- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840134064
作品紹介・あらすじ
古民家に暮らす妻、由緒ある家に嫁いだ若奥様、古くからの町家で祖母・母と暮らす妙齢の女性、京都の大学生、女子高の生徒…。さまざまな「京おんな」の生きざまを描く六つの怪異物語。『ダ・ヴィンチ』『幽』主催第4回『幽』怪談文学賞短編部門大賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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京都の雰囲気を存分に感じさせられる怪談短編集。しっとりとした和風の空気に、じっくりと浸って読みたい一冊です。京ことばもなじみやすく、分かりにくい部分にはきちんと註がついていますし。
お気に入りは「おじゃみ」と「前妻さん」。それぞれに登場するタイトルどおりの異形のものは、ホラーの雰囲気を持ちながらもどこかしらユーモラスで愛らしくもあります。そしてそれらよりも怖いぞ主人公。そこまでせんでも~。可哀想じゃないか! やっぱり人間が怖いのか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
図書館より
京を舞台にした怪談系の作品を6編収録した短編集。
表題作の「おじゃみ」(関西でお手玉のこと)をはじめ、出てくる幽霊や妖怪たちにどこか可愛さや可笑しさ、哀しさを感じさせられます。特に「おじゃみ」のお手玉に憑りついた赤ちゃんの霊は、母親に甘えているようにも読めて、
また「前妻さん」の手だけの幽霊も後妻を差し置いて、お茶を汲んだり子どもをあやしたりと、情景を考えると結構ユーモラスです。
それに反して描かれる人間の怖さ…。「おじゃみ」の語り手の、自分の赤ちゃんの霊が憑りついたお手玉への残酷な仕打ち、など人間の行動の怖さもしっかりと描いているのですが、
それだけでなく、女性らしい細やかさで描かれる、欲や嫉妬など心理面の怖さもしっかりと描かれています。
しかしこの短編集の神髄は京都弁でしょう!
6編中3編は地の文も京都弁にする徹底ぶり。他の短編ももれなく京都弁の登場人物は出てきます。
自分は京都市民ですが、ここまでコテコテの京都弁は使いません(笑)。しかし著者の方が京都生まれ、京都育ちだけあり作中の京都弁には違和感は感じませんでした。
京都弁は品がよくてあたりが柔らかい、と京都人である自分で言うのも何ですがそう思います。テレビなんかでたまに見る舞子さんはその最たる例です。
でも、その品の良さ、当たりの柔らかさは正直不気味でもあります。京都弁の品のよさ、柔らかさ、独特の間、そうしたものは京都人の黒い心を表面上は分からなくしてしまう効果があるような気がするのです。
よく京都人は腹黒いとも言われますが、それも京都弁の一種の不気味さが理由ではないでしょうか。
そんな京都弁で語られる怪談だからこそ、物語の不気味さ、なにより京都人の黒さが独特の色で描かれます。
読み終えて、京都弁で怪談を書こうと思った著者の神狛さんに一本取られた、と思ってしまいました。
前評判を知らず図書館でなんとなく借りた作品ですが、予想以上の大当たりでした。たぶんこの本を一番楽しめるのは京都育ちか、在住の人だと思うのですが、
別の都道府県の人がこれを読んだら、どんな感想を持つのかちょっと気になります。
第4回『幽』怪談文学賞短編部門大賞「おじゃみ」 -
近所の図書館に捨てられていたものを拾ってきたシリーズ
「京都怪談」とのことなので、何か京都にまつわる怪談話の歴史的背景等の分析がなされているのかと勝手に思っていたが、普通に怪談話短編集だった。
しかし、どれも読みやすく面白く、普通に楽しめて読めた。なんかの文学賞受賞した一番最初の短編「おじゃみ」よりも個人的に面白い話も収録されていて、色々と楽しめた(小並感) -
文章で読む京都弁というのはあまり見ないので、新鮮です。
しっかしそのいけずさが怖くてもう京都行けないですね。
こういういじましい系には弱いんです。
割と、少女をとりまく危うさも良かったです。 -
女性的ホラーというか、私はちょっと苦手。
短編集で個人的には後ろの方の作品の方が新感覚で楽しめました。
女子高生の話は思春期ぽい考え方で懐かしく感じながら、読了しました。
タイトルにもなったおじゃみ等はあざとい考えが苦手ですが、迫力凄い。
燃え上がる描写は太宰の地獄変を思い出しました。
文体・ストーリーに才能が溢れてますので、一読の価値あり。 -
(推薦者コメント)
じわっと怖いホラーストーリーが短編でいくつか入っている。夏じゃなくても読みたいです。 -
すごく怖いわけではないのでちょっとした
怖さと京都の雰囲気を味わいたいときにどうぞ。 -
怖いし、気持ち悪いのだけど、なんだか軽やかでさらりとした文書でした。京言葉がより気持ち悪さに拍車をかけてますね。
おじゃみ•前妻さん•虫籠窓は特に面白かったです。しかし、正体みたり・・・はベッドで寝られなくなりますね(。TwT)