歌う砂: グラント警部最後の事件 (論創海外ミステリ 19)

  • 論創社
3.64
  • (2)
  • (3)
  • (6)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 20
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784846005146

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 休暇でハイランドへ向かう途中の列車で若い男の死体と遭遇したグラント警部。だがそれはフランス人シャルル・マルタンの事故として処理された。が、現場にあった新聞への走り書き「歌う砂」が気になり新聞広告を出すと、アメリカ人青年タッドが現れ親友のイギリス人ビル・ケンリックが約束の日にずっと現われないという。

    親友が行方不明だというタッドが現れるまで、ちょっと退屈だった。がここから俄然面白くなった。ビルとタッドは飛行操縦士で荷物を運んでいた。タッドはビルはアラビアあたりで何かを発見したというのだ。

    ここからはアラビアの謎の遺跡の話への追跡話となる。ちょっと「第三逃亡者」(原作・ロウソクのために1シリングを)で若い男女二人が謎の男を追う雰囲気になってくる。最後は遺跡をめぐりちょっとしたどんでん返しの結末。

    ハイランドに興味があるので、その描写が興味深かった。
    著者のジョセフィン・テイはスコットランドのインヴァネス出身。「歌う砂」がヘブリティーズ諸島のクラダ島にあると聞き付け、グラントは向かう。ヘブリティーズでは「皆夏の短い間だけ来るからね」とか、クラダ島のホテルで出てきたのは、「ギトギトのオレンジ・キッパー、グラスゴーでできた食パンに、エジンバラの工場で焼かれ温めなおしてないオート麦ビスケット、ダンディーで製造されたジャム、カナダ製のバター、地元産はただひとつ、胃袋形に盛られた青白いクローディーチーズで、これが匂いも味もしないボロボロのカス」という表現。クラダ島は架空なのか。検索で地図をみても出てこない。

    ジョセフィン・テイ:1896-1952.2.23没
    1953発表(死後遺稿として発表)
    2005.6.15初版第1刷 図書館

  • 「時の娘」で有名なテイの遺作。今作の探偵役も、時の娘でベッドディテクティブとして活躍したグラント警部です。
    時の娘では入院中だったグラント警部が、今回は神経症に悩まされてヘロヘロメンタル、長期休暇を取得して心を癒やすために故郷へ戻る…という、なかなかに試練続きの主人公なわけですが、ハイランド地方の風景の美しい描写、食事シーンの面白さ、田舎の人々の愉快な描写…とテイの視線が優しい。
    ミステリ部分だけでみると「うん?」と思うところもあるかもしれませんが、グラント警部の物語として&ハイランド紀行として併せて「ドラマ」として楽しめる一冊でした。

  • グラント警部最後の事件というか、ジョセフィン・テイの遺作。彼は休暇中も良い仕事をするのね。おまけに扱う事件は時空を越えた大ロマンなんて、すごいわ!

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

Josephine Tey

「2006年 『列のなかの男 グラント警部最初の事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ジョセフィン・テイの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×