすっかその「親切さ」に感激してしまった「えちぜん鉄道アテンダントさん」
彼女たちの活躍というか「活躍」に至る経過や背景が書かれた本です。
写真もふんだんに掲載してあって、私はあのときお世話になったアテンダントさんが「杉本さん」だということが分かりました。改めてお礼を言わせていただきます。今年(平成20年)6月6日(金)午後4時9分三国港駅発のアテンダント杉本さん、本当に親身になってお世話いただきありがとうございました。あなたのおかげで短い時間だったけど「三国」の良さをちょっとだけかじることができました。
そして驚くことに、そのお礼をどうしても伝えてもらいたくなって翌日6月7日(土)永平寺の帰り、午前11時50分永平寺口から乗った列車で声をかけたのが、この本を書かれた嶋田さんだったようなのです。この本を読んで「どうりで私のような人見知りの激しい男がつい声をかけてしまったわけだ」と妙に納得してしまいました。
そんな魅力を持っているのが「えちぜん鉄道アテンダントさん」たちなのです。
でもこの本を読んで私がより一層感激したのは、そうした「魅力」を彼女たちが身に付けるまでには大変な苦労があったことをこの本を読んで知ったからなのです。
とりあえずこの本を読む前に実際に「えちぜん鉄道」に乗ってみることをお奨めします。
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第三セクター「えちぜん鉄道」に乗務するアテンダントの話です。
えちぜん鉄道の前身は、京福電鉄福井支社。わづか半年の間に正面衝突事故を二度も起し、国交省より運行停止命令が出された、あの電鉄会社です。
当時は、もう再開は無理だらうと思はれてゐました。このまま廃線になるのだらうと。
運行停止中の頃、私は福井を訪れ京福電鉄の情況も見て来ました。駅や線路などの施設は荒れ放題になつてゐたのです。本書でも少しふれてゐますが、閉鎖された駅舎やホームは芥の山で、弁当を食べた後の容器や空のペットボトルなどが散乱してゐました。目を覆ふ惨状。人心は荒廃してゐるなあ。
線路は錆だらけで、とてもここに再び電車が走る日が来るとは思へませんでしたね。
それが第三セクターで復活したといふことで、これまた話題になりました。本書を読むと、いかに多くの人が鉄道に頼つてゐたのかが分かります。しかし税金を投入してまで走らせる電車なので、失敗するわけにはいかない...
そして、えち鉄の誕生とともに導入されたのが女性アテンダントでした。車掌ではなくアテンダント。導入に際しては賛否あつたやうですが、「安全のための投資」の意味を込めて決定したさうです。
その「えち鉄アテンダント」のリーダー、嶋田郁美さんがその日常を教へてくれます。
アテンダントの主要業務は「切符販売・観光案内・乗降補助」が三本柱ださうです。しかし、基本的に乗客の要望には可能な限り応へるといふ姿勢で、沿線の植物についての質問、病院に耳鼻科があるかどうかなどの問い合せにも「わかりません」とは言へないのです。アテンダント同士の情報交換や各部署との連携、時には他の乗客からの情報も駆使して何とか対応します。この努力には頭が下がるのであります。
もちろん失敗もあり、乗客を怒らせてしまふことも。ほとんど嫌がらせのやうな苦情、マナーの悪い乗客とも格闘するしんどい仕事なのです。
それでもアテンダントたちは、仕事を嫌だと思ふことなく、それどころか常に反省して、よりお客様に喜ばれる方策を考へてゐるのです。何だか出来すぎですね。
接客にかかはる人たちには一読の価値があると思ひますよ。自らと比較して絶望するのも良いでせう。あるいはいつもブツブツ不平不満をもらす向きにも本書を読ませませう。少し大人しくなることでせう。
http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-110.html -
止まっていた鉄道を復活させ、自動化や人員削減で、経費を削り生き延びようとするのではなく、その逆をやって見事成功した例。
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課題図書
えちぜん鉄道における特殊なサービスを勤務している女性のみなさまのお話
そのサービスの利益苦労それからがわかりやすく話していてこれからのどんな仕事に就いてもあきらめないことが大切だとわからせてくれたと思う。
しかし文章の書き方が少し苦手 -
近所の図書館で、最近「電車」がどうのという企画でワゴンに電車やら鉄道がらみの本が並んでいた中から、「ガールズ」に引っかかって借りてきた。
福井の「えち鉄」ことえちぜん鉄道は、かつての京福電気鉄道が相次ぐ事故を起こして撤退、廃線となったあとに第3セクター方式で復活した鉄道である。私はこのローカル線に、京福時代に一度、大野や永平寺方面へ行くのに乗ったことがある。
こういう赤字と隣り合わせのローカル線は、可能な限り"コスト"圧縮して、さびれた駅舎に無人駅にワンマン運転でやるのがフツーである。ところが「えち鉄」には、運転手以外にアテンダントが乗っているのだという(「車掌」でもないのらしい)。
当初は何の仕事をやるのがアテンダントなのか、それもはっきりしておらず、自分らで考えてやってくれということで始まったもよう。客から何のために乗ってるねんと時に言われながら、復活した「えち鉄」でアテンダントたちがやってきたことは、サービス業のココロのような気もする。
その「アテンダント」が、他の職種とは違って「派遣」で始まったことや(後に直接雇用になっている)、どうも女性だけらしいことが(法もあるのだし募集で女性だけということはないと思うが)、感情労働は女の役目だというのが前提で、しかもそれが少々軽く見積もられているように思えて、もやもやと気になった。 -
重大事故を連発させて廃止に追い込まれた福井県の京福電鉄の線路を第3セクターとして蘇らせたえちぜん鉄道に新設されたアテンダントの話。
ぜひ乗ってみたいと思った。
自分が通勤で利用している路線にもこういうシステムがあればと思ったが、乗客の数(=1編成あたりの車両数)が違い過ぎるので無理だなあ。
鉄道に興味ない方も面白く読めると思う。 -
ローカル線「えちぜん鉄道」で働くアテンダントと呼ばれる人たちのドキュメント。大手私鉄が事故を連続して起こし営業停止が続き、結局廃線へと追い込まれた。その後地元の人々の努力で復活。車掌業務に近い女性のアテンダントを新規で置く。ローカル線でスポットライトがあたる職業ではないが、接客業の難しさは並大抵ではないのだと、改めて思った。彼女らの努力と向上心に敬意を表します。
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福井のローカル線でのアテンダント。
利用客にとっては、いないと困るだろうなあ。
各地の赤字ローカル線にこういった人が乗ってれば、利用客数減の負のスパイラルに歯止めがかかるかもしれない。 -
新幹線ガールズの姉妹本。福井のえちぜん鉄道のアテンダントが書いたエッセイ。サービス業のあり方を教えてくれる。新幹線ガールズよりちょっと固め。
(ちなみに私はこの本の著者に逢えました)