フリーカルチャーをつくるためのガイドブック クリエイティブ・コモンズによる創造の循環
- フィルムアート社 (2012年5月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784845911745
作品紹介・あらすじ
「フリーカルチャー」-この概念の登場により、インターネットは"再起動"した。文化芸術娯楽からジャーナリズムや政治まで、情報社会の未来を考えるうえで"知らない"では済まされない基礎教養。テクノロジーとアート、英語圏と日本、そしてビジネスとフリーカルチャーの運動を接続し続けてきた筆者の経験と成果が読者に共有される。
感想・レビュー・書評
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クリエイティブ・コモンズ・ジャパン理事による「「継承」と「リスペクト」が生み出す「創造の共有地」という未来を描き出す」本らしい。
お勉強しなきゃ、、、詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
文化はある意味において善悪の価値判断を超越したところで動いている。大文字の「文化」に静的な定義を与えてその形を固定化しようとした瞬間、手元からすり抜ける。
ヴァレラ
「生物の世界、自己言及の論理、そして円環的な自然史の全体が寛容と多元主義つまり自らの知覚と価値を他者のそれのために譲渡することが知識の真の始まりであり、知識が最後に到達する地点。ここでは行為が言葉より価値を持つ。」
現代科学が生命の起源と作動を理解するための努力を続けているのと同じように文化についてもその構造を学び続け語り続け作り続ける必要がある。
ドミニクチェン氏の文章は雰囲気すごく好きなかんじなのだが、あんまり魂がこもっていないのはあまり共感できるポイントが多くないということだろうか。 -
クリエイティブ・コモンズの動向がわかる
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日本でクリエイティブコモンズについて書くために読むべき必読書であろう。あるいは著作権について論文を書くためには避けて通れない本である。
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自由なコンテンツ再利用を可能にする「クリエイティブコモンズ」を詳細に解説
画像、動画、楽曲その他メディア・コンテンツに対して柔軟に利用条件を設定できる「Creative Commons」について、豊富な事例を交えて解説している。
著作権やオープンソース運動など歴史的経緯の説明や各CCライセンスの解説のほかに、CCを活用している様々なメディア・コンテンツ事業者(画像、動画、Wiki、楽曲、教育など)の事例が列挙・解説されている。
※なおソフトウェア(フリー、オープンソース)については、CCの管理対象ではないので他書をあたった方がよい。 -
自分で発明した機器や自分で創った物のプロセス【成り立ち方、過程】が共有されることによって新たな機器や物が産まれていく。確かに他人に共有し、応用的創造されていくの面白いと思った。けど、そこには元々創った人への尊敬をないがしろにしていけない。それはタダの模倣であるし、最初に創った人との人間関係を大事にできない限りは、持続的創造は出来ないとこの本を読んで思った。師匠から弟子に継承すると同じく、機器や文化を創るプロセスを社会に継承していけば面白く、創造的な社会ができると思う。ただし、ただ自由に創る中でいろんなカオスやバグが起こると思うが、ここでつなぎ役的なキュレーター、創造や問題解決を促進するファシリテーター、問題を監視するモニターの役割が必須となると思う。
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著作権という枠組みが,デジタル化されたコンテンツとは合わなくなってきているからそれを補うもの=クリエイテイブコモンズが必要.
この枠組みとインターネット上に溢れるコンテンツにより「創造」と「学習」が融合し文化の進歩が加速する.
ただ,従来の学会等の評価システムとの整合性をどのようにとっていくのかが気になる.旧来のシステムには問題もあるがそれらをすべて切り捨てて新たなシステムを作るというのも車輪の再発明な部分が出てくると思う.旧来のシステムとどのように融合していくかが課題??
また,「リスペクト」という曖昧な概念をどのように組み込んでいくのかも課題.「いいね」ボタンでは表現しづらい.
そのような疑問点はあるが全体としては非常に熱い本. -
貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784845911745 -
クリエイティブ・コモンズの歴史から、フリーカルチャーの理想とすることなどがおおまかにまとめられている。法律の事項については踏み込んでいないのでそのあたりは弱い。幾つかの事実について丁寧に解説がなされていて、改めて納得したことがある。1つは創作物を流通させることがウェブによってかつてないほど簡単になっていること。またその創作活動の場において引用し合い、評価し合う事でどうくじの文化や新陳代謝が形成されていること、3つ目は音楽にしろ、何かの勉強にしろ、プログラミングにしろ、創作過程を想像することで習得スピードをあげられること、4つ目はフリーカルチャーをうまく用いることで分散・協調的な管理・統制のシステムが構築できることだ。
フリー=自由な何かというのは何かしらの規約がないとうまく働かずにカオスになってしまうから、CCライセンスを整備したことは大きな一歩なのだと感じる。著者がCCライセンスが過渡的なものであり、将来的にはライセンスなど意識しなくても成り立つようになると言っている点も共感できる。規約が文化や社会慣習を生み出し、いずれ規約は忘れられるのだろう。
最近の関心はネット特有の評価の方法というのは存在するのかということである。現実世界で(流通コストコストがほぼゼロならば)自然に行われるべき評価システムをウェブに載せるだけではナイーブで面白く無いと思ってしまうのだが、自然であるものを技術で保管するというのが有るべき流れのような気もするのでなんとも言えない。