大人のための水族館ガイド

  • 養賢堂
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本棚登録 : 65
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784842505718

作品紹介・あらすじ

前書『大人のための動物園ガイド』は、何度か動物園に足を運んだことのある大人がさらに動物園にいってみようと思えるような魅惑的な内容の本であった。とてもバランスがよくコンパクトにまとめられていながらも、網羅的で豊富な内容が盛り込まれていた。動物園の関係者が読んでも大いに参考になるものであったと思う。本書ではコンセプトは引継ぎつつも、既存の水族館ガイド本やテキスト類が詳述する、生きものの豆知識や魚類等の飼育に関することについてはかなり絞った記述に留め、動物園と共通する事項についても省略しているので、併せて前書『大人のための動物園ガイド』をぜひお読みいただきたい。

感想・レビュー・書評

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  •  葛西臨海水族園の錦織副園長(当時)が監修された水族館ガイド。大人のためのと書いてあるが、大人から子どもまで読みやすい本だと思う。
     水族館とはどういうものなのか、水族館の歴史や、葛西臨海水族園での職務内容や取り組みなどを例に紹介。環境問題が叫ばれる昨今、命を扱う水族館の使命とは何か。
     水族館が好きな方、最近水族館行ってないけどまた行きたいなーという方、水族館で働いてみたい方、水族館にまつわる全ての方にオススメしたい。
     何度読んでも勉強になる、良書。

  • [鹿大図書館・冊子体所蔵はコチラ]
    https://catalog.lib.kagoshima-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB27235899

  • ▫️水族館とは
    水族を観察するという帝国主義的な考えの元生まれた。
    食育や自然に興味を持つ入口にはなる
    「人間中心主義から環境中心主義へ」シフトはしている

    ▫️種差別について
    「1水族館1種累代繁殖」という考え。つまり野生からは捕ってこない。乱獲しない。水族館内で繁殖していく。

    これは動物の権利擁護者には受け入れられない。だって人類全体の繁殖のためと称して勝手に選ばれた個人がむりやり人工授精させられることは許されない。だから動物にも個々の権利があると認める人々は種全体の繁栄のためと称して、選ばれた生き物を実験の対象とすることは許されない。つまり、個体ごとに尊重せず種としてひとくくりに扱うこと、そのもののに意義がある。種の保全のためだから、これに異議があるということ。
    動物をその他大勢として扱い、保全しようとする態度はかつての支配的態度を改めるものではなく、むしろその延長線上にある。動物の権利擁護者にとって、これこそが水族館の活動に見え隠れする許せない態度。

    ▫️環境水族館
    ふくしま海洋科学館・アクアマリンふくしま

    開館3周年を記念して「海を通して人と地球の未来を考える」の理念のもと環境水族館宣言を出した。
    夏と冬の位置が違う太陽光を建築家が作り出した。日本らしい四季折々の光の変化を展示水槽が表現。
    しかし、3.11で展示生物は9割が死滅、流出し、冷凍餌も溶け始め、復旧の見込みはなかった。余震の続く日々に千葉県の鴨川シーワールドの荒井一利館長が迅速に手配し、シーワールド職員が海獣類を引き取り、彼らは避難できた。その後全国各地の水族館やボランティアの方、建築会社や設計会社の協力と支援を得て復旧工事が進んだ。震災から4ヶ月後には再オープンを果たした。感慨深い。
    当時水族館周辺は無法地帯だった。津波で流された自家用車の燃料や車内の貴重品も盗難被害が続出、数多くの盗賊が現れた。地震と津波で飲み水さえ確保できない状況の中、当時の日本政府が発信していた放射能への対策は、「外出したら水で洗い流すこと。」だった。現場を知らず、無知な情報を流す政府に虚しさを感じた。水族館再開に向けた準備も最大の難関は放射能だった。
    震災から7年経過し多くの海洋生物の汚染は改善されたが、多くの人々は福島でとれた魚に対して不安を持っている。その疑問に対して、当水族館では「調べラボ(たべらぼ)」を月イチで開催。
    福島から避難している子供が「菌」と呼ぼれている。開園してからも来館者は復旧していない。特に減少した来館者のほとんどが東京周辺の客。まさに菌と呼ばれる現象。各旅行会社に営業をかけても表向きは、復興を支援します、というが実態はほとんどが福島への旅行は消極的。

    ▫️感想
    以前から気になっていた種差別について理解が深まった。
    福島の子供たちは菌ではない。コロナ感染者だって菌ではない。自然の猛威に人間は勝てない。でも引き起こしてるのは人間。地球がもっと人間は自分達の活動を見つめ直せとアラームを鳴らしてくれる。
    福島県がこういったメッセージ性のある水族館があると知って、驚いた。行きたい。

    今日この本以外で勉強したこと
    米1000粒のうちたった2粒に斑点がつく原因のカネムシを殺すために、ミツバチの大量死を引き起こすニコチノイド系農薬を使う。勝手に虫を「害」と呼ぶ。そして殺し、また別の死を呼ぶ。そして人間は生きていく。

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