- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784845625512
作品紹介・あらすじ
本格的に理論を勉強する前にこの本で楽しく予習しておこう。やる気のある人にこそオススメ!
感想・レビュー・書評
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ダジャレ好きな「センセー」と、女子大生で将来保育士になる「リロンちゃん」が、ゆるい会話をしながら「五線と音名」、「倍音と音程」、「音階」、「調性」、「和音」、「機能とケーデンス」について柔らかく解説するもの。
読むのは面白いし、タイトル通り「ちゃんとした音楽理論書を読む前に」これで知識を入れておくと、だいぶん分かりやすいだろうという本。
たとえがたくさんあって、例えば「登りやすい長音階の階段」と「身体に負担がかかりそう」な短音階階段(pp.100-1)とか。そんな風に音階を考えたこともないなあ。とか。駅の階段とか短音階で登ってみようかなあ、と思った。他にも、トニックは「キーを決定づける主役中の主役で、戦隊のリーダー兼お父さん的な存在のIレンジャー」(p.139)とか、ドミナントは「ヒロインとして船体のサブリーダー兼お母さん役を務めるVレンジャー」(p.140)とか。教えるのがうまいなあというたとえ。他にも「テンションノートは、コードトーンの1つが本来の職場を離れて、ついふらふらと買い物に出かけてしまった状態と言うことができます。"あいつ仕事ほったらかしてどこ出かけたんだ?仕事がたまったままじゃないか!”と部長が起こって、職場に緊張が走る……まさにそんな状況に似た緊張感のある響きを持っているのがテンションコードなんです。」(p.192)とか分かるかどうかは別として読んでいて面白い。『ジュニア楽典』では音程で挫折したけど、この本ではちゃんと鍵盤を数えて、例えば2.5鍵分は「完全4度」、それよりも半音広がったファからシは3鍵あると、増4度という(p.75)など、1,4,5,8度は完全から増と減、2,3,6,7度は長3度と半音差の短3度の2種類あって、そこからさらさらに半音差で増〇度、減〇度、など、p.74に図でまとめられている。これを理解すれば〇度の音程の話はクリアしたかも、という気になった。「短3度音程を転回すると、長6度音程」(p.81)など、9から3を引いて長短を入れ替える、というのも分かりやすく、丁寧に解説されている。
面白かった話は、「理想の純正率と現実の12平均律」の話(p.34)。普段聞く音楽は、「ド・ミ・ソの振動比」に「ちょっとした小数点以下のズレ」があるらしく、そのおかげで「"トランスポーズや曲中での転調が可能"」なんだそうだ。聴き比べてみないことにはよく分からんけど、意外。それから、よく半音上に転調する曲について、理論的には「五度圏の図を見ると半音上のキーというのはかなりの遠隔調になっていますよね。対角線上の左隣ですから、主調から見たらまさに他人。でも、遠い関係の調に転調した意外性がかっこいいわけです。」(p.147)だそうだ。半音上なんて意外でもなんでもないっていうか普通転調ってそうするもんじゃないの、と思ってたけど、そういうことでもないらしい。逆に「かっこよくない転調」というのを聞いてみたい。
…とは言え、『ジュニア楽典』よりは少し進んだ気がするけど、でも「調性」からやっぱり怪しくなってきて、和音はやっぱりお手上げ。これは音を聞きながら習わないとダメかなあ、とか思ってしまう。ということなので「ちゃんとした音楽理論書」にたどり着く道は遠いことが分かってしまった。(21/09/11)詳細をみるコメント0件をすべて表示