乱暴と待機 (ダ・ヴィンチブックス)

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  • メディアファクトリー
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840121767

感想・レビュー・書評

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  • 愛情関係よりもずっとずっと確実なつながりを祈るように求め続ける、男と女の物語…
    異常な関係の男女をさらに誇張したらこうなるのかな?設定がショッキングだけど、本谷有希子先生の本はなんとなくこんな人いるかも?と思わせる何かがある。

  • 全体的に狂ってるけど
    最後の疾走感がよい。←

    でもやっぱ兄ちゃん気持ち悪い(笑)

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「全体的に狂ってるけど」
      本谷有希子だからね。
      映画を観てから読もうと思ってズッと積読になっている。。。
      「全体的に狂ってるけど」
      本谷有希子だからね。
      映画を観てから読もうと思ってズッと積読になっている。。。
      2012/09/03
  • 劇作家という先入観からか、演劇的構成が面白い。
    4人の登場人物それぞれからの視点で一つの物語が作られていく。
    大掛かりな仕掛けはないが、冒頭の「見てない世界が本当に存在するのか
    ?」という件が最後のモノローグにも効いていたところにグッときた。

    ダメな奴はやっぱりダメ。
    だけどダメなりに変化はある。
    でもダメってどこか気持ち悪い。

    リアルな主張が清清しい。

  • 覗く事は本能。

    ってな事で、本谷有希子の『乱暴と待機』

    まあ、本谷節が炸裂じゃね♪

    アンジーの天井裏から愛を込めてが聴こえてくる感じじゃね(笑)

    独自の世界観を持つ人居るよね。

    自我を突き通す人、自我を閉じ込めて周りを気にし過ぎる人。

    そんな2人の復讐生活。

    訳分からん(笑)

    気の弱い人が読めば納得出来る感覚なんじゃろか?

    まあ、この本は愛が一杯溢れております。

    2019年28冊目

  • うーん、うーん。
    おもしろいのかおもしろくないのか。
    後味がいいのか悪いのか。
    よくわからない気持ちになる話だった。

  • 二人暮らしで二段ベッドで眠る、復讐の方法を考え屋根裏から覗く「兄」と人の顔色を先回りして窺い兄からの復讐を待つ「妹」の倒錯。同僚と元同級生のカップルが異常を告げながら巻き込まれていく。粘着質な澱みは不思議となく異様なのにさらりとしてどことなく滑稽さにも似て、生活に根差した回りくどい不器用さが愛しい。

  • 人物、ストーリー、文体、すべてが好き!
    幼馴染だった緒川奈々瀬と山根英則。大人になった今なぜ妹とお兄ちゃんとして奇妙な同棲生活をしているかというと、復讐が果たされなければならないからだった。
    でもなぜ復讐をしなければならないのか?その理由はいっさい覚えていないという。奈々瀬は、ただ英則が復讐する理由と復讐する方法を忠犬ハチ公のようにひたすら待ちつづけているのだ。
    二人のこのおだやか?な日々は、英則の同僚の番上の出現によって脅かされていく。。。
    番上の彼女、かつ奈々瀬の同級生でもあるあずさの存在もパンチがきいていて良かった。
    ああ本当に愛すべき人たちしかいない。
    復讐、という免罪符だけをいつまでも抱きしめている共依存のような関係がたまらなく好きだと思った。憎んでいる、という言い訳を盾に英則は奈々瀬を愛している。
    歪だがそういう愛し方を私は尊重したい。
    誰からも嫌われたくない、誰にも迷惑をかけたくない、と常にビクビクしている奈々瀬の気持ちもわかる。
    お兄ちゃんにならもうこれ以上嫌われることがないという安心感。復讐がある限りお兄ちゃんは私から離れていくことはないから、復讐という関係性だけは失うわけにはいかないと自覚しているのだ。
    永遠の愛は疑ってしまうけど、永遠の憎しみなら信じられる。

    お兄ちゃんが中一のときの、「自分が家の玄関を閉めた瞬間、たった今まであった家の中の風景が全部消滅してるかもしれないという妄想に取り付かれている」エピソードも好きすぎる。
    不意打ちで世界の存在をたしかめる。監査と査察。
    いつだってきちんと奈々瀬はそこにいてくれる。

  • 「妹の一挙一投足を覗き続ける。この事態を招いたのはあいつ自身なのだから」
    「復讐相手として憎まれている限り、お兄ちゃんがわたしから離れていくことはない」
    妹を覗き続ける男と、兄に復讐されるのを待つ女。二人の奇妙な生活は数年にも及んだが
    ある男女がその世界をぶち壊すべく、彼等の部屋に心のうちに、ずかずかと入り込んで来た…。

    濃密な恋愛小説と捉えてよいものだろう。
    必死になればなるほど空回りするタイプの妹は、大抵の人からすればうざいキャラだけど
    すっぴんにスウェット上下にでか眼鏡の冴えない姿。でも良く見たら結構かわいいじゃないか
    あぁ、まるで萌えキャラです。暗くしようと思えばいくらでも暗く出来そうなこのテーマで
    コミカルさすら漂うのは、この娘が“こう”だから。でもね、女には幾つも顔があるのです。
    今見せている顔が、いつもの態度が、その女の本質だとは限らないのです。

  • 「……確実に間違ってなかった時までさかのぼったら、お前に辿り着いた」
     と突然目の前に現れた幼なじみ(お兄ちゃん)との奇妙な同棲生活。苛つかせたくないあまり相手の顔色を過剰に伺う癖のある奈々瀬にとって、恨まれている限り自分から離れていくことはない英則との生活、復讐の“待機”は楽だった(なぜ復讐するべき(されるべき)なのかはお互いにわかっていない)。そんな二人だけの張りぼての世界に、“乱暴”が突如襲ってきて。
     人間のややこしさを裏ごしして煮詰めたらこんな感じ?ってくらい全員ややこしくて、さらにそれがぶつかり合うもんやからカオスに次ぐカオス。さすが劇作家、演劇のような小説だなと感じた。

  • 舞台のDVDあらすじを読んで本を購入。
    なんか人間関係は歪んでいるけど、臆病な自分に素直な人たちだな。やっぱりDVDも買って見ちゃおうかな。

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著者プロフィール

小説家・劇作家

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

本谷有希子の作品

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