FBI式 人の心を操る技術 (メディアファクトリー新書)
- メディアファクトリー (2010年6月29日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840134392
感想・レビュー・書評
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生きていく上では周囲の人々とのコミュニケーションは欠かせない。全く誰とも会わない無人島暮らしでないなら、朝起きて家を出て満員電車に揺られながら移動し、学校や職場で過ごし、また少し空いた電車で帰路に着く。自宅近くのスーパーやコンビニでレジの担当者にお金を渡す。実に人は多くの人とすれ違い、直接話さなくとも周囲の人を観察し、観察され互いを意識しながら過ごしている。
本書はFBI捜査官に対する講義にも用いられる、相手を見抜く力や接し方などボディランゲージ中心にその意味や使用方法を解説する内容だ。と一見優秀なFBI捜査官ならまだしも、一般の人には難しそうな雰囲気は伝わってくるが、私の様な普通の人間でも思い当たる様な仕草や表情をベースにしているので理解しやすく、練習を積めばやれる自信が身につく。
まず簡単な部分で言えば、初対面のケースで利用する(ビジネスでは毎日発生する様な話)7つのテクニックは直ぐに実践できる。普段意識的にやってる人も多いだろうが、1.自己紹介は力強く、一拍置いてしっかり名前を言う/2.焦らず、自分の視線、姿勢、体の角度、足の向きに気をつける/3.相手に喋らせるために、答えを限定しない質問=オープンクエスチョンを多様/4.情報提供者になるために、自分を打ち明け、相手の不安を解く/5.相槌は心を込めて、1回深くする。2回以上の短い相槌は急かしてる様に見えてNG/6.融通を効かせるには
やり方はこうですといった、限定を避けて相手に融通をきかせてあげる/7.動き続けるために、対面時間を小分けにして、席を変えるなど短い時間でも相手に沢山の体験させる、といった相手の心を開かせる技術だ。ビジネスでも飲み会でも初対面の人にはどうしても互いに警戒心が働くものだが、よほどミステリアスな自分を演出しない限り、誰とも気兼ねなく話したいものだ。その様なシーンで使える。
そして、全ての人に共通する感情=連動する顔の筋肉は共通という件は「顔は口ほどにものを言う」という、誰もが知っている諺に通じる。4分の1秒も経たないうちに消える(作り笑い等)を微表情という様だが、これを見抜くには訓練が必要そうだ。一般的な7つの感情、怒り、嫌悪、恐怖、歓喜、悲嘆、驚愕、軽蔑までなら直ぐに見抜けそうだ。
私の周りにも直ぐに怒り出したり、感情的な表情をこれでもか、と言うほどに見せる人がいるが、嘘をついてる人が、その嘘を隠すために(真実を見抜かれない様に)攻撃的になって、力づくで隠そうとする、と言う記述通りに動く人は多い。アメリカではIED(間歇性(かんけつせい)爆発性障害)を患う人が1600万人いるそうだが、状況に過敏に反応し、怒りを抑えられない、所謂キレやすい人への対処法も覚えることができる。先ずは自分の防衛を目的に、目を逸らす、局部やヘソを隠す、自分から話さない。理由を尋ねたり、鎮めようとすると逆効果、頭に来てる人は、一時的に自分が正しく、相手が間違っていると思ってしまうといった事を理解していれば対処し易い。いずれにしろ自分を先ずは抑制して寛容さ忍耐強さで対応する事が重要だ。大概問題は自分ではなく相手の中だから、相手の心に冷水を直接かけることはできず、どうしようもない。
本書は途中で、著名な心理学者の言葉を引用し、以降の記述を飲み込みやすくする努力もなされている。「感情は主に体ではなく顔に表れる。一方、体が表すのは、その感情をどう処理しているかだ。」うんうん、と大きく深く頷いてしまう。
最後に纏めとして、対人関係の応用編として、それまで学んだ技術を組み合わせて活用する事を説く。
「自分が正しいと思い込まない」は人との間に壁を作らない手段だ。「敬意をもって接する」相手との関係をつくるために有効だ。「人の助けになる」自分の中にこの気持ちがある事でより信頼関係は深まるだろう。誰よりも大切だと思って接する事で、必ず人はお返しをしようとしてくれる。
先ずは自分の周りの人を全肯定(君の言う通りだ)する事は、私も常に意識してる。
そして最後に、これら学んだ事を実践する事が大事だと教えるが、完璧なものを一回でつくろうとせず何度失敗しても良いから、最後に一つ出来上がればいい、失敗は間違いなく有益だ、とする記述で大きな自信がもてる。
道は一つではない。パイロットは全フライトの75%近くで進路変更するが、目的地には到達している。この言葉通り、私も早速実践していく。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
イントロダクション FBIのノウハウが、あなたを劇的に変える
準備編 まずは「仕草の効果」を知ろう
ステップ1 相手の「素」の状態を知る
ステップ2 ヘソの心理的効果をマスター
ステップ3 下半身を意識しよう
ステップ4 好きな側から攻める
ステップ5 支配的な仕草を使いこなす
ステップ6 「真実の表情」を読み取る
ステップ7 「質問と沈黙」で支配する
ステップのまとめ 新しい自分へ
おわりに -
"「ライ・トゥ・ミー」というアメリカのテレビドラマがあった。顔の一瞬の表情で相手の本心を見抜くことのできる心理学者が主人公のドラマ。そのモデルとなる実在の人物がポール・エクマン博士。
