報道しない自由 - 「見えない東京の壁」とマスメディアの終焉 - (ワニブックスPLUS新書)
- ワニブックス (2022年2月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784847061929
作品紹介・あらすじ
メディアは「報道の自由」のみならず「報道しない自由」をも行使している。自らの論調あるいは立場にとって「都合の悪い事実」はカットされる、あるいは無視される。長年、保守論壇で発言を続けてきた著者が、「カットされた事実」と「無視されたニュース」の実例を検証し、「報道しない自由」が謳歌される状況と構造を解説する。2017年12月に出版され話題を呼んだ『報道しない自由――なぜ、メディアは平気で嘘をつくのか』(イースト・プレス)に最新の事例を盛り込み、大幅に加筆して新書化。メディアリテラシーを磨くために必読の一冊である。
感想・レビュー・書評
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本紙は、メディアが、史実を意図的に隠ぺいし、歪曲されていることを扱っています。
戦前からもメディアによる事実隠蔽の事実はあり、新聞社各社は解散することなくそれを受け継いでいるわけなので、いまさら驚くべきことではないかとおもいますが、何がどう隠されているのかを理解する必要を説いています。
メディアについては、戦後体制の言語空間に囚われたままであると指摘しています。
前段では、日本での報道に関する実例が述べられていきます。
戦後使われてきた太平洋戦争という名称は、間違いでもともと日本政府が定めた大東亜戦争であるべきであることも語られています。
コロナ対応、東京オリンピック、森友学園等の事実がメディアによってゆがめられ、隠蔽されたいることを、フェイクメディアという表現にて糾弾をされています。
アメリカ合衆国の大統領選、報道されることのなかった中国のウィグル、チベット問題、北朝鮮におけるICBMの脅威問題、金正男氏暗殺事件などの国際的なニュースが、縮小・歪曲・隠蔽されてきたことを指摘しています。
後段では、マスコミの構造と、その事由に関する考察がのべられています。
日本では、新聞などのマスコミの信頼度が50~60%であって、欧米では、10~20%であるのに対して突出しています。
新聞社⇒テレビ・ラジオ⇒出版 という資本系列があり、新聞の論説委員がそのメディアの意見が決されます。
これを、クロス・オーナショップといい、テレビと新聞が相互に関係し、業績が互いに影響されることをしめしています。
アメリカ・中国・朝鮮などの海外報道が国内にストレートにはいってこない理由として、GHQがもともと事前検閲をおこなっていたものが、ある時期に、当時のメディアの事後検閲に置き換わったことをあげています。
このため、事後検閲を行うべき、メディアについては旧連合国の関連である、アメリカ・中国・朝鮮などに不利である
事実を国内報道しないと指摘しています。
NHKが朝ドラで、かならず、反戦的のエピソードを挿入していたこともその一つであるといっています。
フェークニュースを見きわめる14の条件というのがあって、GHQの検閲項目と比較をしています。
最終章に「見えない東京の壁」というのがでてきて、読売=西側、朝日・毎日=東側となっていて、メディア内部の
論調がいまだ、崩れることがない「東京の壁」であることを主張しています。
本書の結論は、こうです。
日夜、「報道しない自由」を行使する報道テロがおこなわれていること
本書で繰り返し述べたことは、メディアが本来の役割を果たしていない、危険なわが国と世界の状況についてであること
目次は以下です。
はじめに 「メディアの解体」が生んだ、新しい全体主義
第1章 報道されない事実こそが重要
第2章 政権を揺るがしたメディア・コントロールのからくり
第3章 メディア・コントロールとは何か
第4章 なぜ、メディアは「歴史洗脳」をするのか
第5章 メディアに騙されない方法
第6章 あらゆるメディアは「プロパガンダ装置」である
おわりに詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
報道について西村幸祐が語った一冊。
右寄りの著者の姿勢はさておき、メディアの姿勢という意味ではおそらく恣意的なものがあるのだろうと感じた。 -
報道しない自由 を日本メディアは行使しており、その背景には戦後のGHQによる支配構造があることを問題にしているもの。新聞記事や、ニュースでの記事の取り扱いの大きさや、内容の偏り戦後に縛られた情報統制の産物であり、メディアを支配するイデオロギーにより我々の思考パターンに多大な影響を与えるものと気付かされる。しかも、日本メディアはクロスオーナーシップの下、新聞とテレビが一体化している。
幅平く、いろいろなソースから、海外も含めて情報をえて日本で報道されていることだけが事実ではないことをしっかり覚えてつきあっていきたい。 -
メディアの解体が生んだ、新しい全体主義
第1章 報道されない事実こそが重要
執拗に政権を貶めるための新型コロナ報道
足りなすぎる日本のウイグル報道
第2章 政権を揺るがしたメディア・コントロールのからくり
フェイク・ニュースという言葉の登場
第3章 メディア・コントロールとは何か
絶大な信頼を集めるマスメディア
ニュースの論調はクロス・オーナシップで決まる
第4章 なぜ、メディアは「歴史洗脳」をするのか
閉ざされた言語空間
WGIPの誕生
女性たちに支えられる反戦思想
第5章 メディアに騙されない方法
フェイク・ニュースを見きわめる14か条
終章 あらゆるメディアは「プロパガンダ装置」である -
GHQの占領政策による報道規制が慣習として残り続ける形で自己検閲システムとして機能している。元々は反共の壁として設立された民放だが、その後は中国による洗脳等により、左傾反日メディアがフェイクニュースと情報統制により「報道しない自由」を行使しているという論調。
江藤淳の『閉ざされた言語空間』をベースとした天皇・皇室関連の報道についての指摘が興味深い。「天皇陛下を国会にお迎えする」のではなく「天皇陛下が招集する」が正しいと。その他、言われてみればそうだよなあと気づかされる点が多々あり、知らず知らずの間にマスコミ報道をそのまま受け入れてしまっていることに気づかされる。日本人のマスコミへの信頼度が他国(30%)に比べて倍(60%)もあるというのは驚きだが、その原因理由等は明かされていない。また、元々は占領軍に都合よく作られた仕組みが、いつのまにか中韓に都合のよい報道姿勢になっているのも興味深いが、その構造については「洗脳」では説明としては弱く、いまひとつ明確になっていないのも残念ではある。「戦前日本の否定」が結果的に中韓にも都合がよかったということなのだろうが。
冒頭でyahooニュースへの指摘があるが、今後の課題はIT企業による情報統制への対応だろう。実際問題として「報道されない」と疑う事も不可能なのだが、可能な限り多様な情報に触れていくしかないのかと。