本書の著者も長年の捜査で培った経験からその域に達した人。無意識に取ってしまう行動の一つ一つが感情を表しているしぐさなのだ。犯罪者の嘘を見抜くことに心血を注いできたからこそ達した領域。
そのメソッドを伝えてくれるのが本書。とても勉強になる。" -
アメリカで「アルコール・タバコ・火器および爆発物取締局」に15年間勤務し、ボディーランゲージについてFBIなどで講義する著者による本。脚の開き具合や手の動き・位置、視線、表情などによって、それを見ている人がどう感じるか、あるいはそれをしている人はどんな心理状態にあるのかを解説したもので、"You Say More Than You Think"という本の和訳。自信を持って自分をアピールするための自己啓発的な要素も含まれている。
著者が関わったり、見聞きした取り調べや裁判での犯人のエピソードが豊富に紹介され、「両手を握りしめて局部を隠すのは恐怖心や弱さの表れ」とか、「自信と威厳を感じさせるためには、両手で『とんがり屋根』を作る」とか、そういったことが書かれている。まあ、面白いと言えば面白い部分もある。例えば、「本物の笑顔と作り笑いを見分ける一つの目安」(p.144)は「時間」だそうで、「3分の2秒以下で消えてしまうか、あるいは4秒以上続く笑顔は偽物である場合が多い。」(同)らしい。おれはよくつまらない飲み会の時とか、ずっと笑顔を作ったりするので、4秒以上どころか4分くらい笑顔のままなので、確かに長い間持続する笑顔というのはあまりないのかもしれない。あと、「自分の体に触るのは弱気の証拠」(pp.119-22)という章があるが、これを読んで、言われてみると、おれは英語の教師だけれども授業しながらポケットに手を入れたり、無意識に一方の手でもう片方の手を触っていたり、あるいは体ではないけれど、なんか輪ゴムとか触っていることが多いということに気付いた。こういうクセは意識すれば直すこともできるかもしれないし、さらに意識的にジェスチャーをするなり、「全面開放」(pp.125-6)をするなりすれば、生徒に与える印象というのはだいぶ変わるのかもしれない。
ただ、指摘するまでもなく、ジェスチャーというか非言語コミュニケーションというのは、文化的な文脈が大きいので、日本人にはあてはまらないところも多いように思う。腰に片手を当てる、という仕草はあまりしないような気がするし、親指以外をポケットに入れる「フッキング」というポーズをとっている人も見たことない。逆に日本人は口に手を当てたりする動作が持つ意味は、日本独特のものがあると思うし、あるいは男子高校生なんかは鳩のように首を前後にやってうなずくことがあるが、これはこの動作そのものがアメリカにはないものだが、何らかの心理(照れ隠しとか?)を表している気がする。英文読解の本として読んだら面白いんだろうけどなあ、と思いながら読んだ。(26/02/20) -
内容はシンプルだが、相当な効果が見込める
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とても面白い。「なるほど、気を付けよう」と思うところが一章に1つは出てきて。
でも一方で「ほんとかなあ」という疑義はあるんだよね。
いや、たぶんアメリカでは、あるいはアングロサクソンの文化圏では、きっちりと確立した理論なのだと思う。
でも日本ではどうなんだろう。「中指云々」ってのは明らかに当てはまらないし、それ以外のノンバーバルなコミュニケーションについても、どこまで文化を超えることができるのか疑問ではある。エクマンの表情のやつもそうだし。
まあそれを差し引いても、仕草が内面を表すことは間違いないし、仕草を意識することで内面までコントロールできる可能性が高まるという話も説得的だと思う。 -
≪目次≫
準備編 まずは「仕草の効果」を知ろう
ステップ1 相手の「素」の状態を知る
ステップ2 ヘソの心理的効果をマスター
ステップ3 下半身を意識しよう
ステップ4 好きな側から攻める
ステップ5 支配的な仕草を使いこなす
ステップ6 「真実の表情」を読み取る
ステップ7 「質問と沈黙」で支配する
ステップのまとめ 新しい自分へ
≪内容≫
FBIの捜査官による、仕草から相手の感情を読み取り、それに対処することで、効果がある(著者の場合、犯人を見つける、被疑者を落とす、など)という話。おおかた嘘ではないと思うが、100%信じないで他人を観察しながら、取捨選択をしていきたいと思う。 -
FBIなどに尋問の方法を教えてきた著者による、人の心を操る技術の本です。
この本を読んで分かったことは
・相手の素の状態を観察せよ
・相手と友人のような関係になって、相手の防御を下げよ。
・ヘソの向きと下半身の動きに注目せよ
・相手は左右のどちらの側に他者が来ると不快感を示すのか。
ということです。
人の心を読む知識を身につければ
相手に自分をどう見せたらよいかが分かります。 -
ボディランゲージという方法を分かりやすく説明しているだけでな く、それの活用術を上手く説明している。
非常に興味深い本である。
ヘソの法則や、左右の立ち位置など、聞き慣れないものもある。初見では、これだけでは人の心を操るのは難しいのではないかと疑うだろう。その通りである。
この本のスキルだけでは、人の心を操るのは難しいだろう。だが、以前よりも交渉などを有利に運べるだろう。
FBI式なので、非常に難しいのかと思ったが案外取り組みやすい内容であった。また、内容はシンプルだが、相当な効果が見込める。そういう意味で★5つにした。